「世界の中心で、愛をさけぶ(片山恭一)」の名言・台詞まとめ

「世界の中心で、愛をさけぶ(片山恭一)」の名言・台詞をまとめていきます。

 

世界の中心で、愛をさけぶ

第一章 1

朝、目が覚めると泣いていた。いつものことだ。
悲しいのかどうかさえ、もうわからない。
涙と一緒に、感情はどこかへ流れていった。(松本朔太郎、サク)

 

夢のなかで彼女は笑っている。
あのいつもの、ちょっと困ったような笑顔で。(サク)

 

夢が現実で、この現実が夢ならいいと思う。
でも、そんなことはありえない。
だから目が覚めたとき、ぼくはいつも泣いている。(サク)

 

悲しいからではない。
楽しい夢から悲しい現実に戻ってくるときに、跨ぎ越さなくてはならない亀裂があり、
涙を流さずに、そこを超えることができない。(サク)

 

何度やってもだめなのだ。(サク)

 

美しい街だと思った。何を見ても物珍しく、奇妙で新鮮だった。
それはぼくが見るものを、アキが一緒に見ていたからだ。(サク)

 

でも、いまはどんなものを見ても、何も感じない。
ぼくはいったいここで、何を見ればいいのだろう。(サク)

 

 

呆気なく、一人の女の子がこの世から消えてしまったのは、
六十億の人類から見れば、きっと些細なことだ。(サク)

 

でも六十億の人類という場所に、ぼくはいない。
ぼくがいるのは、たった一つの死が、あらゆる感情を洗い流してしまうような場所だ。(サク)

 

「わたし、アジサイの花って好き」
「花が咲いたら一緒に見にこない?」(廣瀬亜紀、アキ)

 

「ねえ、松本くん。わたしのことをいろいろ書くのはかまわないの」
「でも世の中には、実際に病気で苦しんでいる人たちがいるわけでしょう」(アキ)

 

「たとえ冗談にしても、そういう人たちをネタにして同情を買うの、わたしは嫌いよ」(アキ)

 

「(十年後?) わたしたち二十五歳ね」
「でも、それまでにどうなるかわからないもの、松本くんもわたしも」(アキ)

 

彼女に恋をしていることは、ぼくがぼくであることと同じくらい自明な事柄だった。(サク)

 

一人で生きる人生は、ただ長く、退屈なものに感じられる。
ところが好きな人と一緒だと、あっと言う間に分かれ道まで来てしまうのである。(サク)

 

「そんなに長いあいだ(五十年)」
「お互い一人の人のことを思いつづけていられるなんて素敵じゃない」(アキ)

 

「(不倫?) 純愛にきまってるじゃない」(アキ)

 

「奥さんや旦那さんから見ると不倫だけど、二人にとっては純愛なのよ」(アキ)

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「いつかわからないから、寿命と言うんだ」
「わかっていれば、ただの計画だ」(朔太郎の祖父)

 

「好きな人を亡くすというのは悲しいものだ」
「この思いは、どんなふうにしたって形で表せない」(朔太郎の祖父)

 

「わたしはやっぱりどこか景色のいいところに撒いてほしいな」(アキ)

 

第二章 1

いま見ているものは、彼女が見なかったものだ。
かつても見なかったし、これからもけっして見ることはない。(サク)

 

ここはどこだろう、と自分に問いかけてみる。
この場所を特定することは可能だ。
でも、そんなことにはなんの意味もない。
ここがどこであろうと、そこはどこでもないのだから。(サク)

 

アキが死んで、世界中が砂漠になってしまった。
彼女が逃げていく。
世界の果ての、さらにその先まで。
追いかけるぼくの足跡を、風と砂が消し去っていく。(サク)

 

人の目を盗んで、素早くキスをするのが好きだった。
世界が与えてくれる果実の、
いちばん美味しい部分だけをかすめ取っているような気分だった。(サク)

 

「(結婚?) わたしもよ」
「ずっと一緒にいたいから」(アキ)

 

「どっちが幸福なのかしらね」
「好きな人と一緒に暮らすことと」
「別な人と暮らしながら好きな人のことを思いつづけることと」(アキ)

 

「昔の人はそんなふうに」
「人が人を思う力をすごく強いものと考えていたんじゃないかな」(サク)

 

「明日からまた勉強だな」
「でも、それまでは愛に生きよう」(サク)

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「急がずに、ゆっくり一緒になっていきましょうね」(アキ)

 

第三章 1

「まだ半年以上もあるのか」
「でも長いな。こんなことになるなら、元気なうちに見にいっとけばよかった」(アキ)

 

「午前中はすごく落ち込んでたの」
「自分が死ぬことやなんかを考えて」(アキ)

 

「朔ちゃんと永遠に別れなければならないんだってわかったら」
「いったいどんなふうになってしまうだろうって」(アキ)

 

「自分がこの世にいないってどういうことなのか、見当もつかない」(アキ)

 

「命が限られているのって、なんだか不思議な気分」
「当たり前のことなんだけど、普段はそんなことを考えずに生きているから」(アキ)

 

「わたしがいちばん恐れなくちゃならないのは、病気が治らないことじゃなくて」
「病気のせいで性格が悪くなってしまうことかもね」(アキ)

 

「病気になる前に考えてたの」
「もし朔ちゃんがわたしを置いて死んでしまったら、そのときは尼寺に入ろうって」(アキ)

 

「だって朔ちゃん以外の人と結婚して、子供とか生まれて」
「お母さんになって歳をとっていくなんて、想像できないもの」(アキ)

 

「ちょっと違うような気がする」
「理解することは利用することじゃないもの」(アキ)

 

「わたしはね、いまあるもののなかに、みんなあると思うの」(アキ)

 

「いまここにないものは、死んでからもやっぱりないと思うの」
「いまここにあるものだけが、死んでからもありつづけるんだと思う」(アキ)

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なんと急速に、悲劇的に時間は流れることだろう。
幸福はまるで刻々と姿を変える雲のようなものだ。(サク)

 

どんなに輝かしい時間も、ほんの気まぐれのように、また戯れのように、
あまりにも速く過ぎ去ってしまう。

 

「自分が死ぬなんて、いまでも想像がつかない」
「それなのに死は、もうすぐ目の前に来ている」(アキ)

 

「昨日はまだ自信があったの、自分が良くなることにたいして」
「でもいまは、明日一日を生きることさえ耐えがたい気がする」(アキ)

 

「もういいの」
「すべてのものに理由があるなら」
「わたしの病気にもきっと本当の理由があるはずだわ」(アキ)

 

「もう疲れちゃった」
「治療の苦しみに耐えることにも、病気のことをいろいろ考えるのにも」
「朔ちゃんと二人で病気のない国へ行きたい」(アキ)

 

「かならずここから連れ出してあげる」
「どうしてもだめなときは、そうしよう」(サク)

 

「二人でオーストラリアへ行こう」
「こんなところでアキを一人で死なせない」(サク)

 

「悪いけど、こればかりは言えないんだ」(サク)

 

「おじいちゃんの好きな人はもう亡くなったんでしょう」
「亡くなった人のことは打ち明けることができる」
「でもまだ生きている人のことは言えないよ」(サク)

 

「ごめんね」
「早く正しい高校生に戻りたいよ」(アキ)

 

「いまはとてもへんな気持ち」(アキ)

 

「病気のことで頭がいっぱいなのに、それについて筋道だって考えられない」
「あれほど逃げ出したくて仕方がなかったのに」
「いまはもう何から逃げだそうとしているのかわからない」(アキ)

「いま重大なことに気がついた」
「ぼくがこの世に生まれてからアキがいなかったことは」
「これまで一秒だってないんだ」(サク)

 

「ぼくが生まれてきた世界は、アキのいる世界だった」(サク)

 

「ぼくにとってアキのいない世界は全くの未知で」
「そんなものが存在するのかどうかさえわからないんだ」(サク)

 

「大丈夫だよ。わたしがいなくなっても世界はありつづけるわ」(アキ)

 

「時間の長さは、そんなに問題かしら」(アキ)

 

「わたしが朔ちゃんと一緒にいた時間は、短かったけれどすごく幸せだった」
「これ以上の幸せは考えられないくらい」(アキ)

 

「きっと世界中の誰よりも幸せだったと思う」
「いまこの瞬間だって……だからもう充分だわ」(アキ)

 

「いつか二人で話したでしょう」
「いまここにあるものは、わたしが死んだあとも永遠にありつづけるって」(アキ)

 

「アキは欲がなさすぎるよ」(サク)
「いいえ、欲張りよ」(アキ)

 

「だって、この幸せを手放すつもりはないんだもの」
「どこへでも、いつまでも持っていくつもりなんだもの」(アキ)

 

こうして未来へ向かって走りながら、その先にどんな希望も見出だせなかった。
あまりに辛いので、この辛さが現実のものとは思えなかった。(サク)

 

「連れていって」
「いま行かなければ、もう絶対に行けないわ」(アキ)

 

「助けてください」
「お願いです、助けてください」(サク)

 

「お別れね」
「でも、悲しまないでね」(アキ)

 

「わたしの身体がここにないことを除けば」
「悲しむことなんて何もないんだから」(アキ)

 

「天国はやっぱりあるような気がするの」
「なんだか、ここがもう天国だという気がしてきた」(アキ)

 

「ぼくもすぐに行くから」(サク)
「待ってる」(アキ)

 

「でも、あんまり早く来なくていいよ」
「ここからいなくなっても、いつも一緒にいるから」(サク)

 

「またわたしを見つけてね」(アキ)
「すぐに見つけるさ」(サク)

 

第四章 1

毎日を生きることは、一日一日、精神的な自殺と復活を繰り返すようなものだった。
夜眠る前に、ぼくは自分がこのまま二度と目覚めないことを願った。(サク)

 

どんな一日をとっても、前の日とは切り離されていた。
連続的な時間は、ぼくのなかを流れなかった。(サク)

 

「ぼくは夢を見ているんだろうか」(サク)

 

第五章 1

「ときどき自分でも、夢なのか現実なのかわからなくなることがある」
「過去の出来事が実際に起こったことなのかどうか」(サク)

 

この世界には、はじまりと終わりがある。
その両端にアキがいる。
それだけで充分な気がした。(サク)

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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