「三略」の名言まとめました

「三略(守屋 洋、守屋 淳)」より名言をまとめていきます。

中国・武経七書の一つ「三略」
漢の高祖劉邦に従えた軍師として有名な張良が、老人より渡されたと言われる兵法書。
「六韜」と関連する項目も多く、太公望・呂尚の兵法書と言われている。
実際には長文のため管理人にて部分抜粋、難しい漢字も部分的にカナに変えています。

 

上略

国と人

国を滅ぼし家を破るは、人を失えばなり。

人を失えば国にしても家にしても、全てがダメになる。
「人・物・金」と言われるが、「人」を最重要視していることが分かる。
これは当然である。
「物・金」が合っても、「人」がいなければ役に立たない。
「人」がいれば、「物・金」は作り出すことが出来る。
分かりきったことだが、実践できている人は少ない。

 

柔・剛・弱・強

軍しんに曰く、「柔能く剛を制し、弱能く強を制す」と。
柔は徳なり、剛は賊なり。弱は人の助くる所、強は怨みの攻むる所なり。
柔は設くる所あり、剛は施す所あり、弱は用うる所あり、強は加うる所あり。
この四者を兼ねて、その宜しきを制す。

「軍しん(しんは漢字だが難しい)」とは、現存しない幻の書とのこと。
柔道で有名な言葉であり、「剛」と「強」に問題があることも指摘されている。
しかし「柔」と「弱」だけでなく、「剛」と「強」の必要性も訴えている。
偏らずにバランスが大切となる。

 

高給と礼遇

それ兵を用うるの要は、礼を崇くして禄を重くするに在り。

人を集め働いてもらうためには、礼をあつくして禄を高くしないといけない。
働いた結果として高くしても遅いということですね。
しかし実際はどうだろうか?
業績が悪いから給料を安くする。その結果として、人が集まらないから業績も上がらない。
業績が上がらないから社員に強く当たる。その結果として、さらに業績が上がらない。
順番が間違っているのは明白となる。

 

表と裏

軍しんに曰く、「軍は賞を以って表となし、罰を以って裏となす」と。

組織において必要なのは「信賞必罰」であり、それは表裏である。
よく「褒めて伸ばす」とう言葉がある。これは一面としては正しい。
次に「厳しくしないといけない」という考え方もある。これも一面としては正しい。
しかし両方共、それだけでは足りないのは間違いない。
褒める所、叱る所、それぞれ必要に応じて使い分けることが大切。

 

恩と民

寡を以って衆に勝つものは恩なり。
弱を以って強に勝つものは民なり。

少なくして勝つためには、ほどこしが必要になる。
弱くても勝つためには、人々の協力が必要になる。
ここでも勝つためには、まず与えることから始める必要性が書かれている。
分かってると言われそうだが、出来てないので仕方がない。

 

多数の意見

故に主、異言を察すれば、すなわちその萌をみる。
主、儒賢を聘すれば、姦雄すなわちのがる。

複数の人から意見を聞けば、誰かの企みに気づくことが出来る。
よく優秀だからと考えて、1人の人ばかりに頼ることがある。
それが間違いとは言わないが、その人物が悪巧みをすると目も当てられない。
第三者の意見が正しいとは限らないが、判断基準の一つにはなる。

 

中略

義者と智者

義士を使うに財を以ってせず。
故に義者は不仁者のために死せず。智者は闇主のために謀らず。

高給を与えただけでは上手くいかない。
やる気のある者を粗略に扱ったら、やる気を無くしてしまう。
優秀な者のアイデアでも、採用しなければアイデアを出さなくなる。
やはり人は、お金だけでは動かない。

 

敵国と謀臣

それ高鳥死して良弓蔵われ、敵国滅びて謀臣亡ぶ。

力のある臣下は強敵がいなくなると、君主にとって危険な存在になる。
その結果として、天寿をまっとう出来ない人も多い。
本当に引き際というのは難しい。

 

下略

楽しみ

人を楽しましむる者は久しくして長く、身を楽しましむる者は久しからずして亡ぶ。

人を楽しませると長く続き、自分が楽しむことを優先するとすぐに終わってしまう。
自分を楽しませるためにお金を使う人を、非難するつもりは無い。
それによって潤う人がいる。
ただ結果として、その本人がどうなるかは多くの人が知るだろう。

 

近くと遠く

近きを釈てて遠きを謀る者は、労して功なく、遠きを釈てて近きを謀る者は、佚して終わりあり。

近くを無視して遠くばかりを見ていては、苦労ばかりで成果が出ない。
遠くを無視して近くを見れば、目的を達することが出来る。
大目標や数字ばかりを追いかけて、目の前の対策を怠れば結果は出ない。
眼の前の対策を確実に行えば、自然に結果は着いてくる。
目標未達の者を怒るだけで方法を指導しないとすれば、その上司は無能である。

 

疑いと戸惑い

衆疑えば国を定むるなく、衆惑えば民を治むるなし。
疑い定まり惑い還りて、国すなわち安かるべし。

民が国を疑えば、国が安定することは無い。
民が戸惑いを見せれば、何をするにも気持ちが入らなくなる。
国にしろ組織にしろいつも思うのだが、方法論ばかりのような気がする。
数値が改善されれば、みんなが喜ぶと考えている。
けどこれは順番が逆では無いだろうか?
みんなが喜ぶから結果が良くなるのである。
頭のいい人達は計算ばかりで、心理面を見ていない。

 

いるべき場所

それ人の道に在るは、魚の水に在るが若し。
水を得て生き、水を失いて死す。

魚が水の中でしか生きられないように、人も自分の居場所以外では生きられない。
しかし多くの人は自分の出来ることではなく、自分のすべきことを優先している。
結果として効率が上がらず、結果もついてこない。
いろいろな場所に移動したり、いろいろな職種を経験させることが悪いとは限らない。
しかし決まりとして一律にすることが正しいとは思わない。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 
 
 
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