「ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理(バートン・マルキール)」の名言をまとめていきます。
ウォール街のランダム・ウォーカー
第1部 第1章
今日では一般の投資家は、ウォール街のプロにはとても太刀打ちできないと言われている。
しかし、事実は全く逆なのだ。個人投資家は少なくとも専門家と同じくらい、場合によってはそれを上回る、優れた運用成果を上げることもできるのだ。
本書は「投機家」にとっては何の役にも立たないことを、あらかじめお断りしておきたい。一晩で大金持ちになることを狙うような人たちは、これを読んでも無駄である。
本気で証券投資を行うには、それなりに大変な努力がいるということだ。
ファンダメンタル価値学派は、投資対象が普通株であれ不動産株であれ、「ファンダメンタル(本質)価値」と呼ばれる絶対的な価値があり、それは現状分析と将来予測を注意深く行うことによって推定できる、と主張する。
砂上の楼閣学派の投資アプローチは、心理的要素を重視する。
ケインズによれば、プロの投資家というのは本質価値を見出すためにではなく、一般投資家がどのように行動し、強気が支配する相場の局面で、希望的観測がどのように砂上の楼閣を作り上げるかを分析することに、エネルギーを費やす。
買い手は将来また他の誰かが、それより高い価格で買ってくれることが期待できるからこそ、投資する。
第2章
投機の群衆心理こそまさに、愚かしいドラマが演じられる劇場である。
なぜ人間の記憶は、かくも短命なのであろうか。なぜ繰り返し起こる投機ブームは、過去の教訓を一つも生かそうとしないのだろうか。私には、適切な答えは思い浮かばない。
第3章
ストーリーが必ずしも信憑性のあるものでなくても、投資マネジャーの目から見て、平均的投資家を信じ込ませるだけのストーリーがあれば、それで十分だった。
技術革新自体は本物であったとしても、それが投資家に対して保証するわけではないのだ。
歴史から得られる教訓は明白だ。その時の市場の投資スタイルや流行のはやりすたりが、株価形成に大きな影響を及ぼすということである。
バスに乗り遅れまいとする欲望が強すぎると、どんな高成長産業の場合でも、投資家にとっては利益なき繁忙に終わりかねない。
異常な高株価を肯定する陣営は、あらゆる疑念に対する答えを用意していた。
第4章
株式市場と同様に、メディアもまた需要と供給の法則に支配されている。投資家がインターネット関連の投資機会に関するますます多くの情報をほしがったために、そのニーズに応えるべく投資情報誌類の供給も増加した。
そして読者は先行きに否定的な慎重論には関心がなかったため、投機をけしかけるような内容の出版物が人気を博した。
ほとんどのデイトレーダーは、バブルのさ中でも一貫して間違った銘柄を売買し、損を出していたということだ。また売買頻度の多い投資家ほど、損失も大きかった。
そしてデイトレーダーの平均生存期間は、約6ヵ月であった。
気をつけなければいけないのは、一夜にして大金持ちになれるかもしれないという投機の馬鹿騒ぎの中で、大切な財産を賭けたくなる誘惑に負けないことだ。
しばしば説明のつかない「アノマリー」な価格形成が生まれて、根拠のない楽観論がはびこり、無知な個人投資家がそれに巻き込まれてしまうことがある。
しかし、やがては市場で「本来の価値」が認識される。これこそが読者が学ぶべき結論である。
(アノマリー:効率的市場仮説と矛盾するような金融市場の価格およびリターンのねじれ現象)
「どんなに優れた個人あるいは機関投資家でも、常に市場平均よりも市場のことをよりよく知っている」なんてことはありえない。
第2部 第5章
多くのチャーティストの信ずるところによれば、株価の動きのうち、合理的に説明のつく部分はせいぜい10%くらいで、残りの90%は心理的な要因によるものである。
ファンダメンタル・アナリストたちはその対極に位置する。彼らは株価の動きの90%は合理的なものであり、心理的な要因によるところはせいぜい10%にすぎないと主張する。
多くのチャーティストは、チャート分析の根拠について、「歴史は繰り返す」という以上の説明ができないことを素直に認めている。
不完全なデータを用いて正確な期待値を得ることができないのは自明の理である。しかし、実は、投資家や証券アナリストは目的に駆られて常にこれを行っているのだ。
第6章
過去の株価の動きがどうあれ、明日の株価の上昇下降は五分五分でしかない。株価が次にどう動くかということは、コイン投げと同じで、誰にも予測できないのである。
人間の性は秩序を好む。人々にとって、ランダムさという概念を認めることは難しい。私たちは、偶然の法則がどうであれ、ランダムな事象の中からパターンを探そうと務めるのである。
市場では非常に多くの人々が日々、株価の予想を行っている。したがって、直近の転換点を一度ないしはそれ以上にわたって言い当てたとされる人は、常に存在するだろう。
しかし、同じ人物が継続的に正しく予言するということはありえないのである。
テクニカル手法を用いて有効な投資戦略を編み出すことはできない。これがランダム・ウォーク理論の基本的結論である。
第7章
プロの運用を全体として見た時、それがランダムに選ばれた銘柄からなる、幅広く分散投資されたポートフォリオよりも高いパフォーマンスを上げてきたことを示す科学的根拠は、いまだに発見されていないのである。
ほとんどの投資家は積極運用タイプの投資信託に投資するよりは、インデックス・ファンドを購入したほうが長期平均的にはより大きく報われるのだ。
たとえ他人より抜きん出た能力を持つ運用者がいるとしても、それはごく稀な存在であり、また事前にそれが誰なのかを知る方法などないことは認めざるをえないのだ。
第3部 第9章
誰でも、証券市場がどのように機能するかについての理論を作ることができる。
本当に重要なのは、果たしてその理論は有効なのかということである。
第10章
認知心理学の研究者たちは数々の研究結果に基づいて、人々が不確実性の存在する中で判断を下す時はある規則性をもって間違いを犯すことを証明している。
最も普遍的な傾向として指摘できるのは、自分の信念や能力に対する過信と、将来に対する過度の楽観主義である。
個人投資家の運用能力に関する根拠のない幻想は、「後知恵」と呼ばれる。
つまり、過剰な自信が過去にうまくいったケースの記憶に根ざしているのだ。
ネット株が値上がりを続けている局面で、自分も一枚かんで幸せな気分に浸りたいという誘惑に抵抗するのは難しい。
特に親しい友人たちが大儲けした手柄話を得意げに吹聴するのを聞くと、なおさらだ。
人々が好んで話題にしたがるような投資対象は、あなたの財産の健康にとって特に有害だ。
第11章
私はインデックス・ファンドというアイデアが優れていることを、今では以前にも増して強く確信している。効率的市場理論にたてつく人々は必ずやしくじるだろう。
第13章
一般的に言って、投資期間が例えば20年以上とかなり長期間でなければ、株式から平均的に得られる高いリターンを手にすることは難しい。
どれほど見通しが暗かろうと、物事は徐々に快方に向かっていることが多いのである。株式市場を全体として見ると、常にニュートンの法則とは逆の方向に動いている。
つまり、いったん下がったものは、必ずまた上がるのだ。
それが本当にあなた自身にとって最適な資産構成になっているかどうかは、あなたがそれで夜ぐっすり眠れるかどうかにかかっている。
第14章
インデックス・ファンドを買った場合には、残念ながら銘柄を「当てた」ことを自慢する楽しみはなくなってしまう。
幅広い銘柄に分散投資するということは、市場平均に比べて異常な負け方をする可能性を排除してくれる一方で、異常な勝ち方をも排除することになる。
一人の人間が常に市場平均を上回り続ける可能性はきわめて低い。にもかかわらず、ほとんどの投資家にとって、市場を出し抜いてやろうというゲームは面白くてやめられないのだ。
結局のところ、株式投資はある種の特殊な才能と幸運という神秘的な力の助けを必要とする、一種のアートだからである。
市場平均を上回り続けてきたごく少数の人にとっても、もしかしたらその成功の99%は、実は単に運がよかったことによるのかもしれない。
最後まで読んで頂きありがとうございました。