シャーロック・ホームズの名言まとめました

コナン・ドイル作「シャーロック・ホームズシリーズ」
ホームズの名言や推理の考え方を作品別にまとめていきます。

緋色の研究

「だがいまこうして知ったからには、これからはせいぜいそれを忘れるように努めなきゃ」

人間の脳の記憶量には、限界があると考えているホームズ。
ワトスンが話した探偵として必要のない知識は、聞いた端から忘れようとしている。

「それがぼくにとってなんの役に立つんです?」
「われわれは太陽のまわりをまわっている、そうきみは言う」
「ですがね、たとえわれわれのまわっているのが月のまわりであろうと、それはぼくにとって、あるいはぼくの仕事にとって、これぽっちの差異ももたらすわけじゃないんです」

太陽と地球の関係を話すワトスンに対して、全く興味を示さないホームズ。
ちょっと極端だが、「必要性」の一点のみがホームズの価値観となる。

「そもそも犯罪というやつには、それぞれにいちじるしい類似性があるものでね」
「だから、およそ一千もの事例に精通しているかぎり、一千一例めのやつが解き明かせないというほうが、かえって不思議なくらいなんです」

犯罪について、過去の膨大な情報を把握しているホームズ。
観察はもちろんだが、この膨大な知識量がホームズの推理を支えている。

「きょうび、まともな犯罪や犯罪者には、めっきりお目にかかれなくなった」
「せっかくぼくほどの頭脳をそなえていながら、職業のうえでは、それがなんの役にも立っていない」

誰よりも探偵という職業に自信を持っているホームズ。
しかしその技術を活かせる犯罪や犯罪者が、いなくなったことを嘆いている。

「ぼくには一目でわかったんだが、どうしてわかったのかを説明するほうが、かえってむずかしい」
「二足す二が四になることはよく知ってても、そうなる理屈を説明しろと言われたら、ちょっと困るのとおなじでね」

ある人物の外見的特徴から、前職を言い当てたホームズ。
それを聞いたワトソンは説明を求めたが、返って困惑している。
車の運転は出来ても、その動作を説明するのは難しいですよね。

「まだ判断の材料がないからね」
「具体的な証拠がそろわないうちに、論を立てようとするのは大きなまちがいだよ」
「それは判断をゆがめるおそれがある」

事件について何も考えないホームズに対して、ワトソンが問いかけ時に答えてたこと。
間違った予想をしてしまうと、その予想に都合の良いものだけ採用してしまう。

「よく言われることだが”天才とは無限に努力しうる才能”なんだそうだ」
「ずいぶん雑駁(ざっぱく)な定義だが、それでも探偵仕事にはたしかにあてはまるね」

ホームズが殺人事件の現場確認の後、ワトスンに話したこと。
探偵には天才が必要ということか、それとも自分がその天才だということか?

「手品師はいったん種明かしをしてしまったら、もう感心されないし、尊敬もされなくなる」
「ぼくの捜査方法にしてもおなじだ」
「きみにあんまり手のうちを明かしすぎると、なんだ、所詮はおまえもただの凡人じゃないか、ってな結論を出されかねないからね」

現在までに分かっている推理を、ワトスンに話すホームズ。
しかし少し話しすぎたと考えて、最終的な結論は話さなかった。

「ああいった物乞いの子供ひとりが、十人もの警官に匹敵することだってあるんだ」

ホームズが情報収集に利用している、浮浪児6人からなる「ベイカー街少年隊」
その優秀さをワトスンに話している。

「もっと自分を信頼すべきだったな。とっくにわかっててもよかったんだ」
「あるひとつの事実が、そこまでたどってきた長い推理の筋道と矛盾するように見えるときは、必ずやそこに、なにかべつの解釈がありうるということに」

実験の結果が悪かったため自分の推理を疑うホームズ。
しかし実験方法自体が間違っていたことに気づき、正しい実験方法にたどり着く。

「あのね、どれだけ仕事をしたかなんてこと、世間じゃたいして問題にはされないのさ」
「問題はむしろ、どれだけの仕事をしたと、世間に信じさせられるかどうかなんだから」

事件を解決したのはホームズだが、手柄は両警部になっていることを指摘するワトスン。
それに対する答えだが、そもそも名声には興味のないホームズだった。

「いつかも話したことだが、異常な事柄というのは、手がかりにこそなれ、けっして捜査の妨げにはならない」

特殊な出来事や不思議な発見があると、人は混乱するもの。
しかしホームズにとっては、ヒント以外の何物でもなかった。

「たいていのひとは、一連の出来事を順序だてて説明されれば、その結果がどうなるかを言いあてることができる」
「それらの出来事を頭のなかで積み重ねていって、そこから出てくる結果を推測するわけだ」
「しかるに、ある結果だけを先に与えられた場合、自分の隠れた意識の底から、論理がどういった段階を経て発展して、そういう結果にいたったのか、それを分析できる人間はほとんどいない」
「あとへあとへと逆もどりしながら推理する、もしくは分析的に推理するとぼくが言うのは、この能力のことを意味してるんだ」

ホームズが行っている推理の筋道になる。
例えば、「1+1=」の答えは誰でも知っているが、「2という答えから、私が考えている数式を当てなさい」という問題を答えるのが難しいのと同じですね。

四人の署名

「ぼくはけっして名利はもとめない。ぼくの名が新聞紙上を飾ることもない」
「ただ純粋にその仕事そのもの、ぼくの独特の能力を発揮できる舞台を見いだす喜び、それだけがぼくにとってのこのうえない報酬なのだから」

探偵は生活する上での仕事でもあるが、それ以上の物を感じているホームズ。
探偵という名の職人ですね。

「ぼくはけっして当て推量はしない。当て推量なんて、とんでもない悪習だよ」
「論理的な能力を損なうだけのものさ」

ワトスンから渡された時計を見て、持ち主を言い当てたホームズ。
その時に語ったことだが、「想像」や「カン」では無く論理的なことを優先している。

「なによりたいせつなことはね、相手の個人的資質によって、その相手への判断を狂わされないようにすることさ」
「依頼人というのはこのぼくにとって、ある問題を構成するひとつの単位、ひとつの因子にすぎない」
「好悪の感情なんてものは、明晰な推理の敵以上のなにものでもないんだから」

依頼人が善人に見えても、また美人であっても、それを一切考慮しないホームズ。
それに対してワトスンは、美人の依頼人にすっかり興奮している。

「ぼくは例外を認めない。例外は原則を否定するものだ」

ワトスンの抵抗に対して、あくまで自分の考えを優先するホームズ。
探偵としては好ましいが、人としては難しいところですね。

「それは逆だよ。刻一刻とはっきりしてきている」
「あとほんの二つ三つ、欠けている鎖の環が見つかりさえすれば、全体がぴたりとつながるんだ」

余りの奇々怪々な状況に、混乱するばかりのワトスン。
しかし奇々怪々な状況こそ、物事を簡単にさせるとホームズは考える。

「これまでに何度も言ってるじゃないか」
「ありえないことをぜんぶ排除してしまえば、あとに残ったものが、どんなにありそうもないことであっても、真実にほかならない、と」

ホームズの推理法の中で、最も有名な一つになる。今ならコナン君の言葉として有名?

「ああいう手合いと話をするときにはね、向こうの言うことがこっちにとって、わずかでも値打ちがある、とぜったいに相手にさとられないのがなにより肝心なのさ」
「それをさとらせてしまったが最後、向こうは牡蠣のように口をとざしちまう」

探偵という立場を明かさず、偶然を装って聞き込みを行ったホームズ。
自分にとって必要な情報を、単なる立ち話のように聞きだしている。

「いや、疲れていないんだ」
「どうもいささか妙な体質でね。仕事ちゅうは、疲れを感じた覚えがない」
「そのかわり、だらけてると、たちまち体調がおかしくなる」

仕事中は疲れを知らないホームズ。まさにワーカホリックですね。

「といっても、ぼくならそのへんをあまり詳しくしゃべったりはしないがね」
「女性というのは、いつの場合も、とことんまで信頼しきることはできないという通弊がある」
「どんなにすぐれた女性においてもだ」

女性に対して、少し偏見を持っているホームズ。これに対しては何も言えない。

「こういったごく簡単なことほど、じつはもっとも見のがされやすいのさ」

ホームズを悩ましていた問題は、分かってしまえば簡単なことだった。
それを指摘したワトスンに対して、ホームズが簡単ゆえの難しさを語っている。

「つけるかどうかじゃなく、つかなきゃいけないんだ、なんとしてでも!」

犯人を追跡する時、ホームズが叫んだこと。いつも冷静とは限らない。

「恋愛というのは情緒的なものであり、おしなべて情緒的なものというのは、ぼくがなにより重きを置く、純正かつ冷徹な理性とは相容れない」
「だからぼくは、自分の判断力を狂わせないためにも、生涯、結婚なんかしないつもりでいるのさ」

ホームズの恋愛及び結婚感になる。もっとも、突然くるのが恋愛なのだが。

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シャーロック・ホームズの冒険

ボヘミアの醜聞

「そりゃそうだろうさ。きみはたしかに見てはいる。だが観察はしない」
「見るのと観察するのとでは、大ちがいなんだ」

ワトソンに対して、自分との違いを話すホームズ。
例えば、すずめは誰でも知っているが、すずめの外見的特徴を話せる人は少ない。
これと同じこと。

「このときちらっと目にはいっただけだが、たしかにきれいな女だったよ」
「あれならば男が焦がれ死にしても無理はない、そんな美貌だった」

今回のターゲットとなる美女、アイリーン・アドラーを見たホームズの感想になる。
ホームズが外見を褒めるのは珍しい。

「いや、これよりもぼくにとって、もっと価値のあるものを陛下はお持ちです」
「この写真です」

捜査についてはアイリーン・アドラーに、してやられたホームズ。
くやしがるどころか、報酬としてアイリーンの写真を要求する。
そして以後アイリーンのみ、「あの女性」なる敬称をつけるのだった。

赤毛組合

「近ごろぼくは、なまじ説明なんかするのはまちがってるって、そうさとりだしたところなんだ。諺にも言うじゃないか──”なべて未知なるものこそ偉大なれ”って」
「なのにぼくはばか正直が過ぎて、おかげでせっかくのささやかな評判も、いずれうたかたの露と消えることになるだろう」

依頼人に対して外見的推理を披露したところ、依頼人は説明を求めてきた。
気軽に話したホームズだが、あまりにも簡単なことだったので相手は落胆してしまう。
それに対するホームズだったが、今後も同じことが繰り返されることになる。

「ここの建物の配置だが、これをよく覚えておこう」
「ロンドンという街について、正確な知識を持っておくというのが、ぼくの趣味のひとつなのさ」

探偵という仕事上、土地勘を大切に考えるホームズ。それは趣味、それとも仕事?

「まあ退屈しのぎにはなったがね。おやおや、その退屈が早くもぶりかえしてきたぞ!」
「思うにぼくの一生というものは、平々凡々たる生きかたからのがれようとする闘いの、そのはてしなき連続じゃないのかな」
「その闘いでぼくを助けてくれるのが、こうしたささやかな事件なのさ」

事件解決後、ワトスンに退屈が嫌いなことを話すホームズ。
被害者が聞けば怒りそうですね。

花婿の正体

「人生というのは、およそひとの心が思いつけるようなどんなものよりも、はるかに不思議なものだね」
「実際には日常のごくありふれた事柄でしかないものにも、われわれの想像ではとても追いつかない部分がある」

ふいにホームズがワトスンに語ったこと。
いろいろな事件に関わり、人より多くの不思議を体験しているホームズでも、知らないことの方が圧倒的に多い。

「いや、ご心配なく。物事を知るというのがぼくの仕事ですから」
「たぶん、ほかのだれもが見落とすようなことでも、仔細に見てとるという訓練ができているんでしょう」
「でなければ、あなただって、わざわざぼくの助言をもとめにいらしたりはしないはずです」

依頼人の女性に対して、得意の外見的推理を指摘するホームズ。いつもの「つかみ」ですね。

「見えなかったんじゃなくて、気づかなかったんだよ、ワトスン」
「どこを見るべきかを知らないから、大事なところをみんな見落としてしまう」

依頼人の観察に対して、ワトスンにホームズが語ったこと。
見えていても自分に興味が無ければ、見えていないと一緒。

「かりに話したところで信じないだろうね。ペルシアの古い諺にもあるとおりさ」
「”虎子を得んとするものに災いあり、女より幻想を奪わんとするものにも災いあり”って」
「ハーフィズの言葉には、ホラティウスのそれにも劣らぬ含蓄があるし、おまけにこの詩人は世間をよく知っているよ」

依頼人には結論を話さないと決めたホームズ。
話すことによる問題より、話さないことの問題の方が小さいと判断する。

ボスコム谷の惨劇

「ところが、その状況証拠なるものこそ曲者なのさ」
「それはひとつところをまっすぐ指し示しているかに見える」
「しかるに、視点をほんのすこしずらしてみると、そのおなじ証拠が、まったくおなじ揺るぎのなさで、それとは正反対のなにかを指し示しているとわかるんだ」

明らかな状況に納得するワトスンに対して、ホームズが反論したことになる。
小説の定番ですが、現実ではどうですかね?

「結構です。ですが、あなたを裁くのはぼくの役目ではありません」

犯人を特定し、相手から自白も受けたが、警察には連絡しなかったホームズ。
悪を憎むホームズだが、自分の正義と法律を天秤にかけた時、正義を優先することもある。

五つのオレンジの種

「ぼくの友達といえば、きみしかいないよ。べつに客を呼んだりすることもないしね」

雨の強い日に呼び鈴が鳴った時、ワトスンに対してホームズが話したこと。
事実かもしれないが、サラッといいますね。

「そこで、まず真っ先に考えるべきは、あなたの身にひしひしと迫っている危険を取り除くこと」
「謎を解いたり、悪人どもを懲らしめたりするのは、二の次、三の次です」

事件の解決より、依頼人の安全を第一に考えるホームズ。
ホームズにとって一番大切なのは、解決ではなく予防ということが分かる。

「今回の事件では、これまでの出来事の結果がどうなるか、それはまだつかめていない」
「それは推理によってのみ到達できるものだからね」
「五官に頼って解決をもとめる連中が、ことごとく行きづまったような難問でも、書斎にいるだけで解けることはあるんだ」

突然訪れた緊急で、また異常な事件に対して、方向性を見つけることが出来ないホームズ。
まず分かっている情報から、何かを導き出そうとしている。

「ぼくはプライドを傷つけられたよ、ワトスン」
「もちろん、けちな感情ではあるんだが、それでもプライドが傷ついたことはまちがいない」
「こうなれば、もはやぼく自身の問題だ。ほうっておくわけにはいかない」
「今後はこの命あるかぎり、いつかぜったいにこの悪党一味をこの手で捕えてみせる」

せっかく依頼を受けていたが、捜査を始める前に相手に先手を打たれたホームズ。
プライドが傷つき、そして報酬に関係なく、相手を捕まえることを宣言する。

「飢え死にしそうだよ。食べることなんか忘れてた。朝からなにも食べていない」

朝から捜査に没頭し、夜まで何も食べていないホームズ。
この集中力や行動力が、事件を解決に導いていく。

くちびるのねじれた男

「ねえ、ワトスン、きみは沈黙というすばらしい資質に恵まれているね」
「だからこそきみは、かけがえのない旅の道連れなんだ」
「実際、ぼくにとっては、話したいときに話し相手になってくれるだれかがいてくれる、これほどありがたいことはない」

急な依頼でも受けてくれるワトスンに対して、ホームズが語ったこと。
話したい時に話せるというのは、話したくない時に話さなくていいとのセットになる。

「じつはこの事件、うわべはばかばかしいほど単純に見えるが、そのくせ、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからないときている」
「いってみれば、糸口は山ほどありそうなのに、どれもしっかりつかめない、といったところかな」

単純であり、また情報が多いために、返って混乱しているホームズ。
それをまとめるのにワトスンと話すのは、最良の手段となる。

「これでもぼくはいろんな経験をしてきましたから、女性の直観のほうが、分析的推理による結論よりも値打ちがある場合もある、それを知らないわけではありません」

まだ結論に達していないホームズに対して、依頼人の女性は自分の考えを話しだした。
それは論理的なものではなかったが、それゆえに真実をついている可能性も示唆していた。

青い柘榴(ざくろ)石

「シャーロック・ホームズというものだが、他人の知らないことを知るというのがぼくの商売なんでね」

ある人物に対してホームズが話したこと。少し冗談っぽい感じですね。

「いまはクリスマス──ひとを許す季節だ」
「ひょんなことから、すこぶる珍しくて風変わりな事件が、ぼくらの手にころがりこんできた」
「だから、その解決それ自体がひとつの報酬なのさ」

ある犯罪を解決したホームズだが、犯人を警察には突き出さなかった。
善意ばかりではないが、自身の正義と合えば、必ずしも法の番人ではないホームズだった。

まだらの紐

「はは、なかなか愉快なご仁だね」
「あともうすこしここで辛抱していてくれれば、ぼくも体の大きさでは及ばないまでも、腕力ではたいしてひけをとらないことを証明してやれたんだが」

ホームズを脅迫に来た人物は、暖炉の火かき棒を二つ折りに曲げてから帰っていった。
それに対してホームズは、曲がっている火かき棒を元に戻しながら話したのだった。

「隠微も隠微、忌まわしさもじゅうぶん、まさにお釣りがくるくらいさ」
「医者が悪の道に走ると、最悪の犯罪者になる傾向がある」
「なにしろ度胸もあり、知識にも事欠かないからね」

医者が犯人と考え、警戒しているホームズ。
確かにいつも生命と向き合っているため、良くも悪くもあっていますね。

「暴力を用いれば、畢竟(ひっきょう)、それがおのれにはねかえってくる」
「他人のために穴を掘るものは、自らその墓穴に落ちる。因果応報さ」

ある人物の状況に対してホームズが語ったこと。全てがそうあればいいのだけれど。

技師の親指

「経験を得たさ。間接的ながら、それがいずれ役に立ってくれるときがくる」
「今回の経験を言葉にして語るだけで、これから先一生、座談に長けたひととして評判を得られるだろうからね」

結果として依頼人はケガをした上に、何一つ得るものが無かった。
そんな依頼人に対してホームズが語ったことだが、ようは考え方次第ですね。

独身の貴族

「これはどうも、あまりありがたくない社交的なご招待と見たね」
「そういう場所に出ると、退屈させられるか、心にもない嘘を強いられるかするだけなんだ」

高級そうな手紙が来ていたのでイヤな予感がするホームズだったが、予想外の相手だったため、好奇心が上回る。
しかしホームズの性格がよく分かる言葉ですね。

「いやね、ワトスン、気どって言うわけじゃないが、依頼人の身分なんてのはこのぼくにとって、事件への興味ほど重みもないんだ」

依頼人の身分にはまったく興味を持たないホームズ。
実際、高貴な依頼人の案件も平気で断るし、また報酬が低くても興味があれば引き受ける。

「かたじけなくもあのお殿様、ぼくの頭をご自分の頭と同列に扱ってくれたよ」

ホームズの言い方が気に入らず、少し怒り気味で帰った依頼人。
しかし不満を持っているのは、ホームズも同じだった。

「たしかになにもないと見えるかもしれない。それでもやはり、きわめて重要なんだ」

レストレード警部が持ってきたメモを見た時、ホームズが話したこと。
ホームズがよく言っているように、見えていても観察できていない。

緑柱石の宝冠

「問題があなたや警察の当初考えたのよりも、はるかに底の深いものであると、まだお気づきにならないのはなぜでしょう」
「あなたには、事件は単純なものと見える。ぼくにはそれがきわめて複雑なものと見える」

依頼人が単純な考えに固執し、また冷静さを欠いていることに対して苛立ちを隠せない。
こういう場合、少し辛辣な表現を使うホームズだった。

「残念ながら、ありうるありえないの問題ではない。事実なのです」

ある事実を信じない依頼人に対して、ホームズが話したこと。
事実は残念ながら、残酷な要素も含んでいる。

橅(ぶな)の木屋敷の怪

「ぼくはいつだってそうなんだ──いつ見ても、なんだかぞっとさせられる」
「これは経験から言うんだけどね、ワトスン、こういう明るく美しい田園のほうが、ロンドンの最低、最悪の裏町なんかより、よほどおそるべき悪の巣窟だと言うべきなんだよ」

田園風景が広がる田舎の恐ろしさを語るホームズ。
日本の小説でも残忍は犯罪は、町より村で起こるイメージですからね。

「いいかいワトスン、きみも医学者として、両親を観察することで子供の性向を診断するということは、たぶん日常的にやっているはずだ」
「なら、逆もまた真なり、とは思わないか?」
「ぼくにはたびたびそういう覚えがある──子供を観察することで、両親の性格をはじめて正しく認識することができた、という覚えがね」

親子の性格の関連性を話すホームズ。
大人は性格を隠すこともあるので、子供から見るという考えもありますね。

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