「セロ弾きのゴーシュ(宮沢賢治)」の名言・台詞をまとめていきます。
セロ弾きのゴーシュ
「セロ(チェロ)がおくれた」「セロっ。糸が合わない」
「おい、ゴーシュ君。君には困るんだがなあ。表情ということがまるでできてない。怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ」(楽長)
「先生、そうお怒りになっちゃ、おからだにさわりますよ。それよりシューマンのトロメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから」(三毛猫)
ゴーシュは何と思ったか扉にかぎをかって窓もみんなしめてしまい、それからセロをとりだしてあかしを消しました。
すると外から二十日過ぎの月のひかりが室のなかへ半分ほどはいってきました。
「そうか。トロメライというのはこういうのか」(ゴーシュ)
「ええ、それなんです。けれども(かっこうと言うだけでも)むずかしいですからねえ」
「ところがそれがひどいんです。たとえばかっこうとこうなくのとかっこうとこうなくのとでは聞いていてもよほどちがうでしょう」(かっこう)
「ちがわないね」(ゴーシュ)
「ではあなたにはわからないんです。わたしらのなかまならかっこうと一万云えば一万みんなちがうんです」(かっこう)
「何だい。それがドレミファかい。おまえたちには、それではドレミファも第六交響楽も同じなんだな」(ゴーシュ)
「それはちがいます」「むずかしいのはこれをたくさん続けたのがあるんです」(かっこう)
「なぜやめたんですか。ぼくらならどんな意気地ないやつでものどから血が出るまでは叫ぶんですよ」(かっこう)
「だってぼくのお父さんがね、ゴーシュさんはとてもいい人でこわくないから行って習えと云ったよ」(狸の子)
「ゴーシュさんはこの二番目の糸をひくときはきたいに遅れるねえ。なんだかぼくがつまずくようになるよ」(狸の子)
「何だと、ぼくがセロを弾けばみみずくや兎の病気がなおると。どういうわけだ。それは」(ゴーシュ)
「はい、ここらのものは病気になるとみんな先生のおうちの床下にはいって療すのでございます」(野ねずみ)
「からだ中とても血のまわりがよくなって大へんいい気持ちですぐに療る方もあればうちへ帰ってから療る方もあります」(野ねずみ)
「ああそうか。おれのセロの音がごうごうひびくと、それがあんまの代わりになっておまえたちの病気がなおるというのか。よし。わかったよ。やってやろう」(ゴーシュ)
「あああ。鼠と話するのもなかなかつかれるぞ」(ゴーシュ)
「どこまでひとをばかにするんだ。よし見ていろ。印度の虎狩をひいてやるから」(ゴーシュ)
「こんやは変な晩だなあ」(ゴーシュ)
「ゴーシュ君、よかったぞお。あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いてたぞ。一週間か十日の間にずいぶん仕上げたなあ」
「十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ。やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか、君」(楽長)
「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃなかったんだ」(ゴーシュ)
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