「鹿の王(上橋菜穂子)」より名言・台詞をまとめていきます。
鹿の王(上)
おのれの身体に残る命の火が消えていくまで、生きねばならない。(ヴァン)
何が起きたのか……何が起きているのか……何もかもがわからない。
ただ、ここにいてはならぬ、という予感だけがあった。早く逃げろ、と何かが告げている。(ヴァン)
奴隷は家畜と同じ。手間がかかると思われれば殺されるし、生かした方が利益になると思われたとしても、人として扱われない。(ヴァン)
猫どもは気儘にここと外を行き来している。ここで働いていた頃は、奴らのお陰で、随分仕事の辛さが紛れたものです。(ヴァン)
幽霊が恐ろしいのは、とらえどころがないからでしょう?
幽霊に身体があって、捕まえることができるなら、きっと誰も怖がらないわ。病も同じよ。実体をつかまえることができたら、対処する方法を探ることができる。(ミラル)
怖いわよ、そりゃ。でも、伝説の敵。しかも、言い伝えではなくて、この手で触れられる身体を持った敵に、ようやく出会えたんだもの。わくわくするわ。(ミラル)
わしらが見逃す獲物があるから、山は生き続けておるんぞってねぇ。
探索は水物ですよ。春まで待てば状況が変わってしまうかもしれません。(サエ)
むかし、父が言っていた。どう言い繕おうと、おれたちは飛鹿を自分たちの都合で使っているのだと。(ヴァン)
オタワル人は、この世に勝ち負けはないと思っているよ。食われるのであれば、巧く食われればよい。食われた物が、食った者の身体となるのだから。(ミラル)
私の信念としては、絶対、という言葉は使いたくないのですが、残念ながら、そうです。いまの私は、まだその手立てをもちません。(ホッサル)
しかし、私は、その途方もなく大いなるものの前で、立ち尽くす気はありません。
そのすべてを「神々の領域」と名付けて納得し、触れずに目をつぶる気もちになれないのです。(ホッサル)
打てる手は、すべて打っておきたいのです。私は臆病者ですから。(ホッサル)
身体とは何か。生命とは何か。人の身体を見るたびに、それを思わずにいられない。(ホッサル)
時も、覚えていることすらも、病が変えてしまうのなら、人にとっての現実ってなんなのだろうな。(ホッサル)
人が犯した罪ゆえに病に罹るのであれば……そんなことがあるのなら、この世はとうの昔に楽園になっている。病に情けはない。善悪も関係ない。だからこそ恐ろしいのだ。(ホッサル)
鹿の王(下)
どれほど残虐なことをしてでも、成し遂げたいと思うことが、おれにはあるんだよ。
運命の不公平を思ったことがあるか?
おれがあのとき知りたかったのは、それだった。
長い戦を経て……多くの血を流して、ようやく得た均衡ですから。(サエ)
そんなことを話すと、サエは小さく声をたてて笑った。物静かなこの人が笑うと、なんとなく、小さな褒美をもらったような気分になる。(ヴァン)
虚しいことですけど……救いでもあるんでしょうね、忘れられる、ということは。(サエ)
そんなこと、おれに聞くな。この状態で推測を重ねたところで、なんの意味もない。動きが起きたら、その都度判断するしかないだろ。(ホッサル)
落ち着け。後悔なんぞしてる暇はない。どうすればいいか、考えろ。(ホッサル)
人の身体は、ひとりひとり違う。あきれるほど同じだが、あきれるほど違うんだ。(ホッサル)
辺境の民にとって、なにより大切なのは自分たちの故郷で営む平穏な暮らしだ。
それさえ守れるのであれば、王国の統治者が誰であろうとも、故郷の存亡をかけるほどの大事とは思わない。
ひとつの小さな民の夢が密やかに燃えて、密やかに消された。それだけだ。
処罰というのは、処罰を受ける側からみても、どこかで納得できるものでなくてはならぬ。
そうかもしれん。だが、隙が生じるのは、有り得ぬと思ったときだ。(ヴァン)
人というのは哀しいもので、なにをやっても、どこかに悔いが残るもんだ。(ヴァン)
才というのは残酷なものだ。ときに死地にその者を押しだす。そんな才を持って生まれなければ、己の命を全うできただろうに、なんと、哀しい奴じゃないか、と。(ヴァン)
言い訳は、いくらでも見つかる。理屈は、いくらでもつけられる。医術のため、後に人を救うためである、と思うことができれば。(ホッサル)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。