「それから(夏目漱石)」の名言まとめました

「それから(夏目漱石)」の名言をまとめていきます。

それから

自分の神経は、自分に特有なる細緻な思索力と、鋭敏な感応性に対して払ふ租税である。(代助、以降無記入)

 

「好いだらう、僕はまだ見た事がないが。──然し、そんな真似が出来る間はまだ気楽なんだよ。世の中へ出ると、中々それ所ぢやない」(平岡)

 

「無論食ふに困る様になれば、何時でも降参するさ。然し今日に不自由のないものが、何を苦しんで劣等な経験を嘗めるものか」

 

「僕から云はせると、是程憐れな無経験はないと思ふ。麺麭に関係した経験は、切実かも知れないが、要するに劣等だよ」

「麺麭を離れ水を離れた贅沢な経験をしなくつちや人間の甲斐はない」

親爺の如きは、神経未熟の野人か、然らずんば己れを偽はる愚者としか代助には受け取れないのである。

 

父が過去を語る度に、代助は父をえらいと思ふより、不愉快な人間だと思ふ。さうでなければ嘘吐だと思ふ。嘘吐の方がまだ余っ程父らしい気がする。

 

もし死が可能であるならば、それは発作の絶高頂に達した一瞬にあるだらうとは、代助のかねて期待する所である。

 

代助は今迄、自分は激昂しないから気狂にはなれないと信じていたのである。

 

代助は泣いて人を動かさうとする程、低級趣味のものではないと自信している。

凡そ何が気障だつて、思はせ振りの、涙や、煩悶や、真面目や、熱誠ほど気障なものはないと自覚している。

 

鍍金を金に通用させ様とする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して、真鍮相当の侮蔑を我慢する方が楽である。

 

「君はただ考へている。考へてる丈だから、頭の中の世界と、頭の外の世界を別々に建立して生きている。此大不調和を忍んでいる所が、既に無形の大失敗ぢやないか」(平岡)

 

「何だか厭世の様な呑気の様な妙なのね。私よく分らないわ。けれども、少し胡麻化して入らつしやる様よ」(三千代)

 

「君の様な暇人から見れば日本の貧乏や、僕等の堕落が気になるかも知れないが、それは此社会に用のない傍観者にして始めて口にすべき事だ」

「つまり自分の顔を鏡で見る余裕があるから、さうなるんだ。忙しい時は、自分の顔の事なんか、誰だつて忘れているぢやないか」(平岡)

 

「働らくのも可いが、働らくなら、生活以上の働でなくつちや名誉にならない。あらゆる神聖な労力は、みんな麺麭を離れている」

 

「食ふ為めの職業は、誠実にや出来悪いと云う意味さ」
「僕の考へとは丸で反対だね。食ふ為めだから、猛烈に働らく気になるんだろう」(平岡)

結婚を必要事件と、初手から断定して、何時か之を成立させ様と喘る努力を、不自然であり、不合理であり、且つあまりに俗臭を帯びたものと解釈した。

 

現代の社会は孤立した人間の集合体に過ぎなかつた。

 

十一

彼の考によると、人間はある目的を以て、生れたものではなかつた。之と反対に、生れた人間に、始めてある目的が出来て来るのであつた。

 

この頃は、此経験(二日酔い)が、多くの場合に、精神気力の低落に伴ふ様になつた。内容の充実しない行為を敢てして、生活する時の徴候になつた。代助にはそこが不愉快だつた。

 

十三

彼は自分の寿命を極める権利を持たぬ如く、自分の未来をも極め得なかつた。

 

「貴方は羨ましいのね」(三千代)

 

「家庭か。家庭もあまり下さつたものぢやない。家庭を重く見るのは、君の様な独身者に限る様だね」(平岡)

 

「元来、意見があつて、人がそれに則るのぢやない。人があつて、其人に適した様な意見が出て来るのだから、僕の説は僕丈に通用する丈だ」

 

自分で真面目だと信じていた動機でさへ、必竟は自分の未来を救ふ手段である。

 

其他のあらゆる中途半端の方法は、偽に始つて、偽に終るより外に道はない。悉く社会的に安全であつて、悉く自己に対して無能無力である。

 

彼は三千代と自分の関係を、天意によって、醗酵させる事の社会的危険を承知していた。

天意には叶ふが、人の掟に背く恋は、其恋の主の死によつて、始めて社会から認められるのが常であった。彼は万一の悲劇を二人の間に描いて、覚えず慄然とした。

 

十四

彼はただ彼の運命に対してのみ卑怯であつた。

 

彼は雨の中に、百合の中に、再現の昔のなかに、純一無雑に平和な生命を見出した。其生命の裏にも表にも、慾得はなかつた。利害はなかつた、自己を圧迫する道徳はなかつた。

雲の様な自由と、水の如き自然とがあつた。さうして凡てが幸であつた。だから凡てが美しかつた。

 

「僕の存在には貴方が必要だ。何うしても必要だ。僕は夫丈の事を貴方に話したい為にわざわざ貴方を呼んだのです」

 

「僕は是で社会的に罪を犯したも同じ事です。然し僕はさう生れて来た人間なのだから、罪を犯す方が、僕には自然なのです」

 

十六

生活の堕落は精神の自由を殺す点に於て彼の尤も苦痛とする所であつた。

 

死ぬ迄三千代に対して責任を負うと云ふのは、負ふ目的があるといふ迄で、負つた事実には決してなれなかつた。代助は惘然として黒内障に罹つた人の如くに自失した。

 

「気が付いているかも知れません。けれども私もう度胸を据えているから大丈夫なのよ。だつて何時殺されたつて好いんですもの」(三千代)

 

彼は平生から人のよく口癖にする、人間は容易な事で餓死するものぢやない、何うにかなつて行くものだと云う半諺の真理を、経験しない前から信じ出した。

 

十七

「ああ動く。世の中が動く」

 

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