「氷点(三浦綾子)」の名言・台詞をまとめていきます。
氷点 上巻
敵
「ぼくは院長と夏枝さんの子供だという、その事実に耐えられないんです。見るのも辛いことさえある」(村井靖夫)
やっぱり辻口が一番いいわ。それなのに、何故村井さんと二人でいることがあんなに楽しいのかしら。(辻口夏枝)
「敵というのは、一番仲よくしなければならない相手のことだよ」(辻口啓造)
誘拐
「過ぎ去った時間だけは神でも取返すことはできない」(夏枝、何かの本より)
灯影
「聖人君子なんて、ちょっとした化物の部類よ、大ていは眉つばものよ」(藤尾辰子)
「もし、自分の子だとしたら、もし自分だったら……というように、いちいち換算しないと、ものごとを判断することができないのね。人間ってものさしがいくつもあるものね」(辰子)
線香花火
医学博士の辻口啓造も、殺人犯人の佐石土雄も、結局は同じなのだ。(啓造)
チョコレート
「他に生き方があるとしたら、犯人を憎まないことだよ。憎まないためにはどうするか、愛するしか、ないんじゃないかと思ったわけだよ」(啓造)
雨のあと
心の底などといって、底のあるうちはまだいいのだ。底しれないこの穴の中から、自分でも想像しなかった、もっともっと恐ろしいささやきが聞こえてくるのではなかろうか。(啓造)
回転椅子
案外おれのような小心者は小さな嘘はいえなくても、大きな嘘はつけるのかもしれない。(啓造)
九月の風
戦争に負けて大変な世の中なのだ。それなのにおれは自分一人の憎しみや悲しみの中におぼれている。(啓造)
ゆらぎ
「その時にならなきゃ、わからない」(辰子)
橋
「自由というものは、本当に人間に与えられているものかねえ」(辰子)
「怒らない人間なんて、何となく不正直なにおいがして、わたしは好かないねえ」(辰子)
白い服
「どうにも大変なことなら、親や先生に相談するといいけれどね。でも大人になるにつれて、誰にも相談しようのないことにぶつかるかも知れないよ」(辰子)
歩調
鏡は目に見えるものしかうつさなかった。心をうつすことはできなかった。
氷点 下巻
雪虫
幸福とか、平和というのも、この雪虫のようなものだな。(啓造)
しょせん、人間は誰も自分一人の生活しか生きることはできないのだ。(啓造)
愛するとは……あれだ! あれだ! 自分の命を相手にやることだ。(啓造)
「どうせ、人間なんて何べん焼き直しても、どうにもならんもんさ。まあ、あんまり自分は利口だとさえ思わなきゃいいんだよ。気楽に生きることだな」(高木雄二郎)
うしろ姿
「(秘密は)あるわよ。人にいえないことじゃないけれど、いわないことがね」(辰子)
淵
「言論は自由だよ。なぐられても、殺されてもいうんだ!」(辻口徹)
「おかあさんに復讐したければしてもいいよ。だけど、そのために一人の人間の運命を不幸にするなんて、そんな、人間を大事にしない考え方にぼくは腹が立つんだ」(徹)
答辞
ほんとうの母なら、こんなことは決してしない。(辻口陽子)
千島から松
わたしは明るく生きたいわ。世の中には沢山の人がいるんだもの、おかあさんの影響だけを受けて、暗くなることはないんだわ。(陽子)
空の半分しか見ていなかったなんて……。(陽子)
川
「わたしは川じゃない。人間なんだ。たとえ廃液のようなきたないものをかけられたって、わたしはわたし本来の姿を失わないって、そう思ってたの」
「こんなの、やはり素直じゃないわね、おにいさん」(陽子)
赤い花
死は解決だろうか──死は解決ではなく、問題提起といえるかも知れない。(啓造)
階段
憎んだり、ねたんだり、愛したり、怒ったり、これが生きるということだろうか。(啓造)
堤防
こんなに会いたいのに、でも、わたしはあの人をゆるすことはできない。
恋とは憎しみだろうか。(陽子)
「それはわかっているの。問題はわたし自身にあるの。わたしの自立心を尊重したいの。大人であるということは、経済的にも自立することだと思うのよ」(陽子)
「わたしがこの家を出るのは、死んだ時だけよ」(陽子)
人がやって悪いことは、自分がやっても悪いはずだ。
自己中心とは何だろう。これが罪のもとではないか。(啓造)
街角
どうして北原さんを信ずることができなかったのだろう。ただ一人のかけがえのない人として、どうして信じて行けなかったのだろう。(陽子)
ピアノ
「あいこですよ。この前はぼく。こんどはあなた。若いっていうことなんでしょうね。こんなことで本気になって怒ったり、誤解したり……」
「そして、だんだん利口になっていくんじゃないかな」(北原邦雄)
「変わるとも変わらないとも断言できませんよ。今は一生変わらないつもりではいますけれどもね。あくまで、つもりですよ」
「でも口に出して永遠にぼくの気持は変わらないなんていえないなあ。だから、結婚の約束もぼくはしませんよ」(北原)
「ぼくがねがうのは、毎日を誠実に生きていきたいということなんです。その誠実な生活の結果が別れになったとしても、これは仕方がないことでしょうからね」(北原)
遺書
自分さえ正しければ、私はたとえ貧しかろうと、人に悪口を言われようと、意地悪くいじめられようと、胸をはって生きて行ける強い人間でした。
しかし、自分の中の罪の可能性を見出した私は、生きる望みを失いました。(陽子)
ねむり
人間は沢山の思い出をいだいて死ぬのだわ。(陽子)
信頼し合ったことさえ、悲劇になることもある。(啓造)
最後まで読んで頂きありがとうございました。