「博士の愛した数式(小川洋子)」の名言・台詞まとめ

「博士の愛した数式(小川洋子)」の名言・台詞をまとめていきます。

 

博士の愛した数式

「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与えることができる」(博士、以降無記入)
(ルート記号に対する考え方)

 

いつどんな場合でも、博士が私たちに求めるのは正解だけではなかった。(私、家政婦)

 

「必要ありません。今日あなたと顔を合わせても、明日になれば忘れてしまいます。ですから、必要ないのです」(未亡人、博士の義姉)

 

彼はこの世に背広以外の洋服があるのを知らなかったのかもしれない。
他人がどんな装いをしているかなど興味はなく、まして自分の見かけにこだわって無駄な時間を消費するなど考えられなかったのだろう。(私)

 

「言うべきことなど何もない。僕は今考えているんだ。考えているのを邪魔されるのは、首を絞められるより苦しいんだ」

 

「本当に正しい証明は、一分の隙もない完全な強固さとしなやかさが、矛盾せず調和しているものなのだ」

 

「自分たちで発明したのなら、誰も苦労はしないし、数学者だって必要ない。数の誕生の過程を目にした者は一人もいない。気が付いた時には、もう既にそこにあったんだ」

 

「子供を独りぼっちにしておくなんて、いかなる場合にも許されん」

 

物静かで教養豊かな青年だったが、二人の間に起きたことを受け止めるだけの度量はなかった。私を魅了した、電気工学についての神秘的な知識は何の役にも立たず、彼はただの愚かな男になって、私の前から姿を消した。(私)

 

父親のいない子供を産む点では二人同じなのに、あるいは同じだからこそ、どんな方法を用いても母の怒りは鎮まらなかった。苦しみと嘆きの叫びに貫かれた怒りだった。(私)

 

「こんなもの、ただのお遊びにすぎない」
「問題を作った人には、答えが分かっている。必ず答えがあると保証された問題を解くのは、そこに見えている頂上へ向かって、ガイド付きの登山道をハイキングするようなものだよ」

 

「別に目的がなくてもいいじゃありませんか」(私)

 

「数学の女王と呼ばれる分野だね。女王のように美しく、気高く、悪魔のように残酷でもある」

 

「そう、まさに発見だ。発明じゃない」

 

博士の説明を聞いたあとでは、それらは最早ただの数字ではなかった。(私)

 

「正解さえ出せば宿題は終わり、というものではない。55へ到着する、もう一つ別の道順があるんだぞ。そこを通ってみたいと思わないかい?」

 

自分が迷い込んでいた状況の混沌ぶりに比べ、たどり着いた解決の地の、この清らかさは何なのだろう。まるで荒野の洞窟から、水晶のかけらを掘り出したようではないか。(私)

 

この世で博士が最も愛したのは、素数だった。(私)

 

正解を得た時に感じるのは、喜びや解放ではなく、静けさなのだった。(私)

 

「違う。ママが博士を信用しなかったからだよ。博士に僕の世話は任せられないんじゃないかって、少しでも疑ったことが許せないんだ」(ルート、私の息子)

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「数学のひらめきも、最初から頭に数式が浮かぶ訳ではない。まず飛び込んでくるのは、数学的なイメージだ」

 

私はそこから、自分なりに多くのものを感じ取ることができた。
鉛筆のかすれた跡からは情熱を、ばつ印には焦りを、力強く引かれた二本のアンダーラインからは確信を。そしてあふれ出る数式は、私を世界の果てへと導いてくれた。(私)

 

「どうやって約束を取り付けるのさ。博士は心の準備、っていうものができないんだよ」(ルート)

 

先方の事情はしょっちゅう変わるし、相性のぴったりくる組合わせには、滅多に出会えない。一つの所に長くいればいるほど、不都合も生じやすくなる。

その都度私は、過剰に反応しないよう自分に言い聞かせてきた。
私は彼らにとって行きずりの人間であり、この次こちらを振り向いた時、名前さえ忘れられていて当然なのだ。(私)

 

私を一番苦しめたのは、博士が私たちを、もう二度と思い出してはくれないという事実だった。(私)

 

もちろん素数を見つけた時は気分がいい。ならば素数でなかった時、落胆するかと言えば、決してそうではない。(私)

 

「実生活の役に立たないからこそ、数学の秩序は美しいのだ」

 

「それは数学の目的ではない。真実を見出すことのみが目的なのだ」

 

「友だちだからじゃありませんか。友だちの家に、遊びに来てはいけないんですか」(私)

 

一人の男の、ちょっとした気紛れが、三世紀にもわたって数学者たちを悩ませてきたのかと思うと、気の毒でもあった。(私)

 

今振り返っても、博士が幼い者に向けた愛情の純粋さには、言葉を失う。それはオイラーの公式が不変であるのと同じくらい、永遠の真実である。(私)

 

折りにふれ、私はメモを取り出して見つめる。眠れない夜に、一人きりの夕方に、懐かしい人たちを思い出して涙ぐむ時に。そこに書かれた一行の偉大さの前で頭を垂れる。(私)

 

博士の80分が狂ったことはかつて一度もなかった。彼の脳がカウントする80分は、時計より厳密であり、冷酷であった。(私)

 

「空っぽとは、つまり0(ゼロ)を意味するのだろうか。つまり今君の中には0が存在する、ということになる」

 

「無を数字で表現したんだ。非存在を存在させた。素晴らしいじゃないか」

 

一度集結させた証明については驚くほど淡白だ。あらん限りの愛情を傾けた対象が真実の姿を現わし、こちらに振り向いてくれた途端、慎み深く、無口になる。(私)

 

「途中止めしたら、絶対正解にはたどり着けないんだよ」(ルート)

 

博士にとっての永遠は、普通の意味とは違う。数学の定理が永遠であるのと同じように、永遠なのだ。(私)

 

11

「その必要はありません。なんでも向こうでやってくれます。それに……私がおります。義弟は、あなたを覚えることは一生できません。けれど私のことは、一生忘れません」(未亡人)

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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