「蹴りたい背中(綿矢りさ)」の名言まとめました

「蹴りたい背中(綿矢りさ)」の名言をまとめていきます。

蹴りたい背中

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。(長谷川初実、無記入も同じ)
(書き出し)

 

今日は実験だから、適当に座って五人で一班を作れ。先生が何の気なしに言った一言のせいで、理科室にはただならぬ緊張が走った。適当に座れと言われて、適当な所に座る子なんて、一人もいないんだ。

 

余り者には余り物がしっくりくるのだ。いじめじゃない、ごく自然なことなんだ。

 

同じ机を使っていても向こう岸とこっちでは、こんなにも違う。でも人のいる笑い声ばかりの向こう岸も、またそれはそれで息苦しいのを、私は知っている。

 

私は、余り者も嫌だけど、グループはもっと嫌だ。できた瞬間から繕わなければいけない。

 

人間に囲まれて先生が舞い上がる度に、生き生きする度に、私は自分の生き方に対して自信を失くしていく。

 

「傷口を見るのが怖いから、絆創膏を貼るんだよ」(にな川)

 

試食を朝ごはんにしていた私と、カフェの椅子を激写しているにな川とだったら、どっちの方がより怪しくて迷惑だろうか。負けず嫌いの私だけれど、この勝負には勝ちたくない。

 

授業も教室の喧騒も灰色にくすんで、家に帰っても学校で何があったかをよく思い出せない。たまった緊張のせいで背骨がきしむような痛みだけが残っている。

 

学校にいると早く帰りたくて仕方がないのに、家にいると学校のことばかり考えてしまう毎日が続く。

 

私は、見ているようで見ていないのだ。
自分の内側ばっかり見ているから、何も覚えていない。学校にいる間は、頭の中でずっと一人でしゃべっているから、外の世界が遠いんだ。

 

話のネタのために毎日を生きているみたいだった。とにかく”しーん”が怖くて、ボートに浸水してくる冷たい沈黙の水を、つまらない日常の報告で埋めるのに死に物狂いだった。

 

遊びの予定を立てるために、あくせくしなきゃいけないなんて不毛だけれど、この努力を怠ると、夏休みが重くのしかかってくることになる。

 

私は夏休みを一コマも埋めていない。まっさらのまま横たわる夏休みに、漠然とした不安はある。どこまでも続く暇の砂漠に、私は耐えられるんだろうか。

 

力強く言われて、不覚にもじんときた。先生から目をそらしながら、泣きそうになる。やっぱり先生は嫌いだ。

 

人にしてほしいことばっかりなんだ。人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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