「異邦人(カミュ)」の名言・台詞をまとめていきます。
異邦人
第一部
きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かも知れないが、私にはわからない。
今となると、これらのひとたちの沈黙が、私を苦しませた。
まるで、一言もかわさなかったこの一夜のために、われわれの親しみが増したかのように。
今日、あふれるような太陽は、風景をおののかせ、非人間的に、衰弱させていた。
彼女は正しい。逃げ道はないのだ。
いずれにしても、ひとはいつでも多少過ちをおかすのだ。
結局、何も変わったことはなかったのだ、と私は考えた。
夏の夜気が、われわれの褐色の体の上を流れてゆく──その感じは快かった。
よく考えて見ると、私は不幸ではなかった。
私は、恐らくこれがはじめてだったろうが、自分が結婚するのだということを真剣に考えた。
こうしているあいだ、ここには、太陽と、
泉のせせらぎと葦笛の三つの音を含むこの沈黙とのほかには、何一つなかった。
それは私が不幸のとびらをたたいた、四つの短い音にも似ていた。
第二部
以前こうした描写を書物のなかで読んだことがあったが、すべてゲームのように見えた。
部屋を出るとき、私は彼に手を差しのべようとさえしたが、ちょうどそのとき、
自分がひと殺しをしたことを思い出した。
私は自分が世間のひとと同じだということ、
絶対に世間の尋常なひとたちと同じだということを、彼に強調したいと願った。
それから後は、もう私には囚人の考え方しかできなかった。
日々は名前をなくしていた。
私に対して意味を持っているのは、昨日とか明日とかいう言葉だけだった。
けれども、もう何かが変わっていたのだ。
明日への期待とともに、私が再び見出したのは自分の独房だったから。
しかし、一人の平凡人の長所が、
どうして一人の罪人に対しては不利な圧倒的な罪になりうるのか、私にはよく理解しがたかった。
自分の滑稽さを承知しつつ、それは太陽のせいだ、といった。
法廷に笑い声があがった。
私はたった一つ、これが早く終わり、そして独房へ帰って眠りたい、
ということだけしか願わなかった。
ひとは、わずかばかりな羞恥と、非常な正確さをもって、つつましく殺されるのだ。
私はとうとう、我慢しないのがいちばん賢明だと考えるに至った。
しかし、人生が生きるに値しない、ということは、誰でもが知っている。
死ぬときのことを、いつとか、いかにしてとかいうのは、意味がない。それは明白なことだ。
結局において、ひとが慣れてしまえない考えなんてものはないのだ。
私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。