「ソクラテスの弁明(プラトン)」の名言まとめ

「ソクラテスの弁明(プラトン)」の名言をまとめていきます。

 

ソクラテスの弁明

訳者まえがき

「ソクラテスは、ポリスの信ずる神々を信ぜず、別の新奇な神霊のようなものを導入することのゆえに、不正を犯している。また、若者を堕落させることのゆえに、不正を犯している」(告訴状)

 

『ソクラテスの弁明』は、私たち一人ひとりに、自分のあり方、生き方を問う作品なのです。

 

第一部

「アテナイの皆さん、皆さんが私の告発者たちによってどんな目にあわれたか、私は知りません。ですが、私のほうはあの人たちのおかげであやうく自分自身を忘れるところでした」

「それほど説得力を持って、彼らは語ったのです。しかし真実は、あの人たちは、いわば何一つ語りませんでした」

 

「あなた方は、私から真実のすべてを聞くことになります」

 

 

「私は皆さんに次のことをお願いします」
「つまり、話し方はどうぞ気にしないで、私が語っていることが正しいかどうか、そのことだけを検討し、そこに注意を向けてください」

「これこそが裁判員、つまり正義の裁き手の徳であり、弁論する者の徳は、真実を語ることなのですから」

 

「私は弁明し、あなた方が長い時間に身につけたこの中傷を、こんな短い時間で取り除くように、やってみなければなりません」

 

「あなた方の中でどなたか、こういった主題について私が対話しているのを、かつてすこしでも聞いたことがある人がいたら、どうかお互いに指摘してみてください」

「そうすれば皆さんは、私について多くの人々が語っている他のことも、同様に根拠がないのだと、お分かりになることでしょう」

 

「私はこの人間よりは知恵がある。それは、たぶん私たちのどちらも立派で善いことを何一つ知ってはいないのだが、この人は知らないのに知っていると思っているのに対して、私のほうは、知らないので、ちょうどそのとおり、知らないと思っているのだから」

「どうらや、なにかそのほんの小さな点で、私はこの人よりも知恵があるようだ。つまり、私は、知らないことを、知らないと思っているという点で」

 

「彼ら(詩人)は知恵によって作品を作っているのではなく、なんらかの資質によって、ちょうど予言者や神託を受ける巫女のように、神懸かりでやっているのだと」

「その人たちが詩を制作しているがゆえに、他の事柄についても、本当は知らないのに人間の中でもっとも知恵があると思いこんでいることに気づいたのです」

スポンサーリンク

 

「詩人たちが犯していたあの同じ誤りを、この優れた職人たちも犯しているように、私には思われました」

「つまり、技を見事になしとげるからといって、それぞれの職人は、他のもっとも大切なことについても、自分がもっとも知恵ある者だと自惚れてしまっていたのです」

 

「私が今ある状態でいることが、つまり、あの人たち(詩人や職人)のもつ知恵の点で知恵ある者ではないが、その無知の点で無知でもないのがよいのか」

「それとも、あの人たちがもつ知恵と無知の両方を受け入れるのがよいのか」

 

「人間たちよ、ソクラテスのように、知恵という点では真実にはなににも値しないと認識している者が、お前たちのうちでもっとも知恵ある者なのだ」(神託より)

 

「彼らは真実を言いたくないのだ、と私は考えます。それは、知っている振りをしているのに、実際にはなにも知ってはいないことが、明らかになってしまうからです」

 

「いや、こまった人間ですね。あなたが言っていることは、立派ではありません。もし、なにか少しでも役にたつ人間が生きるか死ぬかの危険など斟酌すべきだと考えているのでしたら」

「むしろ、なにか行動をする時には、そんなことだけを考えるのではなく、正しいことを行うのか、それとも不正を行うのか、善い人間のなす行為か、それとも悪い人間のなすことなのか、それを考慮すべきです」

 

「世にも優れた人よ。あなたは、知恵においても力においてももっとも偉大でもっとも評判の高いこのポリス・アテナイの人でありながら、恥ずかしくないのですか」

「金銭ができるだけ多くなるようにと配慮し、評判や名誉に配慮しながら、思慮や真理や、魂というものができるだけ善くなるようにと配慮せず、考慮もしないとは」

 

「金銭から徳は生じないが、徳にもとづいて金銭や他のものはすべて、個人的にも公共的にも、人間にとって善きものとなるのだ」

 

「本当に正義のために戦う人は、もし短時間でも生き残りたければ、公人としてではなく私人として活動する必要があるのです」

スポンサーリンク

第二部

「それ(黙って平穏に生きること)は神に従わないことを意味していて、それゆえ平穏に過ごすことは不可能なのです」

 

「徳について、また私が対話しながら私自身と他の人々を吟味しているのを皆さんが聞いているような他の事柄について、毎日議論をすること、これはまさに人間にとって最大の善きことなのです」

「そして、吟味のない生は人間にとって生きるに値しないものです」

 

「とんでもない。手立てがなくて有罪になったのは間違いありませんが、それは言論の手立てではなく、大胆さや恥知らずな心、そして、あなた方が聞いてもっとも悦ぶようなことを言うつもり、そういった手立てをもたなかったからです」

 

「このこと、つまり死から逃れることは、皆さん、難しいことではありません。ですが、劣悪さを免れることはずっと難しいのです」

 

「今私は、あなた方に死刑を宣告されて去っていきますが、その人たちは真理によって卑劣さと不正の罪を宣告されてここを去るのです」

 

「ですが、もう去る時です。私は死ぬべく、あなた方は生きるべく。私たちのどちらがより善き運命に赴くのかは、だれにも明らかではありません。神は別にして」

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

アマゾンリンク
ソクラテスの弁明 (Kindle)