「銀河英雄伝説(田中芳樹)」の名言まとめました

「銀河英雄伝説(田中芳樹)」より名言をまとめていきます。

1巻 黎明篇

好機

吾々は包囲の危機にあるのではない。敵を各個撃破する好機にあるのだ。

現在の状況に対して、ラインハルトが語ったこと。
具体的なことは省略するが、ものごとは見方ひとつで大きく変わってくる。
視野は広く持ちたいものである。

決意

ルドルフに可能だったことが、おれには不可能だと思うか?

ラインハルトはある事件の後、皇帝を目指すことになる。
そのことについて、親友であり盟友のキルヒアイスに問いかけたこと。
特に説明は不要だろう。

戦いの本質

要するに3,4000年前から戦いの本質というものは変化していない。
戦場に着くまでは補給が、着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する。

ヤンが用兵について考えていること。
戦いの多くは、数や装備によって決定する。しかし最後に必要なのは、やはり人になる。
物には限りがある。しかし人には限界がない。

固定観念

硬直した固定観念ほど危険なものはない。

世の中には常識というものがある。専門家であればあるほど、それに縛られてしまう。
そして固定観念は、新しい考えを受け付けない傾向がある。
そのため専門家であればあるほど、新しい天才に太刀打ち出来ない。

宣言

心配するな。私の命令に従えば助かる。生還したい者は落着いて私の指示に従ってほしい。
わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ。

敗北が濃厚である自軍に対して、ヤンが語ったこと。
これは自信もあるが、自信ありげに見せかけているだけでもある。
命令を下す者は、常に自信を持っていなければいけない。
少なくとも、自信ありげに見せなければいけない。

名将と愚将

本来、名将と愚将との間に道義上の優劣はない。
愚将が味方を100万人殺すとき、名将は敵を100万人殺す。

これを見ると、いかに戦争が救いがたいかが分かる。
そして称賛と非難は、見方の違いに過ぎない。

子供

生意気言うな、子供のくせに。子供ってのはな、おとなを喰物にして成長するものだ。

ヤンが養っているユリアンに対して語ったこと。
遠慮したことを言ったユリアン。
それに対して、ヤンは気を使わせないようにしている。
しかし立派?な大人が言うことではない?

殺し文句

君にできなければ、他の誰にも不可能だろうと考えておるよ。

ヤンの上司が無茶な命令と共に語ったこと。
このように言われれば、嬉しいとは考える。しかしとても本気にすることは出来ない。
こんなことを言う人は、誰にでも同じことを言ってそう。

予定

予定通り事が運ぶことは、めったにありませんよ。
といって予定をたてないわけにも行きませんしね。

作戦準備中のヤンが語ったこと。
予定は未定と言われるように、なかなか決めた通りには行かないもの。
そしてそれを見越した予定を立てるのも必要なこと。
このように偉そうに言ってるが、ヤンは人選が終わったら本人は何もせず人任せ。

平和

恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもの望みはしない。
だが何十年かの平和で豊かな時代は存在できた。
吾々が次の世代に何か遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和が一番だ。

ヤンによる平和の考え方。
歴史と現代を見ると、恒久平和が人類に無かったのは実感する。
そして残念ながら、未来にも存在しないだろう。
そしてこれを語っているのが、軍人であることに注目したい。
残念ながら人類には、平和は出来るものではなく作るものになる。

みごと

「まったくみごとだ、ローエングラム伯」
自分にはここまで徹底的にはやれない。やれば勝てるとわかっていてもやれないだろう。

ラインハルトのある作戦を見たヤンが語ったこと。
世の中に知っている人は多数いる。しかし、出来る人は少ない。
まして実際に行動し、成功を収める人はほとんどいない。

失敗

ひとつの失敗をもって多くの功績を無視なさるようでは、人心をえることはできません。

部下の失敗を叱責したラインハルト。
それに対して、盟友のキルヒアイスが諭した言葉になる。
いかに優秀な人でも失敗することはある。それをいちいち非難していてはキリがない。
本人に対してはもちろん、周りに対しての悪影響も懸念される。
もちろん失敗を許してばかりでは問題がある。
必要なのは、相手や周りが納得できる内容に抑えることである。

確認

「...おれは宇宙を手に入れることができると思うか?」
「ラインハルトさま以外の何者に、それがかないましょう」

ラインハルトの問いかけに対して、キルヒアイスが返したこと。
子供時代から親友の二人。
人を寄せ付けないラインハルトだが、キルヒアイスには本音を話している。
そしてキルヒアイスは、その全てを受け入れている。

悪辣

他人に言えるようなことじゃないよ。
まったく、人間は勝つことだけ考えていると、際限なく卑しくなるものだな。

帝国軍の内乱に対して、作戦を考えているヤン。
そのあまりにも悪辣な方法に対して、自分で呆れている。
分かるということは、ある意味不幸への道標なのかもしれない。

2巻 野望篇

用心

用心しても、だめなときはだめさ。

自分に護衛を付けないヤンが語ったこと。
厳重な警備をしていても、ダメな時はダメなもの。
逆に前線に出ていても、不思議と大丈夫な時もある。
これは運なのか、それとも人的なものなのか?
ただ本人は、護衛はうっとうしいと思っているだけだが。

地位

地位が上がるにつれて、発想が不純になっていくのがよくわかるよ。

対外的なことを意識しているヤンが語ったこと。
地位の低いうちは自分のことだけを考えれば良い。
しかし地位が上がると、自分ではなく周りのことを考えなければならない。
それは相手が望むことを考えて実行すること。
たとえそれが自分の考えとは違ってもである。

形式

形式というのは必要かもしれないが、ばかばかしいことでもありますね。

帝国軍と同盟軍との調印式の場。帝国軍のキルヒアイスがヤンに語ったこと。
実質的な意味では、決まりごとは結果だけを聞けば良い。
しかしある種の決定には、形が必要な場合が多い。
たとえウソでも、みんなが賛成している形を作らないと先に進めない。

スピーチ

皆さん、楽しくやってください。

特に名言ではないが、これはヤンのスピーチの全て。
俗に言われる、「ヤン提督の二秒スピーチ」
スピーチはするのもされるのも嫌いなヤン。
スピーチが苦手な人は、このような自分の一言で終わるのが、自分と周りにとって幸せかも?

妄言

理想を失い、腐敗の極みに達した衆愚政治を、吾々の手で浄化しなくてはならない。
これは正義の戦いであり、国家の再建に避けては通れない関門なのだ。

軍部によるクーデターのトップが語ったこと。
本人は真面目に話しているのだろうが、妄言以外の何物でもない。
民主主義ではいかなる理由があっても、力による行動はプラスにならない。
まして自分で正義を語る人間など、絶対に信用できない。

決意

そう、これこそが現実なのだ。では現実を変えなければならない。

ラインハルトが幼年時代に考えたこと。
同盟軍とは長きに渡る戦争状態にあり、民衆の苦しみは続いている。
しかし貴族達は自分の栄華を誇るばかり。
この現実に対して、普通は仕方なく受け入れる。
しかし現実は、現実だからこそ変えることが出来る。
それが困難な道でも、始めなければ変わらない。

司令官

「戦わずに降伏させることを考えてみよう。そのほうが第一、楽だ」
「兵士は楽でしょうけど、司令官は苦労ですね」
「ところが、世の中の半分以上は、兵士を多く死なせる司令官ほど苦労をしていると考えるのさ」

ヤンと同居しているユリアンの会話。
人は簡単に敵が降伏した戦いを評価することはない。「簡単な戦いだった」と考えるだけ。
しかし本来は、敵を降伏に追い込んだ手腕を称えるべきである。
それに対して、激戦の末勝利した戦いを評価する。「難しい戦いを勝利に導いた」と考える。
しかしもしかしたら、簡単な戦いが混戦になっただけかもしれない。
戦いを結果だけで評価すると、ロクなことにならない。

ベターな選択

私はベストよりベターを選びたいんだ。
いまの同盟の権力がだめだってことはたしかにわかっている。
だけど、救国軍事会議とやらのスローガンを君も見たろう。
あの連中は、いまの連中よりひどいじゃないか。

現在のダメな政治家たちと、クーデターを起こしたよりダメな軍人たち。
このろくでもない選択を迫られた時、ヤンが考えていること。
ただ本人も、このろくでもない選択とは別の第3案があることを知っている。
ただその第3案を実行すると、さらにろくでもない結果が待っている。

勝算

ヤン・ウェンリー提督は、勝算のない戦いはなさいません。

未来が読めない現状に対して民衆が勝算を聞いてきた時、ユリアンが返した言葉になる。
不敗の名将と呼ばれるヤンだからこそ、この言葉に意味は出る。
ただ勝算とは作るものであり、出来るものではない。
そのためこの言葉は、本来矛盾を含んでいる。しかし民衆は、事実よりも希望を好むもの。
だから扇動者に簡単に乗せられてしまう。

情報

喜んでくれ、作戦が決まったぞ。どうやら勝てそうだ。

ある情報を入手した時にヤンが語ったこと。
これだけでは何で取り上げたか分からないだろう。
ここで注目したいのは、情報を手に入れた時に語ったというタイミングについて。
多くの人は情報を入手した後、分析や行動を考えていく。
しかし本来情報とは、何を知りたいかを決めて調査していくものである。
今回の場合、ある確証を得たくて調査を行い、情報がそれを確定してくれた。
情報とは多ければ良いわけではないのです。

権利

かかっているものは、たかだか国家の存亡だ。
個人の自由と権利に比べれば、たいした価値のあるものじゃない。

クーデター側の艦隊との戦いに挑む時、ヤンが全員に語ったこと。
「国家の存亡はこの一戦にあり!」。このように語る将官は多い。
しかし国などは、人が生きていくための手段に過ぎない。
極端に言えば、生活が成り立てば国など要らない。
しかし「国のために国民が犠牲になる」のが戦争の場合、普通と考えられている。
やはり何か、焦点がズレている。

烏合の衆

要するに烏合の衆です。恐れるべき何物もありません。

貴族連合の艦隊と戦う時、キルヒアイスが語ったこと。
けっして相手を侮ったのではなく、状況分析より判断したこと。
言葉は柔らかいが、辛辣です。

特権

特権を持つ者は、それを持たない人々の全存在、全人格を容易に否定することができる。

今回の場合は貴族が民衆に対して考えたことだが、それだけに留まらない。
会社の社長は、社員の人格を否定することが出来る。
家族の長は、自分に逆らう嫁や子どもを否定することが出来る。
「否定して良い」と言っている訳ではない。
「自分を特別と考えたら、勘違いすることがある」と言っている。
もちろんそれは、悪意を持って対抗されることになる。

信念

信念で勝てるのなら、これほど楽なことはない。誰だって勝ちたいんだから。

ヤンが「信念」について考えていること。
「必勝の信念が無くて勝てるか!」。このように言う人がいる。
確かに勝ちたいという気持ちは大切である。
それが原動力になって、勝った勝負もあるだろう。
しかしそれは勝つべき作戦がまずあって、その後の精神力として活用するもの。
決して、精神力の後に作戦があるわけではない。
指揮官が精神力を頼りにしてはいけない。
それは最後のギリギリの時、始めて頼りにできるものである。

政治の腐敗

政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることじゃない。
それは個人の腐敗であるにすぎない。
政治家が賄賂をとってもそれを批判することが出来ない状態を政治の腐敗というんだ。

軍事クーデターのメンバーにヤンが語ったこと。
どちらも政治の腐敗であることには変わりない。
しかし大小を付けるとするならば、言うとおりだろう。
また政治家の賄賂とは、政治家同士でするものではない。
賄賂は残念ながら民衆が行う。
企業であれ、個人であれ、民衆であることには変わりない。
政治家が受け取らなければ良いのだが、人である以上ゼロには出来ない。
それを監視する、もしくは監視できる状態は確保しなければいけない。
結局政治腐敗の原因は、どこにあるのだろうか?

なんだ?

お前はいったい、おれのなんだ?

ラインハルトのある作戦の理由を、問いただしているキルヒアイス。
答えに窮したラインハルトが語ったのがこれ。
形式上は部下であっても、無二の親友には絶対に言ってはいけない言葉。
一方的な決別の言葉となる。
しかしこれが、上から目線の言葉なら割り切りがつく。
残念ながらこれは、子どもがすねたようなもの。

時代

奴らの時代は終わった。これからは、おれたちの時代なのだ。

貴族連合を破ったラインハルト軍。
その中のロイエンタールが、落ちぶれた貴族達を見て語ったこと。
特権を持っている人たちを言葉で説得することは出来ない。
だからといって、暴力に訴えるのは間違っている。
正式な手段を悪辣に使える若者が出てくると面白いのだが。

覚悟

卿らも同様だ。
私を倒すだけの自信と覚悟があるなら、いつでも挑んできてかまわないぞ。

ある決断をしたラインハルト。その報告に来たロイエンタールに語ったこと。
トップは実力が合ってこそであり、実力が無ければ資格が無いと考えるラインハルト。
その自信と覚悟から、このように語っている。
しかしこれを直接言うことは、精神的におかしな状態になっている。
あの事件さえ無ければ。

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3巻 雌伏篇

軍人

抵抗できない部下をなぐるような男が、軍人として賞賛に値するというなら、軍人とは人類の恥部そのものだな。
そんな軍人は必要ない。すくなくとも、私にはね。

上官による体罰を極度に嫌うヤン。そのため、このようなことを語っている。
ただ確認したいのは、「抵抗できない部下」と書いている点である。
暴力はいけない。もちろん体罰もいけない。
しかし「100%ダメ」かと言うと、必ずしも同意できない。
唯一例外があるとすれば、周りに暴力を加える部下について。
暴力する人に対してすら、暴力はいけないのだろうか?
「力に対して力を使うこと」は、際限のないことなのだろうか?
このテーマは永遠に解決することはないだろう。

幸運

ユリシーズの武運にあやかりたいものだな。
みんな、かっこうが悪くてもいい、生き残れよ!

ユリシーズは歴戦の戦艦だが、排水設備を壊されたまま戦う不運に見舞われたことある。
また今回は新兵の訓練中に敵と遭遇。
そんなとき司令官であるアッテンボローが語ったこと。
排水設備を壊されながら戦うのは悲劇である。
しかし戦闘には生き残ったのだから、それは喜劇に変わる。
新兵にとって、綺麗な死とかっこ悪い生。どちらが良いかは明白である。

簒奪

簒奪が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。

現在の皇帝からの簒奪を目指している、ラインハルトが考えていること。
一般的な考えでは、簒奪は必ずしも好ましくない。
しかしそれは今が良い場合であり、悪い世襲ならどうだろうか?
簒奪した結果が良い方向に向かうなら、簒奪の方が正しいのだろうか?
ただ問題になるのが、その良いが続くのかどうか?
これは善悪で語ることは出来ない。

ヤン・ウェンリー評

お前さんの保護者は昨日のことはよく知っている。明日のこともよく見える。
ところが、そういう人間はえてして今日の食事のことはよく知らない。わかるな?

ヤンの先輩のキャゼルヌがユリアンに対して、ヤンについて語ったこと。
ヤンは歴史を良く知っており、また未来の予測が確かである。
しかし日常のことには興味がなく、また運動や射撃も苦手である。
そういう人物は大物の動きは予測できても、小物の動きが分からない。

武力

武力とは政治的・外交的敗北をつぐなう最後の手段であり、発動しないところにこそ価値があるのだ。

ラインハルトの副官であるヒルダが考えていること。
武力の目的は勝利ではない。それは手段に過ぎない。
勝利を得ることによって、交渉を有利にするために行うのである。
言い方を変えれば、交渉が成立するなら武力など必要ない。
ただ残念ながら、力なき正義は無力である。

理想と現実

いつ理想は現実に対して勝者となれるのだろうか。

権力者の歴史を振り返っている時に、ヤンが考えたこと。
誰もが理想的な社会を願っている。しかしそんな社会は歴史上存在しない。
なぜなら理想はそれぞれ違うから。そして理想は多数決では決まらない。
残念ながら、力のある人の理想が優先される。

鼓舞

いいか、柄にもないことを考えるな。国を守ろうなんて、よけいなことを考えるな!
片思いの、きれいなあの娘のことだけを考えろ。生きてあの娘の笑顔を見たいと願え。
そうすりゃ嫉み深い神さまにはきらわれても、気のいい悪魔が守ってくれる。
わかったか!

艦載機スパルタニアンの撃墜王ポプランが、出撃前に部下に語ったこと。
闘いには意味が合っても、個人の闘いには意味がない。あるのは生か死の二択のみ。
個人にとっての勝利とは、生き残ることのみ。

悩み

まったく、それにしてもヤン・ウェンリーという男は、いればいたで、いなければいないで、どれほど帝国軍を悩ませることだろう。
「魔術師ヤン」とはよく言ったものだ...。

ヤンがイゼルローンにいるかいないかで悩んでいる、帝国軍の提督ミュラーが考えたこと。
ヤンがいれば強敵として、帝国軍の前に立ちはだかる。
ヤンがいなければ、「いるのでは?」と考えて帝国軍は行動を躊躇する。
そして相手にこの思考をさせることが、ヤンにとって有利に働く。
まったく味方なら頼もしいが、敵にすると手がつけられない。

宇宙

誤解するな、オーベルシュタイン。私は宇宙を盗みたいのではない。奪いたいのだ。

ラインハルトが宇宙を手に入れる方法を語ったこと。
盗むとは、相手に気づかれずに目的を果たすこと。
奪うとは、相手に気づかれながら力によって目的を果たすこと。
どちらも正しいわけではない。
ただ世間の評価は、まったく違うものになるだろう。

評価

気づいたな...だが、遅かった。

ヤンが敵のある行動を見た時に語ったこと。
読んだままであり、特に意味はない。ただちょっと、同じような状況で使いたい。

暗殺

...私を背後から刺し殺して、それですべてが手にはいると思う人間は、実行してみればいいんだ。
ただし、失敗したらどんな結果がもたらされるか、その点には充分な想像力をはたらかせてもらおう。

ラインハルトが自分の暗殺について語ったこと。
そのように考えるのは仕方ないが、実際に話すのは違和感がある。
少なくとも、それによって誰も幸せにはならない。

本心

本心だったさ、あのときはな。
だが、おれは生まれたときから正しい判断と選択のみをかさねて今日にいたったわけではない。

ロイエンタールがある不満に対して語ったこと。
ただこの時は酒の力が入っている。しかしだからこそ、本心なのかもしれないが。

4巻 策謀篇

赤ん坊

よかろう。その赤ん坊に玉座をくれてやろう。
子供の玩具としては多少おもしろみに欠けるが、そういう玩具を持っている赤ん坊が宇宙にひとりぐらいいてもいい。
ふたりは多すぎるがな。

7歳の皇帝が誘拐された。それに伴い新帝として、生後8ヶ月の赤ん坊を候補にしている。
それを承諾した時にラインハルトが語ったこと。
歴史ではよくある話だが、酷いことには変わらない。
ただラインハルトが言うと、なぜか違う感覚が生まれる。

組織

組織のなかにいる者が、自分自身のつごうだけで身を処することができたらさぞいいだろうと思うよ。

ヤンの部下に対して、予想外の異動が発生した。
その理不尽な件に関して、ヤンが語ったこと。
組織は絶対ではないが、多くの場合は反論できない。
または反論できても、変更されることは少ない。
組織とは楽であると同時に、自由さを縛られるところである。

発言

思うのは自由だが、言うのは必ずしも自由じゃないのさ。

自分の心の内を話さないヤンが語ったこと。
例えば、相手を「バカ」と思うことは自由である。
しかし、相手に「バカ」と言うのは自由ではない。
それに対する問題が発生する。
力が強い人は、この点が理解できていないことが多い。

政治体制

腐敗した民主政治と清潔な独裁政治のいずれをとるか、これは人類社会における最も解答困難な命題であるかもしれない。

一見、簡単な選択である。しかし本当にそうだろうか?
現代なら、多くの人が民主政治を選ぶだろう。しかし200年前の人ならどうだろうか?
このように考えると、絶対的な良し悪しではないのかもしれない。
ただ個人的には選択肢の無い専制政治より、選択肢の有る民主政治の方がましである。

善悪

絶対的な善と完全な悪が存在する、という考えは、おそらく人間の精神をかぎりなく荒廃させるだろう。
自分が善であり、対立者が悪だとみなしたとき、そこには協調も思いやりも生まれない。

人間は、自分が悪であるという認識に耐えられるほど強くはない。
人間が最も強く、最も残酷に、最も無慈悲になりうるのは、自分の正しさを確信したときだ。

世の中には完全な善悪は存在しない。存在するのは相対的な善悪である。
多くの人が自分を善と考える。
そして自分に危害を加える人物を悪と考えるだろう。
しかし相手にとっても、自分は善であり、相手は悪である。
それは犯罪者でも変わらない。
犯罪者は自分の行為に対して、何らかの理由を付けている。
もしくは親が悪い、社会が悪いと言い訳をする。
その結果、自分が行う行為は許されると考える。
大勢の人にとっては間違った考え方だが、その本人にとっては正しいことである。
しょせん現在の善悪など、多数決の結果に過ぎない。
ただ個人的な考えを言えば、全ての犯罪は悪である。

国家

国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。
そのことさえ忘れなければ、たぶん正気をたもってるだろう。

ユリアンが軍人としてフェザーンに異動になった時、ヤンが語ったこと。
軍人は国を守るものである。しかし正確には、国民を守るためにある。
しかし戦争においては、個人より国家が優先されることがある。
国家とは何だろうか?
人にとって絶対に必要だろうか?
人が生きることにおいて、国家は必ずしも必要はない。
必要なのは効率的なシステムである。
その結果が、現在では国となっている。
道具やシステムは人に使われないといけない。
道具やシステムが人より上であってはいけない。
こんな当たり前のことなのに、なかなか守ることが出来ない。

軍事と政治

軍事が政治の不毛をおぎなうことはできない。

軍事とは政治活動における一要素に過ぎない。
政治的な目的を達成する手段として、軍事が必要になる時がある。
けっして軍事活動のために政治があるのではない。
しかし残念ながら、軍事力という力を持ってしまうと、政治的な失敗を軍事活動で補おうと考えてしまう。

睡眠

敵だってまだ寝てるさ、後世の歴史家なんて、まだ生まれてもいないよ。
おやすみ、せめて夢のなかでは平和を...

寝起きのヤンが、起こそうとするユリアンに対して話したこと。
よくある光景だが、ヤンの性格がよく出ているのでピックアップしました。
日常生活では都合の良いヤンだった。

民主主義

民主主義の制度はまちがっておらん。
問題は、制度と、それをささえる精神が乖離していることだ。

堕落していく同盟の民主主義に対して、ビュコック提督が語ったこと。
制度が間違っていなくても、悪用することは可能である。
また民主主義は個人の力に頼らずに、みんなで考える必要がある。
その考えるという面倒くささを放棄した時、堕落が始まっていく。
国民の堕落により、政治の腐敗が始まる。
政治の腐敗により、国民が堕落していく。
どちらが正解だろうか?

はじまり

そうだ、終わりのはじまりだ、フロイライン。

同盟軍への侵攻を目指して、フェザーン占領を目指しているラインハルト。
その占領軍の出発時にラインハルトが語ったこと。
決めの言葉であり、詩的な感じですらある。
ただなぜか勇ましい感じがしないのは、隣にいる人物が違うためだろうか。

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