「シャーロック・ホームズの冒険(コナン・ドイル)」の名言をまとめていきます。
シャーロック・ホームズの冒険
ボヘミアの醜聞
シャーロック・ホームズにとって、彼女(アイリーン・アドラー)はいつの場合も”あの女性”である。それ以外の呼びかたで、彼女のことを口にすることはめったにない。
彼の目から見た彼女は、女性という性全体を圧倒し、ほかの女性すべての影を薄くさせてしまっているのである。(ジョン・H・ワトスン)
「きみの説明を聞くと、いつもばかばかしいほど単純に思えて、自分でも簡単にやれそうな気がするんだが、そのくせ、君の推考の一段階ごとにひっかかって、きみの口から論証の過程をひとつひとつ説明してもらうまでは、まるきり五里霧中だ」(ワトスン)
「そりゃそうだろうさ。きみはたしかに見てはいる。だが観察はしない。見るのと観察するのとでは、大ちがいなんだ」(シャーロック・ホームズ)
「まだデータがそろっていない。判断の根拠となるデータもなしに、やみくもに理論を立てるのは、愚の骨頂だよ」
「それをやると、事実にそって理論を立てるのではなく、つい事実のほうを理論に合わせてねじまげるようになる」(ホームズ)
「このときちらっと目にはいっただけだが、たしかにきれいな女(アイリーン・アドラー)だったよ。あれならば男が焦がれ死にしても無理はない、そんな美貌だった」(ホームズ)
「その連中は探しかたを知らなかったのさ」
「探しはしない」「ご本人が教えてくれるさ」(ホームズ)
「おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん」(変装したアイリーン・アドラー)
写真があるかぎり、それがこちらの身を護る武器になってくれます。かわりに写真を一枚置いてゆきますので、王様がお望みなら、さしあげてくださいませ。
それでは、シャーロック・ホームズ様、ご機嫌よう。心よりあなた様を尊敬する、アイリーン・ノートン(旧姓アドラー)より(アイリーン・アドラーの手紙より)
「いや、これよりもぼくにとって、もっと価値のあるものを陛下はお持ちです」
「この写真です」(ホームズ)
赤毛組合
「物事に一風変わった効果とか、異常な組み合わせなどをもとめるならば、実生活そのものにこそ、もとめるべきである」
「それはいつの場合も、どんな想像力の働きよりも奔放なんだから」(ホームズ)
「世のなかでなにより不思議な、なにより異常な出来事というのは、往々にして、大がかりな犯罪というより、むしろ小さな、しかも場合によっては、はたしてほんとうに犯罪が行われたのかどうかも疑わしい、そんな犯罪に結びついていることが多い」(ホームズ)
「近ごろぼくは、なまじ説明なんかするのはまちがってるって、そうさとりだしたところなんだ。諺にも言うじゃないか──”なべて未知なるものこそ偉大なれ”って」
「なのにぼくはばか正直が過ぎて、おかげでせっかくのささやかな評判も、いずれうたかたの露と消えることになるだろう」(ホームズ)
「見かけが奇っ怪な事件に見えれば見えるほど、本質的には単純なものなんだ。ほんとうに不可解な謎は、ありふれた、なんの特徴もない事件のなかにこそあるんだよ」(ホームズ)
「いいかいドクター、いまは観察すべきときであって、しゃべってるときじゃないんだ。いまのわれわれは、敵地に乗りこんだスパイなんだからね」(ホームズ)
「ここの建物の配置だが、これをよく覚えておこう。ロンドンという街について、正確な知識を持っておくというのが、ぼくの趣味のひとつなのさ」(ホームズ)
すぐれた推理能力は、ほとんど神業の域にまで達することになるのだが、あいにく、そうした彼のやりかたに慣れていないものたちには、そのへんの機微がわからず、あげく、彼の知識は常人のそれではないとして、不信の目を向けたりする結果になる。(ワトスン)
私とて、けっして自分が他人より鈍いとは思っていないが、シャーロック・ホームズを相手にしていると、たえず自分の愚鈍さを痛感させられて、打ちひしがれることになる。(ワトスン)
「ならば、退路はすべて断ったわけだ。あとは、音をたてずに静かに待つだけだな」(ホームズ)
「いやあ、じつに鮮やかな推理だ。長く連なった推理の連鎖、だがそれでいて、連鎖のひとつひとつが、真実の響きを伝えてくる」(ワトスン)
「まあ退屈しのぎにはなったがね。おやおや、その退屈が早くもぶりかえしてきたぞ!」
「思うにぼくの一生というものは、平々凡々たる生きかたからのがれようとする闘いの、そのはてしなき連続じゃないのかな」
「その闘いでぼくを助けてくれるのが、こうしたささやかな事件なのさ」(ホームズ)
花婿の正体
「人生というのは、およそひとの心が思いつけるようなどんなものよりも、はるかに不思議なものだね」
「実際には日常のごくありふれた事柄でしかないものにも、われわれの想像ではとても追いつかない部分がある」(ホームズ)
「物事を知るというのがぼくの仕事ですから。たぶん、ほかのだれもが見落とすようなことでも、仔細に見てとるという訓練ができているんでしょう」
「でなければ、あなただって、わざわざぼくの助言をもとめにいらしたりはしないはずです」(ホームズ)
「見えなかったんじゃなくて、気づかなかったんだよ、ワトスン。どこを見るべきかを知らないから、大事なところをみんな見落としてしまう」(ホームズ)
「あいにく事件のほうは、きのうも言ったように、二、三の細部におもしろい点があるだけで、およそ怪事件なんてものじゃない」
「ただひとつ難を言えば、その張本人たる悪党に鉄槌をくだしてやれる法律、そういう法律が存在しないことぐらいかな」(ホームズ)
「おっしゃるとおり、法律ではそういうきみをどうすることもできない。しかし、重罰にあたいするといえば、きみほどそれにふさわしい人間もあるまい」(ホームズ)
「かりに話したところで信じないだろうね。ペルシアの古い諺にもあるとおりさ。”虎子を得んとするものに災いあり、女より幻想を奪わんとするものにも災いあり”って」
「ハーフィズの言葉には、ホラティウスのそれにも劣らぬ含蓄があるし、おまけにこの詩人は世間をよく知っているよ」(ホームズ)
ボスコム谷の惨劇
「いまぼくがこうしていられるのも、ホームズの事件のひとつにかかわったればこそ、なんだから、それを忘れちゃ義理を欠くというものだ」(ワトスン)
「心から信頼できる友人がそばにいてくれるかどうかで、ぼくの気持ちには天と地ほどのひらきが出てくる」
「現地の警察だって、てんで役に立たないか、先入観に目が曇らされてるかのどっちかだしね」(ホームズ)
「ところが、その状況証拠なるものこそ曲者なのさ。それはひとつところをまっすぐ指し示しているかに見える」
「しかるに、視点をほんのすこしずらしてみると、そのおなじ証拠が、まったくおなじ揺るぎのなさで、それとは正反対のなにかを指し示しているとわかるんだ」(ホームズ)
「ねえ、ワトスン、ちょっとその椅子にすわって、しばらくぼくの話を聞いてくれないか」
「どうしたらいいものか、いささか迷っているんだが、きみのアドバイスは、とても参考になるからね」(ホームズ)
「ぼくのやりかたはわかっているだろう。すべては些細な点を観察することから始まっているのさ」(ホームズ)
「結構です。ですが、あなたを裁くのはぼくの役目ではありません」(ホームズ)
「やれやれ! なにゆえ運命はわれわれ哀れな寄る辺なき虫けらどもに、かくもむごい悪戯を仕掛けるのだろうね?」(ホームズ)
五つのオレンジの種
「ぼくの友達といえば、きみしかいないよ。べつに客を呼んだりすることもないしね」(ホームズ)
「ここへ持ちこまれる事件で、尋常な事件などありませんよ。いわばぼくは、究極の控訴裁判所といったところですから」(ホームズ)
「すぐに行動を起こすことです。さもないと身の破滅だ。きみ自身を救うには、ただ積極的な行動あるのみ。やけになっているときじゃありません」(ホームズ)
「まず真っ先に考えるべきは、あなたの身にひしひしと迫っている危険を取り除くこと。謎を解いたり、悪人どもを懲らしめたりするのは、二の次、三の次です」(ホームズ)
「今回の事件では、これまでの出来事の結果がどうなるか、それはまだつかめていない。それは推理によってのみ到達できるものだからね」
「五官に頼って解決をもとめる連中が、ことごとく行きづまったような難問でも、書斎にいるだけで解けることはあるんだ」(ホームズ)
「ぼくはプライドを傷つけられたよ、ワトスン。もちろん、けちな感情ではあるんだが、それでもプライドが傷ついたことはまちがいない」
「こうなれば、もはやぼく自身の問題だ。ほうっておくわけにはいかない。今後はこの命あるかぎり、いつかぜったいにこの悪党一味をこの手で捕えてみせる」(ホームズ)
「飢え死にしそうだよ。食べることなんか忘れてた。朝からなにも食べていない」(ホームズ)
くちびるのねじれた男
シャーロック・ホームズになにか頼まれて、むげに断わるということは不可能に近い。
いつの場合も、自信満々、断わられるとは夢にも思っていないかのように、厳然たる命令調で指図してくるからだ。(ワトスン)
「信頼できる友は、いつだって役に立つものさ。まして、事件を記録してくれている友となれば、なおさらのことだ」(ワトスン)
「ねえ、ワトスン、きみは沈黙というすばらしい資質に恵まれているね。だからこそきみは、かけがえのない旅の道連れなんだ」
「実際、ぼくにとっては、話したいときに話し相手になってくれるだれかがいてくれる、これほどありがたいことはない」(ホームズ)
「じつはこの事件、うわべはばかばかしいほど単純に見えるが、そのくせ、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからないときている」
「いってみれば、糸口は山ほどありそうなのに、どれもしっかりつかめない、といったところかな」(ホームズ)
「ぼくがいることで、奥さんにとっても、またここにいる友人にとっても、多少なりと助けになるのでしたら、それだけでじゅうぶん満足です」(ホームズ)
「これでもぼくはいろんな経験をしてきましたから、女性の直観のほうが、分析的推理による結論よりも値打ちがある場合もある、それを知らないわけではありません」(ホームズ)
「さあ行こう、出発だ。ぼくのその鍵がはたして鍵穴に合うかどうか、それを確かめるとしようじゃないか」(ホームズ)
青い柘榴(ざくろ)石
「きみにはすべて見えているはずだ。ただ、見たものから推理を組みたてることに成功していない。思いきって推論を導きだそうとすることに臆病なんだ」(ホームズ)
「こんな込み入った事件がみごと解きほぐされる瞬間、それをみすみす見のがしてたまるものか」(ワトスン)
「たとえ目の前に百ポンド積んでみせても、ああいう男の口をひらかせるのはむずかしい。賭けでぼくに一泡吹かせられると思えばこそ、ああまで腹蔵なくしゃべってくれたのさ」(ホームズ)
「他人の知らないことを知るというのがぼくの商売なんでね」(ホームズ)
「いまはクリスマス──ひとを許す季節だ。ひょんなことから、すこぶる珍しくて風変わりな事件が、ぼくらの手にころがりこんできた」
「だから、その解決それ自体がひとつの報酬なのさ」(ホームズ)
まだらの紐
「なんだ、他人行儀な。ぼくがそういう話を聞きのがしたがるわけがないだろう」(ワトスン)
「なかなか愉快なご仁だね」
「あともうすこしここで辛抱していてくれれば、ぼくも体の大きさでは及ばないまでも、腕力ではたいしてひけをとらないことを証明してやれたんだが」(ホームズ)
「ああ、なんという邪悪な世のなかだ! まして、利口な男がその知恵を悪事のために用いるとなると、事態はもはや救いがたい」(ホームズ)
「やっとおぼろげながら見えてきたよ──きみがなにを言おうとしているのか」(ワトスン)
「隠微も隠微、忌まわしさもじゅうぶん、まさにお釣りがくるくらいさ」
「医者が悪の道に走ると、最悪の犯罪者になる傾向がある。なにしろ度胸もあり、知識にも事欠かないからね」(ホームズ)
「どういうことなんだ、これは」(ワトスン)
「いっさいが終わったということさ」(ホームズ)
「暴力を用いれば、畢竟、それがおのれにはねかえってくる。他人のために穴を掘るものは、自らその墓穴に落ちる。因果応報さ」(ホームズ)
技師の親指
「もしそういう問題を解決してもらいたいのであれば、警察に届ける前に、ぜひぼくの友人のシャーロック・ホームズ氏に相談なさい。たっておすすめしますよ」(ワトスン)
「経験を得たさ。間接的ながら、それがいずれ役に立ってくれるときがくる」
「今回の経験を言葉にして語るだけで、これから先一生、座談に長けたひととして評判を得られるだろうからね」(ホームズ)
独身の貴族
「これはどうも、あまりありがたくない社交的なご招待と見たね──そういう場所に出ると、退屈させられるか、心にもない嘘を強いられるかするだけなんだ」(ホームズ)
「いやね、ワトスン、気どって言うわけじゃないが、依頼人の身分なんてのはこのぼくにとって、事件への興味ほど重みもないんだ」(ホームズ)
「なるほど。これは予想よりおもしろくなってきそうだ。いや、ドラマティックだよ、まさに」(ホームズ)
「かたじけなくもあのお殿様、ぼくの頭をご自分の頭と同列に扱ってくれたよ」(ホームズ)
「じつはね、依頼人がこの部屋にはいってくるより前に、事件についてのぼくの結論は出ていたんだ」
「ぼくには虎の巻があるからね」(ホームズ)
「たしかになにもないと見えるかもしれない。それでもやはり、きわめて重要なんだ」(ホームズ)
「今度の事件はなかなかおもしろかった」
「はじめはほとんど不可解としか思えない事件でも、きわめて明快かつ単純な説明が可能だということを、これがはっきり教えてくれたからさ」(ホームズ)
緑柱石の宝冠
「問題があなたや警察の当初考えたのよりも、はるかに底の深いものであると、まだお気づきにならないのはなぜでしょう」
「あなたには、事件は単純なものと見える。ぼくにはそれがきわめて複雑なものと見える」(ホームズ)
「残念ながら、ありうるありえないの問題ではない。事実なのです」(ホームズ)
「ありうべからざることをすべて除去してしまえば、あとに残ったものが、いかにありそうもないと思えても、すなわち真実である」(ホームズ)
橅(ぶな)の木屋敷の怪
「ぼくの書くものにたいして煽情主義という批判が投げつけられるのは、やはりある程度、まぬがれられないと思うよ」(ワトスン)
「おそらくきみの欠点というのは、原因から結果までの厳密な分析そのものを、事実に即して記録するという態度に徹するのではなく、記述のひとつひとつにいろどりを添えようとするところにあるんだと思う」
「ぼくが自分の技術にたいして正当な評価をもとめるのは、それがぼく個人とは無関係なもの──ぼく個人を超越したものだからなんだ」(ホームズ)
「結果としてはそうなったかもしれない。しかしぼくの使いつづけてきた文体というのは、つねに斬新であり、読者の興味もそそってきたはずだと思うがね」(ワトスン)
「大がかりな犯罪なんて、もはや過去のものだからね。人間は、あるいはすくなくとも犯罪者は、やる気も独創性もなくしてしまった」
「それ(どんな危険)がわかっていれば、もはや危険とは言えませんよ」(ホームズ)
「ぼくはいつだってそうなんだ──いつ見ても、なんだかぞっとさせられる」
「これは経験から言うんだけどね、ワトスン、こういう明るく美しい田園のほうが、ロンドンの最低、最悪の裏町なんかより、よほどおそるべき悪の巣窟だと言うべきなんだよ」(ホームズ)
「いいかいワトスン、きみも医学者として、両親を観察することで子供の性向を診断するということは、たぶん日常的にやっているはずだ。なら、逆もまた真なり、とは思わないか?」
「ぼくにはたびたびそういう覚えがある──子供を観察することで、両親の性格をはじめて正しく認識することができた、という覚えがね」(ホームズ)
最後まで読んで頂きありがとうございました。