「キッチン(吉本ばなな)」の名言・台詞まとめました

「キッチン(吉本ばなな)」の名言・台詞をまとめていきます。

 

キッチン

キッチン

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。

 

ただ星の下で眠りたかった。
朝の光で目覚めたかった。
それ以外のことは、すべてただ淡々と過ぎていった。

 

雨に覆われた夜景が闇ににじんでゆく大きなガラス、に映る自分と目が合う。
世の中に、この私に近い血の者はいないし、
どこへ行ってなにをするのも可能だなんてとても豪快だった。

 

祖母が死んで、この家の時間も死んだ。
私はリアルにそう感じた。

 

なにが悲しいのでもなく、私はいろんなことにただ涙したかった気がした。

 

ものすごいことのようにも思えるし、なんてことないことのようにも思えた。
奇跡のようにも思えるし、あたりまえにも思えた。

 

本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよ。
子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ。
そこからがはじまりなのよ。

 

満月──キッチン2

扉の閉まる音と共に、やっとひとりになったらぐったりと疲れているのに気づいた。
部屋は、秒を刻む時間を感じさせないほどにしんとして、
私だけが生きて活動していることを申しわけなく思うような静止した雰囲気をかもしだしていた。

 

幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。

 

どうしても、自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。
でないと生きている気がしない。だから、こんな人生になった。

 

帰る家族があればロマンチックな気分なのだろうけれど、
私は本当のひとり身なのでシャレにならないくらい強く孤独も感じる。
でも、そうして生きてゆくのが自分にはいちばん合うような気さえした。

 

夜は今日も世界中に等しくやってきて、過ぎてゆく。
触れ合うことのない深い孤独の底で、今度こそ、ついに本当のひとりになる。

 

人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。
選ぶ瞬間を夢見ている、と言ったほうが近いのかもしれない。

 

着替えて、また現実の一日へスタートするのだ。
くりかえし、くりかえしスタートする。

 

ムーンライト・シャドウ

そんな気がしたなんて、後からいくらでも言える乙女の感傷だ。
しかし私は言う。そんな気がしました。

 

夜眠ることがなによりこわかった。
というよりは、目覚める時のショックがものすごかった。

 

私は祈るように思い続けた。
大丈夫、大丈夫、いつかはここを抜ける日がやってくる。

 

後から思えば、運命はその時一段もはずせないハシゴだった。
どの場面をはずしても登り切ることはできない。

 

言葉というよりは、祈りだった。

 

別れも死もつらい。
でもそれが最後かと思えない程度の恋なんて、女にはひまつぶしにもなんない。

 

私は幸せになりたい。
長い間、川底をさらい続ける苦労よりも、手にしたひと握りの砂金に心をうばわれる。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 
 
 
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