ちょっと今から仕事やめてくる(北川恵海)

ブラック企業で働く隆は、心身ともに疲れていた。
電車のホームにいた時、無意識に電車に飛び込もうとしてしまうが同級生?の「ヤマモト」に助けられる。
その後意気投合した二人だが、本物の同級生は海外にいることが分かった。
働く人を応援する優しい物語。

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周りと同じ行動

サラリーマンに憧れなどなかった。
だが、熱を上げるようなやりたいこともなく、いつの間にか周りと同じように、就職活動に勤しんでいた。

多くの方が同じだろう。
私も企業で働いていた時代はあるが、高卒だったため大学生が行っているような就職活動は行わず、学校推薦の企業に1回で入ることが出来た。
正直その企業に行きたかったわけではなく、少ない選択肢から残った所に入った感じだった。
一生に関わることなのに、卒業後の仕事選びは事務作業のようになっている。
転職が当たり前の時代だが、もう少し考えるべきではないだろうか?

最大のステータス

自分よりレベルが低いと思っていた奴らが一流と呼ばれる企業の内定をもらった時は、酷く嫉妬した。
ひとつでも多く、少しでも有望な企業から内定をもらうことが、俺達にとって最大のステータスだった。

レベルの高い学校から有名な企業への流れは、世間的に分かりやすい。
この考えを否定するつもりはない。ただし、全員に当てはまるものでは無いことは明白だ。
何より全員を受け入れるほど、一流企業の数は多くない。
会社や職種で勝ち負けを言っている時点で、考え方が間違っている。

辞職

でも入社半年足らずで辞められるわけがないんだよ。
そんな根性のない奴、次の企業が雇ってくれるわけないんだよ。

これは残念ながら事実だろう。
会社の規模だけでいえば、卒業後に入った会社より小さな規模の会社になることが多いのは仕方が無い。
安定なら大企業に劣るかもしれない。しかし中小企業の方が面白いという現実もある。
また中小企業は人手不足のため、企業色に染まっていない人材には価値がある。
「入社歴何年だから」という発想は、根本的に間違っている。

明日

そうしたら明日、会社へ行かなくても済むかな。

隆が電車のホームで、ある行動を取りそうになった時の心の声になります。
「天気が良いから遊びに行きたいな」とか、「昨日遅くまで起きていたから寝ていたいな」とか考えるのは健全とは言えないが普通のこと。
しかし、「会社自体に行きたいくない」と考えだしたら、かなり末期と言える。
すぐに結論を出す必要はないだろう。
しかし誰かに相談するか、次のことを早めに考えることが自分にできる最低限の守りになる。

大阪人について

それ、アカンやつやで。大阪人が全員おもろいとか思ったら絶対アカン。
それでどんだけハードルあがって、どれだけの大阪人が傷ついてきたか。

本当に大阪出身の私としては苦労してきた記憶がある。
特に名古屋より東に行った時は、関西風な話しだけでめんどくさい状態になる。
もちろんテレビで見るような人もいるが、絶対数として少ないとことを知って欲しい。

就職先

就職先...まあ、就職なんてせんでも、意外と生きていけるからな。

働くイコール会社と考える人は多い。実際、私もそう考えてきた。
しかし多くの人が、個人もしくは少人数のグループで仕事をしている。
すぐお金を稼げるほどの技術や知識を持っている人は少ないだろう。
しかし企業ではない働き方など、いくらでもある。
ただその瞬間の生活を守れるかが、最大のポイントになる。

上司からの叱責

部長からは、部署全員に届くような大声で、何度も罵られた。
いや、おかしいで?新入社員がミスしてそこまで詰め寄るって、普通とちゃうよ。

隆がミスした時のそれぞれの対応と意見になります。
まず新入社員に限らず、誰かをみんなの前で罵るなど、最もしてはいけない。
もしかしたら本人は、みんなにも聞かしてるつもりなのかもしれない。
それによってプラスになることは、何一つない。
また新入社員がミスした場合、直属の先輩が注意するのはいい。
しかし上司である部長が怒るなど、明らかに筋が違う。
その上司だけがおかしいのなら、会社を辞めるという選択は短絡的すぎるだろう。
しかし社風なら、そこにいる価値があるか真剣に考えたほうがいいだろう。

職場との相性

人と同じで、職場にも相性ってもんがある。
動くことには確かにリスクもあるけど、現状を変えるのが難しいなら、動いてみるのも有効な手段やねんで。

卒業後すぐに就職している人は他のことを知らない。
初めのところが全てと考えてしまいがち。
むしろ同じところなど、どこにも無いという方が正しい。
少しかじっただけで移動するのも問題だが、無理と判断したら動くほうが未来につながる。

どっちが簡単?

隆にとって、会社辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単なわけ?

普通の精神状態と環境なら、考えるまでもない質問だろう。
しかし自分に自信のない時には、必ずしも簡単な答えではない。
普通の状態なら、「会社なんて辞めても死ぬわけではない」になる。
しかし追い詰められた状態では、「こんな状態で会社を辞める自分なんて何の価値もない」となってしまう。
私も、「このように考えるほど落ち込んだことは無いか?」と記憶を辿ると何度かあったのを思い出す。
覚えておくのは、「会社なんて生きるための手段でしか無い」こと。
働くことは必要だが、それが企業である必要は一切ない。
もしこの答えに詰まるなら、平日に2~3日ぐらいは休んだ方がいい。
それでも気持ちが戻らないなら、会社なんて辞めた方がいいですね。

人生の半分

お前の人生は、半分はお前のためと、あとの半分は、誰のためにある?
あとの半分は、お前を大切に思ってくれてる人のためにある。

言葉の通りです。説明はいらないだろう。

残された人たち

なあ隆。お前は今、自分の気持ちばっかり考えてるけどさ。
一回でも、残された者の気持ち考えたことあるか?
なんで助けてあげられなかったって、一生後悔しながら生きていく人間の気持ち、考えたことあるか?

悩んでいる時は、「自分は」もしくは「自分が」と内側のことばかり考えてしまう。
そして周りの状況は見えていない。
全く人と関わっていない人は、働いている限りいないだろう。
周りの人全員を考えて、もし一人でも自分を認めてくれている人がいるなら自信を持っていいでしょう。

母親の言葉

だって、別にいいじゃない。会社は世界にたったひとつじゃないんだから。
大丈夫よ。人生なんてね、生きてさえいれば、案外なんとでもなるもんよ。

隆が仕事に悩んでいる時、田舎の母親からかけられた言葉になります。
会社を辞めるということは会社に対してはもちろん、身内や仲間内に話さなければいけないというプレッシャーもある。
勇気を持って話した隆に対して、母親はよくあること程度に聞いている。
もしかしてく本心では違うかもしれない。
しかし一番大切なことが分かっているのだろう。
終わってみればほとんどのことが、「案外なんとかなる」もの。
本人が苦しんでいるほど、周りの人は大したことと思っていない。

伝えられなかったこと

私が一番悔やんでいるのはね、あの子に大切なことを、教えてあげられなかったこと。
逃げ方を教えてあげていなかったの。私はそれにきづいていなかった。
逃げ方を知らなかったあの子は、会社を辞めることも、誰かに相談することもできずに、自ら人生を降りてしまった。

息子を自殺という形で無くした母親の言葉になります。
順調に育っていく子どもを見ていると褒めることだけして、負けることもあるという大切な教えを、伝えることが出来ないことがある。
また「みんなより劣ることを許さない」という環境は、許容力のなさも育ててしまう。
余裕の無い人生を生きていくことは、本当の幸せなのでしょうか?

人生って

人生って、それほど悪いもんじゃないだろ?

ヤマモトからのメモになります。人生というのは良いときもあれば、悪いときもある。
いままでがずっと悪かったとしても、明日突然良くなることもある。
少なくとも、よくなると信じたい。

社会のために

けれど、社会のために誰かが犠牲になる必要なんて、決してないはずだ。

「犠牲になる」こと自体は悪いことだと思っていない。
なぜなら自分自身を含めて、数多くの犠牲になる行為を誰もがしているから。
例えば、親が子どもを育てることも、幸せと同じぐらい犠牲の上に成り立っている。
仕事でも誰かが病気などで欠勤すれば、周りのサポートという犠牲を生んでいる。
ただ問題なのは相手が潰れてしまうような犠牲を伴うこと。
またそれは、一番立場の弱い人に集中する。人として、周りの人に気を配りたいものです。

感想

この感覚をどのくらいの人が理解しているのだろうか?
個人的には、ほとんどのことを体感的に理解出来る。
多くの人が会社を辞めようとする人を止める。
実際、会社を辞めると苦労することが多いのは事実。
独立するのは大変だし、転職すると人間関係を含めいろいろなことを再構築する必要がある。
しかし常に考えなければいけないことがある。それは、「自分を嫌いにならない」こと。
自分を好きでいることが出来れば、精神的には安定出来る。
ただ自己中心的な行動は、ちょっと違うので注意が必要。
働く全ての人にとって、共感できる一冊だろう。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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