「銀河英雄伝説」アレクサンドル・ビュコックの名言・台詞をまとめていきます。
1巻 黎明篇
第五章 イゼルローン攻略
「後日、恥入るようなことがなければよいがな。お前さんたちは大樹の苗木を見て、それが高くないと笑う愚を犯しているかもしれんのだぞ」
第七章 幕間狂言
「貴官の意見に賛同せず慎重論を唱えたからといって、利敵行為呼ばわりするのが節度ある発言と言えるか」
第八章 死線
「大言壮語を聞くのに飽きただけだ。貴官は自己の才能を示すのに、弁舌ではなく実績をもってすべきだろう」
「他人に命令するようなことが自分にできるかどうか、やってみせたらどうだ」
第九章 アムリッツァ
「いずれにせよ、総司令部の奴らめ、前線へ出て来てみればいいのだ。将兵の苦労がすこしはわかるだろう」
2巻 野望篇
第三章 ヤン艦隊出動
「いや、彼女の言うことは正しい」
「人間が年齢の順に死んでゆくのが、まともな社会というものだ。わしのような老兵が生き残って、少年たちが死ぬような社会は、どこか狂っとる」
「誰もそれを指摘しなければ、狂いがますます大きくなる。彼女のような存在は社会には必要なのさ。まあ、あんなに弁舌のたっしゃな女性を嫁さんにしようとは思わんがな」
「武力を持った貴官らが腐敗したとき、誰がどうやってそれを粛清するのだ?」
「紳士的だと? 人類が地上を這いまわっていたころから、今日に至るまで、暴力でルールを破るような者を紳士とは呼ばんのだよ」
「そう呼んでほしければ、せっかく手に入れた権力だ、失わないうちに新しい辞書でも作らせることだな」
「歴史は貴官になにも答えんかもしれんよ、グリーンヒル大将」
第七章 誰がための勝利
「……そうか、また老人が生き残ってしまったか」
3巻 雌伏篇
第六章 武器なき戦い
「二派! ふむ、二派にはちがいない。圧倒的多数派と少数派とを、同列に並べてよいものならな。むろん、わしは少数派さ。自慢にもならんことだがね」
「大尉、これが民主主義の総本山の現状だよ。まだ雨はふりはじめてはおらんが、雲の厚さたるやたいへんなものだ。どうも加速度的に悪くなっとる」
「天候を回復させるのは容易なことじゃないぞ」
「わしらは仲間というわけだ。世代はちがってもな」
「さてと、イゼルローンに帰るとしても、手ぶらというわけにはいくまい。いろいろ準備しなきゃならんが、その前にみんなで昼食としよう」
「吾々が食事をしている間くらい、イゼルローンは保ちこたえるだろうさ」
4巻 策謀篇
第七章 駐在武官ミンツ少尉
「何の、一日ごとに地獄の門に近づいとるよ。ルドルフ皇帝が坩堝のなかで煮られとる姿を見るのが楽しみだて」
「ヤン提督は将来がよく見えるが、残念ながら手足がともなわない。むろん、それは彼のせいではない。彼には、そこまで能動的に行動する権限がないのだからな」
「制度か……制度のせいにするのは、わしとしてはつらいな。わしは自分が民主制共和国の軍人であることを長いこと誇りにしてきた」
「そう、君と同じくらいの年齢に二等兵になって以来、ずっとな……」
「民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは正しい、と、わしは思う。軍人は戦場以外で権力や権限をふるうべきではない」
「また、軍隊が政府や社会の批判を受けずに肥大化し、国家のなかの国家と化するようでは、民主政治は健全でありえんだろう」
「民主主義の制度はまちがっておらん。問題は、制度と、それをささえる精神が乖離していることだ」
「現在のところ、建前の存在が本音の堕落をようやくふせいでいるが、さて、それもいつまでもつか……」
5巻 風雲篇
第一章 寒波到る
「そして、帝国の専制主義と同盟の軍事独裁政権とが、宇宙の覇権を賭けて戦うのかね……? 救いようがないと思わんか」
「わしに誇りがあるとすれば、民主共和政において軍人であったということだ」
「わしは、帝国の非民主的な政治体制に対抗するという口実で、同盟の体制が非民主化することを容認する気はない」
「同盟は独裁国となって存在するより、民主国家として滅びるべきだろう」
「わしはかなり過激なことを言っておるようだな。だが、実際、建国の理念と市民の生命とが守られないなら、国家それ自体に生存すべき理由などありはせんのだよ」
「で、わしとしては、建国の理念、つまり民主政治と、市民の生命を守るために戦おうと思っておるのさ」
第四章 双頭の蛇
「これまでだな。かくて陽は沈み一将功ならずして万骨は枯る、か……」
「むざむざ生き残ってしまったよ、部下を死なせて、不甲斐ないことだ」
第九章 急転
「要するに、同盟は命数を費いはたしたのです。政治家は権力をもてあそび、軍人はアムリッツァに見られるように投機的な冒険にのめりこんだ」
「民主主義を口にとなえながら、それを維持する努力をおこたった。いや、市民すら、政治を一部の政治業者にゆだね、それに参加しようとしなかった」
「専制政治が倒れるのは君主と重臣の罪だが、民主主義が倒れるのは全市民の責任だ」
「あなたを合法的に権力の座から追う機会は何度もあったのに、自らその権利と責任を放棄し、無能で腐敗した政治家に自分たち自身を売りわたしたのだ」
7巻 怒濤篇
第二章 すべての旗に背いて
「わしはヤン提督とちがって、50年以上も同盟政府から給料をもらってきた。いまさら知らぬ顔を決めこむわけにもいかんでな」
「ふむ、残念だな。30歳以下の未成年は、今回、同行することはできんよ。これはおとなだけの宴会なのでな」
「……皇帝ラインハルトは、貴官やわしを戦争犯罪人として処断しなかった。個人的には恩義すらあるが、あえてそれに背こう」
「こんなだらしない国に、若い者はこだわる必要もないが、わしはもう充分に生きた」
第三章 「神々の黄昏」ふたたび
「ランテマリオ会戦で敗れたとき、わしは死ぬべき身だった。貴官に説得されて半年ほど永らえることになったが、結局のところ命日が移動するだけのことだな」
「いや、おかげで多少は女房孝行ができたか」
「ヤンが敗北するとしたら、それはラインハルト・フォン・ローエングラムの偉大な天才によってではない。それはヤン自身の、理想へのこだわりによってだろう」
第六章 マル・アデッタ星域の会戦
「やはり戦う以上は納得のいく戦いをしたいのでな」
「それにしても、わし自身はともかく、多くの者を死なせることになるな。いまさらではないが罪深いことだ」
「考えてみると、わしは多分、幸福者だろう。人生の最後に、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーという、ふたりの比類なく偉大な用兵家に出会うことができた」
「そして、ふたりのうちいずれかが傷つき倒れる光景を見ないですむのだからな」
「わしはあなたの才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫を持つなら、あなたのような人物を持ちたいものだ。だが、あなたの臣下にはなれん」
「ヤン・ウェンリーも、あなたの友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人ごとだが保証してもよいくらいさ」
「なぜなら、えらそうに言わせてもらえば、民主主義とは対等の友人をつくる思想であって、主従をつくる思想ではないからだ」
「わしはよい友人がほしいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない」
「だからこそ、あなたとわしは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ。ご好意には感謝するが、いまさらあなたにこの老体は必要あるまい」
「……民主主義に乾杯!」
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。