「カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー、原卓也訳)」の名言・台詞をまとめていきます。
カラマーゾフの兄弟
第一部 第一編
たいていの場合、人間とは、たとえ悪党でさえも、われわれが一概に結論づけるより、はるかにナイーブで純真なものなのだ。
われわれ自身とて同じことである。
「あの清らかな目が、あのとき、剃刀みたいに俺の心をざくりと切り裂いたんだよ」(フョードル)
わたしに言わせれば、奇蹟が現実主義者を困惑させることなど決してないのである。
「僕は不死のために生きたい。中途半端な妥協は受け入れないぞ」(アリョーシャ)
第一部 第二編
「何よりも、そんなにご自分のことを恥ずかしくお思いにならぬことです。なぜって、それがすべての原因ですからの」(長老)
「羞恥心ゆえに道化になるんです」(フョードル)
「自分は人類を愛しているけど、われながら自分に呆れている」
「それというのも、人類全体を愛するようになればなるほど、個々の人間、つまりひとりひとりの個人に対する愛情が薄れてゆくからだ」(長老)
「肝心なのは、嘘を避けることです、いっさいの嘘を、特に自分自身に対する嘘をね」(長老)
「不死がなければ、善もないのです」(イワン)
「悲しみのうちに幸せを求めよ──これがお前への遺言だ」(長老)
第一部 第三編
つまり、自分の恐怖を説明できぬことが、今その恐ろしさをいっそう強めていた。
「だけど、惚れるってことは、愛するって意味じゃないぜ。惚れるのは、憎しみながらでもできることだ」(ドミートリイ)
「そこが困るんだな、なにしろこの世のすべては謎だよ!」(ドミートリイ)
「これはまさに嵐だ、なぜって情欲は嵐だからな、いや嵐以上だよ!」(ドミートリイ)
「こわいのはね、美が単に恐ろしいだけじゃなく、神秘的なものでさえあるってことなんだ」(ドミートリイ)
「前半はお前にもわかるよ。これはドラマで、向うで起ったことなんだ。ところが後半は悲劇で、これからここで起るのさ」(ドミートリイ)
「彼女が愛しているのは自分の善行で、俺じゃないんだよ」(ドミートリイ)
「それすべて低劣なりだよ。俺が何を好きか、知ってるか?」
「俺が好きなのは諧謔だよ」(フョードル)
「毒蛇が別の毒蛇を食うだけさ、どっちもそれがオチだよ!」(イワン)
「期待する権利を持たぬ人間なんているもんかね?」(イワン)
「そこが彼女のプライドなのさ、大博打を打とうというやむにやまれぬ気持なんだ」
「運命への挑戦だよ、はてしなき挑戦だ!」(ドミートリイ)
「破滅と闇さ!」
「べつに説明することもないよ、いずれわかるだろうからな。悪臭にみちた裏街と、魔性の女だ!」(ドミートリイ)
第二部 第四編
「人間てのは、そういう性格を授けられてるものなんだ、何でも反対にやりたいんだよ」(フョードル)
「でも、だれかが真実を言わなければならないんです……だって、ここではだれも真実を言おうとしないんですもの……」(アリョーシャ)
「女のなみだを信用なさってはいけませんわ、アレクセイ・フョードロウィチ」
「あたくし、こういう場合には常に女性の敵で、男性に味方しますのよ」(リーズ)
「ああ、恥ずかしさだけならかまわない、恥ずかしさは当然の罰でしかないんだから」
「困るのは、これで僕が疑いもなく新しい不幸の原因になるということなんだ」(アリョーシャ)
第二部 第五編
「侮辱されつづけの人間にとって、みんなが恩着せがましい目で自分を見るようになるってのは、おそろしくつらいものなんですよ」(アリョーシャ)
「ああいう質問のうかぶ人は、自分も苦しむことを知っている人ですよ」(アリョーシャ)
「俺の考えだと、まさに身近な者こそ愛することは不可能なので、愛しうるのは遠い者だけだ」(イワン)
「もし悪魔が存在しないとすれば、つまり、人間が創りだしたのだとしたら、人間は自分の姿かたちに似せて悪魔を創ったんだと思うよ」(イワン)
希望は数多くありながら、いったい何を希望しているのかわからず、人生への期待も多すぎるくらいあるのに、その期待も、自分の願望さえも何一つはっきりできぬ有様なのだ。
「してみると、賢い人とはちょっと話しておもしろい、と世間で言うのは本当でございますね」(スメルジャコフ)
第三部 第八編
「変だな、ここへ来るまでは、すべてがすばらしいことに思えていたのに、今やこんなばかげたことになるなんて」(ドミートリイ)
「リアリズムってやつは、なんて恐ろしい悲劇を人間の身に引き起すんだろう!」(ドミートリイ)
「なんという絶望だろう、まわりじゅう死の気配だけだ!」(ドミートリイ)
それというのも、理想がほろびたからだ。
「全生涯に対して自己を処刑する。わが一生を処罰する!」(ドミートリイ)
「僕の一生が無秩序だったんだから、ここらで秩序を立てなけりゃ」(ドミートリイ)
「お達者でね、ピョートル・イリイチ! 最後の涙を君に贈るよ!」(ドミートリイ)
「今、彼女は男といっしょにいる。今その男と、かつての恋人とどんなふうにしているか、見とどけよう。俺に必要なのはそれだけだ」(ドミートリイ)
「これからわたしは駆けつけて、彼女の前にひれ伏します。そして言ってやるつもりです、お前が俺のそばをすりぬけて行ったのは正しいのだ」
「さようなら、お前の犠牲のことなぞ忘れて、もう二度と心配しないでいいよ、と!」(ドミートリイ)
「そうだとも、たとえ恥辱の苦しみにつかっていようと、彼女の愛の一時間は、この一瞬は、残りの全人生に価するのではないか?」(ドミートリイ)
第三部 第九編
「彼女には何の罪もありません、だれの血に関しても、何事に関しても!」(ドミートリイ)
「事実は目の前にある、事実を語り、叫んでいる、しかし感情は、みなさん、感情は別問題ですよ」(ドミートリイ)
「しらふに返って分別つけば、愚かになり、酔いがまわって愚かになれば、分別がつく」(ドミートリイ)
「そりゃ、われわれはどうだっていいんですよ、これはわれわれの問題じゃなく、あなたの問題なんだし、みすみす損をするのはあなたご自身なんですから」(ネリュードフ)
「これらすべてをお考えのうえ、ご自分で決めてください。われわれは何を信じ、何を結論とすればいいんです?」(ネリュードフ)
「卑劣漢にはだれだってなれるし、現にどんな人間だって卑劣漢かもしれない。しかし、泥棒にはだれもがなれるわけじゃなく、最低の卑劣漢だけがなるんです」(ドミートリイ)
「卑劣漢では生きていけないばかりか、卑劣漢では死ぬこともできないのを、僕は知ったんです……そう、みなさん、心清く死ななければいけないんですよ!」(ドミートリイ)
「あなた方に別れを告げることによって、僕は世間の人々みんなに別れを告げるのです!」(ドミートリイ)
「いったいなんて人たちだろう。あんなことのあとで、まだ人間でいられるんだろうか!」
「生きるに価するだろうか、そんな値打ちがあるだろうか!」(カルガーノフ)
第四部 第十編
「偏見をもつ人間の目にたとえどう映ろうと、自然界にはこっけいなものなんか何一つないさ」(コーリャ)
「そういう道化行為は往々にして非常に悲劇的なんです」(アリョーシャ)
「民族の成立というような歴史的事件を語るには、何よりまず、それが何を意味するかを理解しなけりゃいけないよ」(コーリャ)
第四部 第十一編
「人間には犯罪を好む瞬間がありますからね」(アリョーシャ)
「なぜだめかって? ふむ! 実のところ……大ざっぱに言うと、神さまが気の毒だからさ、そのためだよ!」(ドミートリイ)
「この問題を解決させるには、何よりまず自己の人格を現実と真向から対決させることが必要である」(ラキーチン)
「俺はもういろいろな哲学に殺されそうだよ」(ドミートリイ)
「うちの親父はだらしない子豚同然だったけど、考え方は正しかったよ」(イワン)
「あたし自身だって、残酷な心を持っているもの」(グルーシェニカ)
「判決前には決められませんよ。裁判のあと、自分で決めるんですね。そのときに兄さん自身の内に新しい人間を見いだせるでしょうし、その人間が決めてくれますよ」(アリョーシャ)
「女は不正直になることが多いものですわ」(カテリーナ)
「もし今日兄さんの身に何か起こったら、何よりも先に僕のことを思いだしてください!」(アリョーシャ)
「『すべては許される』、それだけの話だ!」(イワンの悪夢)
第四部 第十二編
「運命に足をすくわれた、まさにあの瞬間、わたしは永久に誠実な人間になろうと思っていました!」
「ドミートリイ・カラマーゾフは卑劣漢ではあっても、泥棒ではありません!」(ドミートリイ)
「兄を信ぜずにはいられないのです。兄が僕に嘘をつかぬことを知っているのです。兄の顔を見て、嘘をついていないことがわかりました」(アリョーシャ)
「正気にきまってるじゃありませんか……卑劣にも正気なんです、あんたや、ここにいるあの……豚どもとご同様にね!」(イワン)
「だめだ、俺は苦悩には向いていないよ! 卑劣漢さ、それで言いつくされるんだ!」(ドミートリイ)
「君もつらいよな、女だもの!」(ドミートリイ)
「僕がこんなことを言うのは、僕らがわるい人間になることを恐れるからです」(アリョーシャ)
最後まで読んで頂きありがとうございました。