また同じ夢を見ていた(住野よる)より言葉と名言の紹介

また同じ夢を見ていた(住野よる)

 小学生の女の子、小柳奈丿花には友達がいなかった。

 

 そんな彼女は学校が終わった後、お決まりの猫と一緒に3人の決まった人に
会いに行くのが日課になっていた。

 

 そんな時、クラスの男の子との間にトラブルが発生し、男の子は学校に来なくなる。

 

 学校に来るように頑張る奈ノ花だったが...

 

 今がうまくいかない女の子の成長物語。

 

 

→デビュー作「君の膵臓をたべたい」へ

理屈っぽい

 

 先生、頭がおかしくなっちゃったので、今日の体育を休ませてください。

  冒頭の言葉になります。

 

  なになに?という出だしですね。

 

  クラスの女の子が、こんなこと言い出したらちょっと怖いかも...

 

アバズレさん

 

 大人なんてみーんな、的外れだよ。

  アバズレさんは、奈ノ花ちゃんが毎日会いに行く大人のお姉さん。

 

  呼び方は奈ノ花ちゃんの勘違いだが、そのまま気にしていない。

 

  そして、子供に優しい。

 

  子供にとって大人の発言なんて、全て的外でしょうね。

 

寂しい

 

 寂しいのなら、寂しいってちゃんと言った方がいい。

  奈丿花ちゃんの両親は仕事が忙しく、ほとんどかまってもらえない状態。

 

  本心では寂しいのだが、それが言えない奈ノ花ちゃん。

 

  その気持は伝えたほうが良いと、アバズレさんが話しています。

 

  この後、奈ノ花ちゃんに否定されるのだが優しく受け止めている。

 

  押さえつけない大人は素敵です。

 

おばあちゃん

 

(奈)「おばあちゃんの作るお菓子はどうしていつもこんなに美味しいのかしら」
(ば)「生きてきた時間分、どうやって作れば美味しくなるかを知ってる。それだけ」

  おばあちゃんが奈丿花ちゃんの質問に優しく答えています。

 

  このような答えを普通に返すのは、素敵な年のとり方をした人の特徴ですね。

 

  穏やかな気持ちになります。

 

南さん

 

 私は落ち着くんだ。

  リストカットを繰り返している南さん。

 

  その行為をすることで落ち着くと話している。

 

  認めたくはないが、残念ながら理解は出来る...

 

秘密

 

 きっと南さんは知っているのでしょう。
 女の子の秘密は安くないってこと。

  奈丿花ちゃんが南さんに自分の秘密を話した時、お願い事を聞いてくれたので、
 このように感じている。

 

  大した秘密でもないのに、ここでの南さんは優しい。 

 

幸せ

 

 幸せなんて、そんなもん分からないよ。
 書くのは楽しいけど、それが幸せかは分からない。
 幸せって、もっと満たされた状態だろ。
 こう、心がいい気持ちでいっぱいになるような。

  自分で小説を書いている南さん。

 

  楽しいと幸せが同じにはなっていない。

 

  幸せになりたいのに、そうなれない悲しみが見える。

 

  物語を書いている時だけが、悲しくない時なのでしょう...

 

優しい言葉

 

 人は、悲しい思い出をなくすことは出来ないの。
 でも、それよりたくさんのいい思い出を作って、楽しく生きることは出来る。
 なっちゃんの笑顔は、南さんや私にそうさせてくれるくらいの素敵な力を持ってるよ。

  南さんに悪いことをしたと勘違いしている奈丿花ちゃん。

 

  それに優しく話しかけている、おばあちゃんの言葉になります。

 

  この後は、いつもの甘く柔らかいお菓子が待っている。

 

小さな声

 

 南さんは、また何も言わないで手をひらひらと振った、と、
そう思ったのですが違いました。
 本当に小さい、小さな私の声よりもずっと小さな声で言った言葉が、
私の耳に風のように届きました。「ありがと」。

  南さんの小さな言葉。

 

  相手ではなく、自分に語りかけているよう。

 

  「風のように届きました」って優しい表現ですね。

 

怒り

 

 どうしていつも仕事を選ぶの! なんで!

  約束を守れないお母さんに対して、奈ノ花ちゃんの言葉になります。

 

  子供ながら今まで我慢していたけど、とうとう限界を超えてしまった。

 

  この後、お母さんが事情を説明しているけど、親の言い訳なんて
 子供にとって意味はない...

 

現実

 

 いいか、私の書く話は素敵でも何でもないんだよ。
 私なんか、ただ文を書くのが好きなだけだ。
 世界には、私なんかより才能のある奴らがいっぱいいるんだ。
 それくらい、すぐに気がつく。私なんかの書く話は面白くもなんともない。
 私なんか・・・・・作家にはなれない。

  小説を書くのは好きだが、自分に自信のない南さんの言葉になります。

 

  本当に好きなだけでは、どうにもならないことが沢山ある。

 

  しかし好きだからこそ、どうにかなることも沢山ある。

 

  「なれない」と諦めるのと、チャレンジしたけど「ダメだった」は
 どちらが幸せなんでしょうね?

 

ファン

 

 作家っていう人達は、物語を読んだ人達の心に新しい世界を
作るから作家っていうんでしょ?
 それなら、私はまだ作家じゃないけど、南さんはもう作家よ。
 私の心の中に、それは素敵な世界を作ったもの。

  南さんの書く小説を楽しみにしている奈ノ花ちゃんが、話した言葉になります。

 

  小学生ながら精一杯の賞賛。

 

  子供の言葉で本心で、言われるのはうれしいですね。

 

南さんの幸せとは

 

 自分がここにいていいって、認めてもらえることだ。

  この言葉をどれくらいの人に理解してもらえるだろうか?

 

  ただ個人的には、理解出来ない人のほうが幸せだと考えている。

 

  その場所にいても、「居場所がない」と感じることがある。

 

  もしくは必要とされていないと感じることもある。

 

  そのように過ごしてきた人にとって、自分が望む場所で居場所を
 認めてもらうことほど幸せなことはない。

 

真剣なお願い

 

(南)「奈丿花...一つ、私と、約束しろ」
(奈)「や、約束」
(南)「約束。いや、私からの頼みでもいい。聞け」
(奈)「いきなり、どうしたの南さん」
(南)「いいから聞け。一つだけだ。今から帰ったら、絶対に親と仲直りしろ」

 

つい首を横に振る私に、南さんは続けました。

 

(南)「いいか、お前の気持ちは、分かる。寂しかっただろうし、悔しかったんだろ。
  それで、お前のことだから、ひどいことも言っちゃっただろ。
  意地になって、引き下がれないのも、分かる。
  だけど、それでも今日、お前から謝れ。ごめんなさいって、言え。
(奈)「い、嫌よ。そんなの、大体...」
(南)「ずっと後悔することになるんだぞ!」

  少し長いですが、全文を載せました。

 

  言葉少ない南さんが必死になって語っている。

 

  これには南さんの過去が関係している。

 

  両親をなくしている南さんにとって、他人事ではなかったのでしょう...

 

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ひとみ先生

 

 ええ、そうよね。だったら、そのままでいてあげればいい。
 いつもみたいに話しかけて、いつもみたいに隣に座って、いつもみたいに
一緒に給食を食べればいい。出来る?

  教室で孤立している生徒に対して、ひとみ先生が奈丿花ちゃんに
 お願いしています。

 

  「いつもみたいに」というのは大切ですよね。

 

  ただこの場合、受け取る側の感情が問題になるのですが...

 

ふたたびひとみ先生

 

(奈)「いくじなしだものね」
(先)「そんなことはない。今日来られたことは、勇気のある子じゃないと出来ない」

  同級生を「いくじなし」と言った奈丿花ちゃんを注意しています。

 

  ただ怒っている訳ではない。

 

  辛い立場にいる教え子のことを真剣に考えて、きちんと見ている。

 

  それほど出てこないけど、この先生みたいな人が現実にも多いといいけれど...

 

答え

 

 せっかくそこまで考えてるんだから、お嬢ちゃんなりの答えを出して、
どうするのか決めるべきだ。
 だから、私の考えは教えない。

  悩んでいる奈丿花ちゃんに対して、アバズレさんの答えないという答えになります。

 

  大人にとって、答えを言うのは簡単です。

 

  けどそれでは、意味がないですよね。

 

  子供にとっては考えることが大切であり、正解だけが正しい訳ではない。

 

  失敗もこれからの成功につながる。

 

  またアバズレさんは、フォローとしてヒントは与えている。

 

  頭のいい人です。

 

大好きなこと

 

 大好きなことに一生懸命になれる人だけが、本当に素敵なものを作れるんだよ。

  おばあちゃんが、昔の彼から送られた絵に対して話しています。

 

  才能があるから努力出来るのか、それとも努力出来るから才能が伸びるのか、
 私には分からない。

 

  ただ好きなことをするのが、もっとも難しいかもしれない...

 

アバズレさんの幸せとは

 

 幸せとは、誰かのことを真剣に考えられるということだ。

  アバズレさんが今の幸せについて語った言葉になります。

 

  「自分ではなく誰か」がポイントです。

 

  誰かが「喜んでくれるかな?」とか「楽しんでくれるかな」などを考えるときが
 幸せと感じている。

 

  それを考えている時、「悩み」や「悲しみ」という感情が共存することはない。

 

  それこそが、幸せな時間なのかもしれない。

 

駄目

 

(奈)「もう、私は、誰とも関わらずに生きていくわ」
(ア)「それは駄目、私みたいに、なっちゃうよ。だから、それだけは駄目」

  奈丿花ちゃんに自分を重ねたアバズレさんが語っています。

 

  実際を知っている人の言葉には重みがある。

 

  けど「駄目」と言われて、すぐ変われるものでもない。

 

  子供に話すのは本当に難しい...

 

出会い

 

 お嬢ちゃんには、これから、私なんかとよりも、もっともーっと素敵な
出会いがたくさん待ってる。
 誰かを好きになることを諦めなきゃ、必ず幸せな人生になる。

  「誰かを好きになることを諦めなきゃ」という言葉が引っかかったので
 ピックアップしました。

 

  好きになる感情は自分でコントロール出来ないけど、「自分の気持に関わらない」
 になってしまうと、あらゆる未来を閉じることになる...

 

再挑戦

 

(奈)「もし、本当に嫌われてたら?」
(ア)「そんなことないと思うけど、でも、もし万が一そうだったなら、
  私が慰めてあげる。それからまた一緒にどうするか考えよう」

  一度の失敗に対して自信をなくしている奈丿花ちゃんに対して、
 アバズレさんが後押ししています。

 

  こういう時、「絶対大丈夫」的なことを言ってしまいがち。

 

  だけど、そうでない所がいいですね。

 

  こう言われると結果より、「まずやってみよう」という気になる。 

 

本当の気持ち

 

 味方が欲しいのは、私だった。

  同級生と話している時、奈丿花ちゃんは本当の気持ちに気づきます。

 

  同級生の友達がいなくても、寂しくないと考えていたけど本心は違っていた。

 

  本心に気づいた後、奈丿花ちゃんはちょっと周りに優しくなります。

 

奈丿花ちゃんの答え

 

 だからもし、魔法使いに誰かに変えてもらえることになっても、
ちゃんと自分を選んでね。いい?

  「ちゃんと自分を選んでね」とは「自分を好きになってね」と同じ意味。

 

  悩んでいる人は自分を好きになれない。

 

  まず自分を好きになることが、悩み解消の第一歩だろう。

 

おばあちゃんの幸せとは

 

 幸せとは、今、私は幸せだったって、言えることだ。

  長い人生を生きてきて、今までの自分が幸せと言えるくらい
 幸せなことはないのかもしれない。

 

  これを言えるまでにはまだ時間がかかる。

 

  その時に同じ思いが描けたら、素敵な人生なんでしょうね。

 

おばあちゃんの感謝

 

 なっちゃんに合わせてくれた。もう何もいらない。
 私のオセロの最後のマスには、なっちゃんっていう幸せが置かれた。

  素敵な言葉です。他は要らないですね。

 

奈丿花ちゃんの幸せとは

 

 幸せとは、自分が嬉しく感じたり楽しく感じたり、大切な人を大事にしたり、
自分のことを大事にしたり、そういった行動や言葉を、自分の意思で選べることです。

  自分の選択がなく、ただ与えられたものではいかに裕福であろうと
 待遇が良かろうと幸せではない。

 

  例え失敗しようと間違えようと自分の意思だと思えたなら、いかなる状況で
 あろうと幸せなのかもしれない。

感想

 

  はじめは小生意気な小学生の女の子の日常が綴られているだけに感じる。

 

  しかし読み進めていくうちに、それが勘違いだと分かってくる。

 

  周りにうまく溶け込めず、また実は寂しがりの女の子が周りの大人に影響を
 受けながら成長していく姿は心地いい。

 

  終始、不思議な空気感を感じていたが、ラストを見ると納得させられる。

 

  前作の「君の膵臓をたべたい」のように涙を流すような作品ではない。

 

  ただ非常にここち良く、個人的には非常に優しい気持ちになれる物語でした。

 

  間違いなくおすすめできる作品です。

 

 

 

 

→「よるのばけもの」へ

 

 

 

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