「シャーロック・ホームズ最後の挨拶(コナン・ドイル)」の名言・台詞をまとめていきます。
シャーロック・ホームズ最後の挨拶
ウィステリア荘
「ねえワトスン、きみのことは一文学者として認識してるんだが、きみなら”グロテスク”という語をどういうふうに定義する?」
「けっしてそれだけじゃないはずだよ。なにやら悲劇的なもの、まがまがしいもの──この語の底流には、なにかそんなものがあるような気がする」(シャーロック・ホームズ)
「ぼくがどれだけ退屈してるか、きみだってわかってるだろうに。いまのぼくの頭ときたら、空回りするエンジンそのものさ」(ホームズ)
「もしもこれからの調査でおいおいにわかってくるだろう新事実が、その仮説と矛盾せずに、おさまるべきところへおさまるようであれば、そのとき仮説は仮説でなくなり、徐々にひとつの解答へとかたちづくられてゆく、そういうことになると思うんだが」(ホームズ)
「データがそろわないうちからそれをうんぬんするのはまちがってる」
「そういう場合、ひとはえてして自分の打ちたてた仮説に適合するように、無意識にデータをゆがめてしまいかねないものだから」(ホームズ)
「きみにおめでとうと言わなきゃいけないな、警部──なにせ、これほど特徴的、かつ示唆に富んだ事件を扱っておられるんだから」(ホームズ)
そう言うホームズが、じつはいま獲物の強い臭跡を嗅ぎあてたらしいこと、それを私は数々のそれとはない徴候から読みとっていた。
おそらくこのことに気づくものは、この私を措いてほかにはあるまい。(ジョン・H・ワトスン)
「ねえワトスン、田舎でこうやって一週間を過ごすというのは、なにものにもかえがたい値打ちがあるね」(ホームズ)
目の前で、もつれにもつれた綛糸がするすると解けてゆく心地だった。
毎度のことながら私は、どうしてこれしきのことがいままで自分の目には見えていなかったのか、と首をひねるしかなかった。(ワトスン)
「法律が手を出せないのであれば、こっちが体を張って、思いきった手に出るしかないのさ」(ホームズ)
「きみはきっとこの道で出世するよ。そのための直覚力と洞察力とをそなえてるからね」(ホームズ)
「いつかも言ったと思うけど、怪奇から身の毛もよだつまでは、ほんのひとまたぎにすぎないのさ」(ホームズ)
ボール箱
「言葉ではそう言わなくてもね、ワトスン、きみの眉は明らかにそう語っていた」(ホームズ)
「ひとの表情というものは、内心の感情を表現する手段として与えられているんだが、きみの場合、表情は根っから忠実一途のしもべとして、きみという人間を表出してるのさ」(ホームズ)
「とんでもない、いまほどまじめだったことはなかったくらいさ。おぞましい犯罪がなされたんだが、いまこそぼくは、その犯罪の一部始終を明らかにできたと思っている」(ホームズ)
「この事件に関しては、ぼくの名はいっさい出さないでほしい。ぼくがかかわるのは、解決に手間どるような難事件のときだけにしたいんでね」(ホームズ)
「今度の事件はね、かつてきみが『緋色の研究』とか、『四人の署名』とかいった題で書いてくれている、ああいう事件と同様に、結果から原因へと逆に推理を働かせてゆくべき事件のひとつなのさ」(ホームズ)
「漠然としてるどころか、ぼくから見れば、これほど歴然とした事件はないよ」
「はじめぼくらは、完全に白紙の状態で事件に臨んだ。これがじつはどんなときにも有利に働く。先入観というものがないからね」(ホームズ)
「ねえワトスン、じつは人体のうちで耳以上に種々さまざまな形を持つ部分はない。耳には原則としてひとりひとり特徴があり、それぞれに他人の耳とははっきり異なっている」(ホームズ)
「物事には必ずやなんらかの目的がある。そうでなければ、われわれの属するこの宇宙は、まったく行きあたりばったりに動いてるこということになるが、そんなことはありえないんだからね」(ホームズ)
「人間の理性はいつの場合も、それへの真の解答からひどく遠いところにしかないのさ」(ホームズ)
赤い輪
ホームズという男、少々お追従に動かされやすい。それに、公平に言って、根はやさしい人物なのである。(ワトスン)
「なんの得があるか──まあそうだね。いってみれば、芸術のための芸術ってとこかな」(ホームズ)
「そうさ、勉強に終わりはないんだ。学習することの連続で、しかも、最後の最後に学ぶものこそ、いちばん大事なことだと相場が決まっている」
「その意味でも、今回のこれ、学ぶことの多い事件だよ。金も、名誉もかかっちゃいないけど、それでも解決してみたくなるなにかがある」(ホームズ)
ブルース=パーティントン設計書
「このロンドンという広大かつ薄闇にとざされた舞台は、そんなもの(こそ泥)よりも、もっと値打ちのあるなにかのためにこそしつらえられているはずなんだ」
「思うに、このぼくが犯罪者でないのは、この社会にとってはさいわいだったんじゃないのか?」(ホームズ)
「これはこれは! 驚きの連続だ! なんと、兄のマイクロフトがやってくるそうだよ!」
「どうしたのか、だって? それを訊くのか? いいかい、これは田舎道を路面軌道車が走ってくるようなものなんだよ」(ホームズ)
「兄が英国政府の人間だという点、それはたしかにきみの思いちがいじゃない。さらに言えば、ときには兄が英国政府そのものになる」(ホームズ)
「たいへん面倒なことが起きたのだ、シャーロック。日ごろの習慣を変えるのは、わたしの深く忌避するところだが、きょうばかりは、そうも言っていられない」(マイクロフト・ホームズ)
「いいかシャーロック、このさいおまえには、万事を忘れて取り組んでもらわなけりゃならん。いつものけちな、警察裁判所扱いの謎解きなんかにかかずらってるときじゃない」(マイクロフト)
「おまえの集めたデータをこっちにまわしてくれ。そうすれば、安楽椅子にすわったまま、おまえの望むような卓越した専門家としての意見を提示してみせるよ」(マイクロフト)
「ぼくはね、ゲームそのものを楽しむためにゲームをするだけさ」(ホームズ)
「行動しろ、シャーロック──いまこそ行動を起こすんだ!」
「いまの説にたいしては、わたしの全本能がこぞって反対を唱えている。使うんだ、おまえの能力を! すぐさま犯罪現場に急げ! 関係者に会うんだ! なにもかも徹底的に調べつくせ!」(マイクロフト)
「今回の件では、マイクロフトに大きな借りができたな」
「なにしろ、彼が仲介してくれたおかげで、まさしくめったに出あえないような、折り紙つきの怪事件にめぐりあえたんだからね」(ホームズ)
「材料はそろっている。見通しも立ってる。これだけそろってて、その可能性に気づかなかったとなると、ぼくもよっぽど鈍いってことになるわけだ」(ホームズ)
「しかしねホームズ、それなら本人の人柄もある程度、考慮すべきじゃないのか?」
「なぜそんなことをしたのか。とても理屈じゃ割りきれないよ」(ワトスン)
「いままできみといろんな事件に取り組んできたが、今度のこれくらい、とっかかりに苦しんだのはないね。ひとつ進展があるたびに、また新たな山が向こうにあらわれる」(ホームズ)
「”ほかのすべての条件があてはまらない場合は、残った可能性がどれほどありそうにないものでも、やはり真実にほかならない”──むかしながらの公理だよ」(ホームズ)
「みごとなものだ。きみのいままでの仕事のなかでも、最高傑作と言ってもいいだろう」(ワトスン)
わがシャーロック・ホームズ氏のなによりきわだった特性のひとつに、なんであれなにか一仕事かたづけて、もうこれ以上はそれにかかずらっていても意味はない、そう見切りをつけるや、たちまち頭を切り換えて、もっと軽い問題に専念できる、という能力である。(ワトスン)
「ねえワトスン、今回ばかりは、ぼくをとんでもないまぬけと書いてくれてかまわないよ。こんな鳥が網にかかるなんて、ぼくとしたことが、まるきり予想してなかった」(ホームズ)
瀕死の探偵
「おい、いいかげんにしたまえ、ホームズ! このぼくがそんなことをほんの一瞬でも気にすると思うのか?」
「他人からそう思われても、べつに痛くも痒くもないが、よりにもよってきみから、ぼくが病気を恐れて親しい友のために尽くすのを避けるような、そんな男だと思われるとは心外だ!」(ワトスン)
「ぼくがこのままここにつったって、自ら手を尽くしもせず、さりとてほかの医者に診察を請うこともせず、きみが死んでいくのを手をつかねて見ていると思うのなら、きみは、はなはだしくぼくを見損なっていることになるぞ」(ワトスン)
「いまは礼儀などにとらわれている場合ではなかった。この私が機敏に行動できるかどうか、それひとつに友の生死がかかっているのだ」(ワトスン)
レイディー・フランシス・カーファクスの失踪
「およそこの世でなにが危険だといって、ある階層の女性──友もなく、目的もなく、ただ世界を流れ歩くだけの有閑女性ほど、あぶなっかしい種族はない」(ホームズ)
「それにしても、珍しく徹底した調査をやってくれたものだよ、ワトスン。なにしろ、きみのやらなかったへまを見つけだすほうがむずかしいくらいだからね」(ホームズ)
「ぼくの行動に”たぶん”はない。実際に、もっとましな結果を得てるんだ」(ホームズ)
「くそっ、いまいましい──神から授かった自慢のこの頭脳、いったいどこで錆びついちまったんだ?」(ホームズ)
「いかにすぐれた、バランス感覚に富んだ頭脳といえども、ときとして曇ることもあるという実例だよ。およそ人間にはこの種の失敗がつきものであって、その失敗をいちはやく自覚して、早急に是正の手が打てる人間こそが偉大なのさ」(ホームズ)
悪魔の足
「もしこれが実際に人間業を超えたなにかであるとすれば、残念ながらこのぼくにも、その解明はむずかしいと言わざるを得ませんね」
「ただし、いずれはそういう結論に落ち着くにしても、その前にやはりわれわれとしては、それ以外の、より自然な推論をひとつひとつ検討して、それらが成立する可能性を排除しておく必要がある」(ホームズ)
「白状しますが、最初からこれほど奇々怪々な様相を呈している事件というの、かく言うぼくも、めったに出あったためしがありませんよ」(ホームズ)
「じゅうぶんな材料もないのに、ただ頭だけ使ってみても、エンジンを空ぶかしするようなものだからね」
「そのうち、酷使された機械のほうがだめになって、空中分解しちまうのがおちだ」(ホームズ)
「いま判明している事実はほんのわずかだが、まずはそれらをしっかり把握しておかなきゃいけない」
「把握していれば、いずれ新たな事実が出てきた場合、それらを迷うことなく適切な位置にはめこんでやれるからね」(ホームズ)
「それがぼくの流儀だからだよ、ワトスン──警察当局の捜査を邪魔することはけっしてしないんだ」(ホームズ)
「まあいいさ。ぼくにとって、きみの役に立つことは、最大の喜びであり、特権でもあるんだから」(ホームズ)
「こちらははったりなどとはいっさい無縁です。証拠として、ぼくの推論の土台になっている事実をすこしお話ししましょう」(ホームズ)
「あとをつけるのに、つけている相手に気づかれるようなへまはしませんよ」(ホームズ)
「ぼくはねえ、ワトスン、あいにく女性を愛したことはない」
「しかし、もしも愛した経験があり、その女性がああいった最期を遂げたとしたら、やっぱりあの法の埒外に立つライオンハンター氏とおなじ挙に出ていたかもしれない」
「出なかった、なんてだれが言えるもんか」(ホームズ)
シャーロック・ホームズ最後の挨拶
「さっきからまだきみの顔を、明るいところでよく見てもいないんだ。長らく会わなかったが、歳月はきみをどこまで変えてしまったかと思ってね」
「なんだ、こうしてあらためてながめてみても、元気いっぱいだったむかしとすこしも変わっていないじゃないか」(ワトスン)
「引かれ者の小唄だな、もう聞き飽きた。かつての日々、いったい何度、聞かされたことか」(ホームズ)
「ああワトスン! ”きみは移り変わる時の流れに流されない、一個の確固たる定点だ”」(ホームズ)
最後まで読んで頂きありがとうございました。