「アマテラスの暗号(伊勢谷武)」の名言・台詞をまとめていきます。
アマテラスの暗号
再会
「八十数代? 一代二十五年としてもざっと二千年ですよ?」
「キリストが生まれた頃から同じ家系で神社を守っているなんて」(ジェフ・ウェッカー)
「まったく歴史の長い国には、我々には想像もつかないことがあるんですね」(ジェフ)
歴史のトレーダー
しかしその(トレーディングの)秘奥義が何であれ、
誰もが従わなければならないドグマが一つだけある。
ほかでもない。
完全な将来予測は不可能であるという真実だ。
人間は全知全能の神ではない。
そして時間は常に未来に進み、未知に向かっている。
理性や知識には、将来を完全には予見できないことから来る構造的な欠陥があるのだ。
賢司は感じていた。
これまで経験してきた世界の歴史的なうねりとは、まだほんの序章に過ぎないことを。
本当のうねりはこれから始まることを。
熊猫茶
哀れな人たちだ──。(周江)
君たちがニュースで見ていることは、本当の政治とは何の関係もないんだよ。
国際政治とは、あなたたちの目の届かないところで動いているんだよ。(周江)
お調子者
「ほかの国際的な金融機関にあっても、ゴールドマンにないものが三つあるな」
「女性の取締役、アラブ人、それにフランクフルト・オフィスだよ」(デービッド・バロン)
共通キー
「難しく考えないで」
「共通のキーは身近なものかも」(イラージ・カーニ)
「あなたのお父さんは──」
「日本の……タブーのために殺されたのよ……」(イエナン・リチャーディー)
瑞穂の国
日本は米の国だ。稲穂の国だ。
日本は瑞穂の国なのだから──。(小橋直樹)
偶然・当然
「とにかく一つひとつはこういう小さなこと」
「単に、偶然の一致とも思えるような」(イエナン)
「でもこんな調子で、日本と古代イスラエルの生活の共通点を一日中話すことができるのよ」
「偶然にしては多すぎるのよ」(イエナン)
元初の最高神
「歴史を深く勉強しようとすると」
「宗教も掘り下げて理解しなければちんぷんかんぷんになるんだよ」(賢司・リチャーディー)
伝統と理性
理性とは、久遠の民族の歴史のなかに残り続けた伝統や習慣を排除できるほど高次なものなのか?
天岩戸開き
「(絵は)アマテラスよ」
「日本神道の最高神であり、太陽の女神」(イエナン)
「天皇家の先祖、つまり皇祖神でもあるの」(イエナン)
「私が知っているのは、日本の神話のなかでアマテラスが主人公として登場するのは」
「なぜかこの”天岩戸開きの神話”たった一つということよ」(イエナン)
「故にアマテラスの真価、秘密は、その神話」
「つまりこの絵のなかに凝縮されている──」(イラージ)
意図
相手に個人的な恨みはなかった。
しかし二千年の伝統の重みには代え難かった。(小橋)
不思議な星
父亡きいま、父が生まれ育った日本を訪れようとすると、
逆に自分が日本と過去から切り離されていくように感じる。(賢司)
疎遠だった歳月もまるで嘘のようだ。(賢司)
自分は父と繋がっている。
日本と繋がっている。
日本の歴史と繋がっている──。(賢司)
何かあるのかも知れない。
自分が勉強してきた歴史とは異なる何かが──。(賢司)
現人神
「日本のエンペラーは『こうてい』ではなく『てんのう』」(ウィリアム・王)
「『こうてい』は『ローマ軍最高指導者』を語源にする”命令権を持つ者”とか」
「”最高指導者”という意味で、異なる漢字を使うし発音も意味もチガウってね」(王)
「重要なのは、天皇は歴史上自分で自由にできる権力を持ったことがほとんどないことだよ」
「『君臨すれど統治せず』を歴史で体現してきたのが、まさに日本の天皇だね」(賢司)
歴史の陰謀
ずっとわからなかった、ずっと奇妙に思っていた、嘘をついてでも、
まるで取り憑かれたように世界に向かって日本を貶めようとする不思議な反日日本人。(小橋)
自分たちが民主主義のプロセスで選んだ日本の政府より非民主主義国家の政府がいうことを信じる奇っ怪な人たち。(小橋)
奴らは知っていたんだ。
ヨーロッパや大陸で民族間や国家間の紛争を繰り返してきた奴らは知っていたんだ。(小橋)
どうすれば戦わずに自分たちが優位になるかを。
どうすれば敵が腰抜けになり、飼い犬のように従順になるかを。(小橋)
──歴史を否定させて忘れさせること。
そして、伝統や文化を引き剥がし消し去ることをだ。(小橋)
”これまで世界の歴史のなかで、十二歳までに自民族の神話を教えることを止めた民族は”
”すべて百年以内に消滅した”(アーノルド・トインビー)
八百万の神
「日本は一神教が生まれた砂漠の国々と比較すると、自然環境が人間に優しいんだよ」
「だから日本人は自然に感謝して崇拝するのさ」(デービッド)
ドアの鍵
これで真実を歴史の闇に葬り去れるのだ──。
日本のオール・マイティーはこれで終わりだ。
この俺が葬るのだ。(ヴォルター)
神の絵
「わ、私を殺したって何の価値もない」
「ただあなたが殺人者になるだけだ」(ラビ・ヨセフ・コーヘン)
秘木三木
古今東西、神事には秘密がつきものだ。
O、D、C
「やはり東の果ての日本はさまざまな民族の最終目的地だった?」(賢司)
「確証はないけど、そうかもね」(イラージ)
「朝日が昇る方角を目指すことは」
「古代人にとってはわりと自然なことだったのかも知れない」(イラージ)
贄
「もうこれ以上、深入りしないほうがいい」(兼平正人)
「その時がくれば明らかになるものだ」
「そのときとは、神のみが決めることだ」(兼平)
歴史のなかで、どれだけ多くの人が消え去っていったことか。
ある者は不思議な力で社会的信用を失い、ある者は職を追われた。
なかには命さえ失った者もいたではないか。
最高神、太陽神、皇祖神
「政治的というか──、謎だらけなんですよ、伊勢神宮って」(田中清美)
神の道
「神道はほかの宗教のように論理の上に成り立っているのではなく」
「心の上に成り立っているといえると思います」(清美)
「だから神道には明示的な真理も、善悪も、正義も、罪も、罰も、業もありません」(清美)
「日本人が日々の生活のなかで、なんとなく心のどこかに感じている」
「”清く”、”正しく”、”美しく”といった美学は、神道からきている感性です」(清美)
「実際、多くの日本人も自分は宗教を信じていないと思っています」
「──毎年神社で参拝する人はメッカに巡礼するイスラム教徒より多いんですけどね」(清美)
「自然も人間も不可分な全体の一部分──」
「確かに、これ以上ないってくらい日本っぽい」(賢司)
「そもそも日本の神さまはなにも教えないし、縛りつけるものがなにも無いんです」(清美)
「明確な教義がないからこそ、すべての宗教を矛盾なく受け入れることができる抱擁力があると、どなたかが仰っていたわ」(清美)
「先に宗教的な教えを受け入れて、それに対する反応として価値判断する西洋人」(イラージ)
「しかし神道には初めに受け入れるぼんやりした世界観はあっても明確な教えがなく」
「日本人は自分から能動的に判断していく」(イラージ)
「外からの侵略の心配もほとんどないそんな地に辿り着いた日本人の祖先たちは」
「ここが天国ではないかと錯覚したのではないでしょうか」(イラージ)
「アフリカを出発して以来」
「こんな豊かで安全で過ごしやすい環境はどこでも見たことなかったでしょうから」(イラージ)
「そしてその人たちがどんな宗教を持ち込んで来たとしても」
「次第に忘れ去られていったのでしょうね」(賢司)
「ここではガイダンスは必要なく、自然に感謝し自然と共存すれば生きてゆけたから」
「──そして、やがてその自然を崇拝する神道が萌芽していった」(賢司)
「ですから日本人の”公(おおやけ)”に対する価値観は」
「この豊かな自然のなかで人々が誠実に生き、協力し合って同じように生きるという」(清美)
「神道と米作文化のなかで醸成されてきた社会に対する信頼を」
「ベースにした価値観なんです」(清美)
聖書の旅
「ここまでいろいろあると、確かに確率論的に疑いたくなるね」
「伊勢神宮の参拝って、まるで聖書の中を旅しているみたいじゃない?」(イラージ)
発祥の星
「なんか、政治的なものを感じるよな──」
「だってそうだろ?」(デービッド)
「大きな政変のあと新しい歴史書を書かせて、ほかの歴史書を偽書とした」
「その天皇がこの伊勢神宮という謎だらけの神社をつくった──」(デービッド)
「こんなのたまたまじゃ、あり得ないだろ」(デービッド)
否定の否定
「これからお見せするのは、毎年行われる御頭祭という前宮の最も重要なお祭りで」
「ミサクチ神を祀る”ミサクチの祭り”といわれるお祭りです」(兼平)
「我々でさえ起源も知らないほどの古い神事です」(兼平)
カラスの足
「脅すってことは、逆に傷つけたくないってことさ」
「理論からいえばな」(デービッド)
合理・非合理・不合理・反合理
「どうにもならないんだったら、歴史や伝統の枠にとらわれずに合理的に考えて」
「一歩早く進めばいいじゃないか」(宗村暁明)
「米中のように伝統や文化なんてなきゃないで済むものさ」(宗村)
「合理性なんて所詮人間が考える程度のものでしかないんだよ」(小橋)
「合理的に考えれば、将来を予測できる」
「──だから正しく導くことができるという考えは、人間の浅はかな傲りだよ」(小橋)
「合理的に決められないからそこ」
「理性にも、社会にも、文明にも前進する余地も自由もあるんだよ」(小橋)
「強情じゃないと、神道も、伝統も、価値も、文化も守れないんだよ」
「守るっていうことは、そういうことなんだよ」(小橋)
聖なる絵
「浮世絵の研究が最も進んでいるのは、実は日本ではなくて欧米なのよ──」(イエナン)
供された水
「実は、ギオン(GION)祭りとは、シオン(ZION)祭りのことなのです」(デーブ・ヘラー氏)
シストラ
「この(イシク・クル湖)下にはユーラシア大陸の謎が眠っていると思うと」
「本当にロマンチックね」(ナオミ・コーヘン)
シルクロードの足跡
「日本人とキルギス人は兄弟なんですよ」(老夫)
「キルギスには『大昔、キルギス人と日本人は兄弟だったけど』」
「『肉が好きなものはキルギス人になり、魚が好きなものは東に行って日本人になった』」
「という伝説があるんです」(老夫)
東の海の島々
「もしダビデの血統が続いている王朝がどこかほかの場所にあるのなら」
「紀元前六世紀以前から続いているだけでなく、万世一系でなくてはなりません!」(ヘラー氏)
二人の”初代”
賢司は血統を絶対原理とした日本の皇位継承の発想が、
世界を見渡しても異常なくらい独特なものであることに気づいていた。
男系の世襲こそが唯一の正当性の源泉であり、それ以外は一切許さない。
何か宗教的なものさえ感じる──。
剣山
「賢司さんは正しい血筋の方です」
「私たちには、秘密を守る範囲で賢司さんを守る義務があります」(小橋)
神迎
出雲大社とは、まさに日本史の迷宮への新たな入口だったのである。
日本文明の破壊者
世界にたった一つしかない、単一文明を支えている唯一無二のバック・ボーン。(宗村)
これがなければ、日本文明が内から溶解し、
中華文明と一体化してしまう運命のセパレータ。(宗村)
それこそが、神道。
そしてその中心にいる、ある、天皇家だ。(宗村)
価値の価値
「彼らは勘違いしているんです」
「合理的な考え方が、いつも非合理的なものに勝っていると」(小橋)
産霊の迷い
「移り変わり自体は、神道が決めることではない」
「我々が出来ることは、神を信じ、社会や国民のために祈ることなんだよ」(小橋道久)
「お父さんは、直樹がきっと」
「万物を産み出し成長させる神道の産霊(むすひ)のこころと力を思い出して」
「その憎しみの向こうに、新たな希望を見い出してくれることを信じているよ」(道久)
神道は産霊の概念を最も大事にし、生命の繁栄にかなうものを”よし(善)”として、
かなわないものを”あし(悪)”としてきた。(小橋)
日本人の道徳的善悪とは、もともと、産霊の概念から生まれたものだ。(小橋)
憎しみ、恨み、怒りからは、生命力は生まれない。(小橋)
二千年の極秘伝
進みたい方向には、何か見えない歴史の厚い壁のようなものがある。(賢司)
神の法則
「神話だけをもとに真実を探ろうとすれば五里霧中になり」
「決して抜け出すことはできない迷路にはまり込んでしまうのですよ」(海部定信)
名のない神
「歴史的に本当に別々の人間として存在したとしても、それはあくまで歴史の話」
「でも、いま僕たちが話しているのは神話世界の神の話」(賢司)
「二者は似て非なるもの」
「重なることはあって同一ではない──」(賢司)
潜入
「僕はやっぱり行くよ」
「父の命のメッセージだからね──」(賢司)
最後の真実とは
「……ここから先は……神のみが決められる領域……」
「……ということだと思うわ」(ナオミ)
エピローグ
「もしかしたら、父の行動の本当の意味は」
「これから知ることになるのかも知れないね」(賢司)
最後まで読んで頂きありがとうございました。