「風立ちぬ(堀辰雄)」の名言・台詞をまとめていきます。
風立ちぬ
序曲
風立ちぬ、いざ生きめやも。(私)
「たとい私がその名を呼んだにしたって」
「あいつは平気でこっちを見向きもしないだろう。まるでもう私の呼んだものではないかのように」(私)
春
「僕はこうしてお前と一緒にならない前から、何処かの淋しい山の中へ、お前みたいな可哀らしい娘と二人きりの生活をしに行くことを夢みていたことがあったのだ」(私)
「そんなこともう覚えてなんかいないわ」
「あなたはときどき飛んでもないことを考え出すのね」(お前、節子)
それから私達はしばらくそのまま黙り合っていた。そうすることがこういう花咲き匂うような人生をそのまま少しでも引き留めて置くことが出来でもするかのように。(私)
「お前のそういう脆弱なのが、そうでないより私にはもっとお前をいとしいものにさせているのだと云うことが、どうして分からないのだろうなあ」(私)
「私、なんだか急に生きたくなったのね」
「あなたのお陰で」(節子)
「しかし人生というものは、お前がいつもそうしているように、何もかもそれに任せ切って置いた方がいいのだ」
「そうすればきっと、私達がそれを希おうなどとは思いも及ばなかったようなものまで、私達に与えられるかも知れないのだ」(私)
「私達、これから本当に生きられるだけ生きましょうね」(節子)
風立ちぬ
こういう山のサナトリウム生活などは、普通の人々がもう行き止まりだと信じているところから始まっているような、特殊な人間性をおのずから帯びてくるものだ。(私)
我々の人生なんぞというものは要素的には実はこれだけなのだ。
そして、こんなささやかなものだけで私達がこれほどまで満足していられるのは、ただ私がそれをこの女と共にしているからなのだ、と云うことを私は確信して居られた。(私)
「私達がずっと後になってね、今の私達の生活を思い出すようなことがあったら、それがどんなに美しいだろうと思っていたんだ」(私)
「本当にそうかもしれないわね」(節子)
「あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう」
「私、あのときね、それを思い出したの。何んだかあのときの美しさがそんな風に思われて」(節子)
「お前は今日はなんだか見知らない薔薇色の少女みたいだよ」(私)
冬
「幸福の思い出ほど幸福を妨げるものはない」(何かの物語)
「あのような幸福な瞬間をおれ達が持てたということは、それだけでももうおれ達がこうして共に生きるに値したのであろうか?」(私)
「おれにはどうしても好い結末が思い浮ばないのだ。おれはおれ達が無駄に生きていたようにはそれを終らせたくはないのだ」(私)
死のかげの谷
「おれは、おれの人生のまわりの明るさなんぞ、たったこれっ許りだと思っているが、本当はこのおれの小屋の明りと同様に、おれの思っているよりかもっともっと沢山あるのだ」
「そうしてそいつ達がおれの意識なんぞ意識しないで、こうやって何気なくおれを生かして置いてくれているのかも知れないのだ」(私)
「おれは人並以上に幸福でもなければ、又不幸でもないようだ」(私)
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