「呉越春秋 湖底の城(宮城谷昌光)」范蠡(はんれい)の名言・台詞をまとめていきます。
7巻
将来の妻
人の造った物のなかで、もっとも美しい物は、もっとも醜い物になりうる。
范季父
狭い天空だ。越という国が、そもそもそいうところか。
人に頼ったら、負けか。
越軍の策
兵法か……われが王を輔けるのは、そういう手段ではない。
すぐれた人と思想があれば、たとえそれが敵側にあっても、学ばなければならない。
応用のきかない事例をそぎおとし、いわば醇化してゆくと、孫子の抽象世界に到達することにならないか。
越王の奇策
「種よ、なんじは王を衞りぬいて死ぬつもりであろうが、まだ死ぬのは早い。王がお亡くなりになったあと、殉死するなら、止めない」
海辺の風
「そうはおもいませんが、負ける場合もある、と考えたまでです。その場合、王さえご存命であれば、国は滅亡しないものです」
人がいない。とにかく、人を知るには、人に会うのが一番だ。
「人は、聴く耳をもたない人には、語りかけないものだ。民と政府のありようもおなじで、訴えても願っても、とりあってもらえない政府には、なにもいわない」
「沈黙した民はおとなしい良民ではなく、不満と怒りのかたまりであるとおもうべきだ。そうなるまえに、悪感情の捌け口をつくっておく。それも政治の方法のひとつだ」
西施
「そなたを娶ったのは、天のご意向に従ったのであり、われが天意にそむくことはけっしてない」
山の守護
「このことは、あなたがたの死活にかかわっています。一日のちがいが、生を死に変えないともかぎりません。どうか、いますぐ、お決めください」
諜報戦
「われはなにごとにおいても、まず最悪の事態を想う心の癖がある」
8巻
海辺の怪人
うまくゆきすぎていることが、怖い。
夫椒の戦い
「考えすぎて、事をあやまることなど、あろうか」
「匋干どのに死なれたら、救える王も、救えなくなってしまう。われらにとって喫緊のことは、王を護りぬくことだ」
敗走の路
みぐるしくても、生きのびたほうが最終的な勝ちをつかめる。
薪の上の正夫人
月も満ちれば欠けてゆく。
「負ける、とは、こういうことなのか」
「正夫人をお救いできないまでも、結末をみとどけたい」
滅亡の淵
「たしかに国のため、君主のため、敢死することはりっぱだが、われにいわせれば、ここで死んだ者たちはすべて卑怯者よ。国が破れてから、生きつづけることのほうが、はるかに辛く苦しい。逃げたのは、この者たちであり、なんじではない」
「われは神の霊験を信じないわけではないが、そればかりを願って、動かなければ、正夫人を救った西施に劣るといわざるをえない。西施は死ぬよりつらいことを為したのだぞ」
「王に棄てられたものでも、われは拾う」
雪中の声
「この世には、いかなる財宝にもまさる物がある。それが人のことばというものだ」
「わが王が釈されるまで、辛抱しなければならぬ。ただし、この辛抱がいつまでつづくのか、はっきりとはいえぬところにさらなる辛さがある」
美しすぎることは、不幸なことだ。
往復の路
「それがしは、王がご帰還なさったあとのことを考えているのです」
楚への密使
「王が帰国なさるのが、明年であるのか、十年さきになるのか、わからぬとなれば、外交上の手は打つべきときに打っておかねばならない」
9巻
外交の妙
学ぶということは、生涯学ぶということだ。
「いや、早い晩いが問題ではなく、為すか為さざるかが肝要なのです」
功が多い臣は、君主にうるさがられることになる。
危難の秋
「あなたは知らないだろうが、われは人質だ。逃げるわけにはいかない」
西施の命運
苦難のうけとりかたをまちがえると、人は卑屈に堕ちてしまう。
「臼よ、追放されたら、商人にもどろうや」
「どれほど手際がよくても、的はずれとなれば、すべてがむだになる」
仙女の飛翔
越王が棄てたものを摭うという行為は、天意に従ったのか、さからったのか。
「われも弱者を助けるのが好きだ」
「呉王は威張るたびに、あらたな敵をつくってゆくでしょう」
「いまは、地と人のみをごらんになるべきです」
「事を制する者は、地にのっとる、といわれています。人を養うのも、地なのです。天はおのずと至るものであり、引き寄せようとしても、けっしてこないものなのです」
属鏤の剣
「王の目に、呉国と呉王が満月のように映ったとき、天の時が至ったのであり、地の利に推されて、出師なさるべきです」
出撃の時
「生をもって美とするか、死をもって美とするか。これは、後世の評価にゆだねるとしよう」
人の和の堅さは、すべてを凌ぐ。
「無形の陣ほどすぐれたものはない」
呉越の決戦
一夜の過誤が、千日の労苦を招くかもしれない。
「われは越が負けるはずがないとおもうが、心配なのは、むしろ勝ったあとだ。王が呉王をどうあつかうか、天下の目が、その一点にそそがれる」
人の怨みほど恐ろしいものはない。
「人は、けっきょく、人を喜ばせた者が勝ちだな」
「人は威権の世界にまよいこむと、そんな単純なことも忘れてしまうということさ」
「呉との戦争は、長くなろう。なぜなら呉を完全に滅ぼすまで戦いがつづくからだ」
「いや、策は、敵を強、おのれを弱、と自覚した者の発想だ。呉王の認識にはそれはない」
湖上の影
「無道の君主を討つのです。たれに非難されましょうか」
「柯を伐る者はその則遠からず、と申すではありませんか。いま王はためらっておられますが、会稽の恥をお忘れになったのですか」
「君辱しめらるれば臣死す。かつて王が会稽山で辱しめられたのに、わたしが死ななかったのは、この日のためです。すでに事が成ったのですから、わたしは罰をうけなければなりません」
「飛鳥尽きれば、良弓は蔵われる。狡兎が死ねば、走狗は烹られる。越王という人は、患難をともにすることはできても、楽しみをともにすることはできない」
「十日どころか、百日も、千日もいればよい。ここには時はない」
最後まで読んで頂きありがとうございました。