「犬神家の一族(横溝正史)」の名言・台詞をまとめていきます。
犬神家の一族
発端
思えば、たとえ善意に発したことでも、いったん処置をあやまるならば、どのような大惨事を惹起させぬでもないという、これがひとつのよい教訓になるであろう。
第一章
美人もここまでくるとかえって恐ろしい。戦慄的である。(金田一耕助)
私立探偵と依頼人との関係は、懺悔僧と懺悔人との関係も同じことである。(金田一)
ところがどうだろう。こんどの事件の場合は、依頼人は自分の面前へ現われるやいなや殺されてしまったのだ。しかも、自分の部屋で……。
これほど大きな屈辱があるだろうか。(金田一)
「いささか非常識ではないかと思われるくらい変わっているんです。これではまるで遺族のひとびとを互いに憎みあうように仕向けることも同様だと」(古館恭三、弁護士)
「いやはや、ど、ど、どうもどうも、……名探偵、逆に探偵されるというわけですな」(金田一)
「いや、ぼくにとっちゃ実にいい教訓になりましたよ」
「実はね、これで相当うぬぼれがあって、金田一耕助といやあ、名声天下にかくれなし……てえくらいの自信はもっていたんですからね」(金田一)
第二章
「いいや、ぼくは疑っているのじゃないのです。ただ、可能性を追求しているんです」(金田一)
「こ、こ、これは実に興味のある事件ですな。犯人がだれにしろ、そいつはけっして自分だけが、焦点のなかにうきあがってくるようなヘマはやらないのですね」(金田一)
第四章
「そこまではぼくにもわかりませんよ。しかし、かばわれているのがだれにしろ、この家に住んでる人物にちがいないことだけはたしかでしょうね」
「なぜといって、疑問のXの行動は、すべて注意を、外に向けようとするところにあるんですからね」(金田一)
「むろん、これは仮説ですよ。理論的に煎じつめていけば、こんな仮説も成り立ちうるということをいってるんですよ」(橘、署長)
第五章
「それは私にもわからない。それがわかれば、あるいはこの事件はかたがつくのじゃないでしょうか」
「いずれにしてもその男は、犬神家のなにかふかい縁故のある人物にちがいありませんよ」(金田一)
第六章
そうだ。この連続殺人は、なにかしら犬神家の嘉言、あるいは家宝に深い関係があるにちがいない。そして犯人は故意に、そのことを誇示しようとしているのだ。(金田一)
「どういう意味か、……それをぼくも考えているんです」(金田一)
「そ、それですよ、け、刑事さん、ぼくが非常に興味をおぼえているのは」
「……ひょっとすると刑事さんたちのやることは、万事そいつに筒抜けになっているのかもしれませんよ」(金田一)
第七章
「いやあ、どうもせんのです。それだけの話ですがね。しかし、ぼくにはどうも変に思われてしかたがないのです」(金田一)
「署長さん、そうですよ、子どもだましの判じ物なんですよ。しかし、犯人は、被害者の肉体をもって、斧を暗示しようとしたのです」(金田一)
第八章
三十年という歳月は、ひとさまざまの運命の筬を織るのである。(金田一)
いままでかれの脳裏をおおうていた盲点の暗雲がカラリと晴れると、あとは一瀉千里だった。
昨日いちにちかかって、かれはあたまのなかで推理の積み木を組み立て積み上げ、なぞを形成する複雑な骨格は、もうすっかりできあがっていた。
「ド、ド、どういう意味も、コ、コ、こういう意味もありませんよ」
「コ、コ、このひとは犯人じゃないのですね。タ、タ、たぶんこのひとは、あくまで自分が犯人だといいはるでしょうけどね」(金田一)
「わかりました。ぼくもだいたいそうじゃないかと思ったんですが、それにはあまりにも多くの偶然を、計算に入れなければならないものですから……」(金田一)
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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