「蜜蜂と遠雷(恩田陸)」の名言・台詞をまとめていきます。
蜜蜂と遠雷(上)
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今、改めてこの時の光景を見ることができたならば、きっとこう言ったことだろう。明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。
そして、世界とは、いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう、と。(風間塵)
やはり、奇跡は起こらないものなのだ。(嵯峨三枝子)
技術は最低限の条件に過ぎない。音楽家になれる保証などどこにもない。運良くプロとしてデビューしても、続けられるとは限らない。(三枝子)
結局、誰もが「あの瞬間」を求めている。いったん「あの瞬間」を味わってしまったら、その歓びから逃れることはできない。(三枝子)
僕は爆弾をセットしておいたよ。(ユウジ・フォン=ホフマン)
途方もない才能を目にするとは、恐怖に近い感情を喚び起こすものなのだ。(三枝子)
もう一回聴いてみたくない? あれがまぐれだったのかどうか、確かめたくない?(セルゲイ・スミノフ、アラン・シモン)
世界はこんなにも音楽で溢れているのに。
わざわざあたしが音楽を付け加える必要があるのだろうか。(栄伝亜夜)
孤高の音楽家だけが正しいのか? 音楽のみに生きる者だけが尊敬に値するのか?
生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者より劣るのだろうか。(高島明石)
愛されている。この子は、音楽の神様に愛されてるんだ。(亜夜)
「挫折していった多くの音楽家たちが陰に累々といるのを知ってるから、ますます音楽は美しい」(明石)
第一次予選
ラン・ランは一人だけでいいのだ。同じようなタイプがもう一人いてどうするというのか。(三枝子)
やはり、音楽というのは人間性なのだ。(高島満智子)
こうして後世に残っている曲には、それぞれに曲としてのきちんとした必然性があるんだ。そこを弾きこなせない、説得力のないピアニストが悪いんだよ。(明石)
スターというのはね、以前から知っていたような気がするものなんだよ。(綿貫先生)
体験。これはまさに体験だ。彼の音楽は、「体験」なのだ。(マサル・カルロス・レヴィ・アナトール)
音楽の神様。神様は、あそこにいた。(亜夜)
(これからのことは)どうなんだろう。分からない。
だけど──楽しかった。これは本当だ。(亜夜)
第二次予選
「世間」が押し寄せてくるコンクール。あれだけ素晴らしい、独創的な演奏が認められないのなら、才能とはいったい何なのだろう。(亜夜)
でもね、先生。雨の日もあれば風の日もあるし、自由に宇宙を感じて、というのに、今ここで感じた宇宙を何度も繰り返し練習するなんて、楽譜の指示に反してません?(亜夜)
久しぶりのステージ、たった一度のステージの体験。
俺は音楽家になったのだ。音楽家だったのだ。(明石)
確かに世界に音楽は溢れているけれど、耳に届かずに過ぎてしまうものもあるようだ。(塵)
音楽は、常に「現在」でなければならない。博物館に収められているものではなく、「現在」を共に「生きる」ものでなければ意味がないのだ。(塵)
素晴らしい曲、何度聴いても飽きることのない名曲。それは確かに素晴らしいけれども、時にそれは窮屈だった。
そうだな、今の世の中は、少し窮屈だな。(塵)
でも僕は、いつかきっと先生との約束通り、音楽を連れ出してみせます。(塵)
「ほとんどの『自由な解釈』はひとりよがりだ」(ナサニエル)
「ああいう規格外の才能を誰が採点できるのかと思ってね」
「過去のピアノコンクールの歴史を見てきても、常に規格外の才能は弾かれている。審査員の理解の範疇を超えていたからだ」(ナサニエル)
今の僕にできると許されていることは、必ずできる。逆に言えば、今できないことは今の僕には許されていないのだ。(マサル)
蜜蜂と遠雷(下)
第二次予選(承前)
「僕ね、先生に言われたんだ。一緒に音を外に連れ出してくれる人を探しなさいって」(塵)
音楽は行為だ。習慣だ。耳を澄ませばそこにいつも音楽が満ちている。(塵)
「もしかしたら、面白いからかもしれないなあ」(亜夜)
凄い情報量だ。プロとアマの音の違いは、そこに含まれる情報量の差だ。(明石)
「やれやれ、オリジナリティなんて言葉、ある意味幻想なのにね。やたらとみんなが口にするのはほとんど呪縛だわね」(三枝子)
第三次予選
「僕、尺八やりたい」
「あれ(尺八)がいちばん本物の風の音に近いような気がするから」(塵)
この子たちは、わざわざあえて人生を記録する必要がない。ささやかな人生を、記録の中に繋ぎとめる必要はないのだ。
彼らの人生は、人々に記憶され、記録されて残っていくことが既に約束されているのだから。(浜崎奏)
やはりピアニストというのは心で弾いているのだ。
まさに音楽を奏でているのは指ではなく心なのだ。(三枝子)
何かが上達する時というのは階段状だ。ゆるやかに坂を上るように上達する、というのは有り得ない。(明石)
自分の弾きたい曲と、聴衆の聴きたい曲が一致したピアニストになりたい。(マサル)
そう、これ(リスト、ピアノ・ソナタロ短調)は音符で描かれた壮大な物語なのだ。書いた側にも、読む側にも、かなりの力量が必要な。(マサル)
「一瞬も、一生も、美しく。たぶん、一瞬というのは永遠なんだ」(富樫)
「世界中にたった一人しかいなくても、野原にピアノが転がっていたら、いつまでも弾き続けていたいくらい好きだなあ」(塵)
「僕らは音楽が本能なんだ。だから歌わずにはいられない」(塵)
さあ、音楽を始めよう。(亜夜)
あたしは今、畏れている。怯えている。おののいている。だけど、そのことが嬉しくてたまらない。愛おしくてたまらない。切なくてたまらない。(亜夜)
天才は、おのれと同等と認めた存在にしか影響されない。天才どうしでなければ分かり合えないものがあるのだ。(ナサニエル)
本線
こんなに簡単なことだったんだ。
続けていける。あたしは、これからも音楽を続けていける。(亜夜)
「もし、あたしの演奏を聴きたい人がいたら、弾きたいと思う」
「またあの舞台に立ちたい、また弾きたいって思ったよ」(亜夜)
ひとたび、端緒を開けば、誰かが後に続く。いや、世界というものはいつもシンクロしている。(マサル)
先生と話してたんだよ。今の世界は、いろんな音に溢れているけど、音楽は箱の中に閉じ込められている。本当は、昔は世界中が音楽で満ちていたのにって。(塵)
ああ、音楽が満ちていく。(亜夜)
もうこの場所は既に音楽でいっぱいだ。(亜夜)
最後まで読んで頂きありがとうございました。