「身体知性」の名言まとめました

「身体知性(佐藤友亮)」より名言をまとめていきます。

武道家で医師の著者による、刺激に満ちた身体論!
タイトルの「身体知性」をキーワードに、人の感情と判断について鋭く切り込んでいく。
西洋医学と東洋医学。各分野のエキスパートたちの言葉。論文や解釈。
多方面から考えられている内容は一見の価値有り。

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芸術的センス

手術の模式図に芸術的センスはいらない。そういうのは要求していない。
手術記録の模範的イラストは完全に言語で置き換えができるものです。

「記録は美しい必要はない、ただ正確に分かれば良い」と理解している。
現物と似ている必要もなく、現物を理解出来ることが一番大切なこと。
私も設計の仕事で図面をよく書いていたが、若い時は綺麗に書こう、正しく書こうという意識ばかりが強かった。
しかし年を重ねると、「分かりやすく書こう」という気持ちが強くなっていく。
技術的な表現は要らない。そんな形式にこだわる必要もない。
現物の作り手は、正確な情報だけが欲しい。
形にこだわって、時間ばかりかかっていませんか?

医師の問題

西洋医学に関わる医師たちは情報や知識を正確に取り入れることに必死になり、科学的に思考する態度に対してあまり注意を払う余裕がなくなってしまいました。

知識や記憶の偏重主義の学生みたいですね。
余裕が無くなると考えることが出来なくなる。その結果、知識や記憶に頼ってしまう。
そんなことで、良い医療が出来るはずがない。
そんな状態に追い込まれている医師に非難は出来ないが、どこかで歯止めをかけないと、おかしくなりそう。

医学生と医療

医学生は、人体解剖実習で遺体と向き合うことで、この「分からないこと」と初めて切実なかたちで直面します。

医療の現場は不確定要素にあふれています。
これは言い換えるならば、患者の身体は「未知のもの」として存在しているということです。

「分からないこと」について、連続でピックアップした。
知識として知っているのと、実物は違う。
車の運転技術の本をいくら理解しても、運転出来ないのと同じこと。
また車の整備を何年しても、違うメーカーや知らない部品が出てくると理解が困難になる。
人の身体は似ているが、一人として同じではない。病状も状態も、全く同じは存在しない。
医療の難しさを改めて思い知らされる。

過剰診断の意味

未来に起こることを完全には予測できない以上、医師はわずかな範囲で「過剰診断」「過剰診療」を行ってこそ、患者の身体的安全を守ることができるのです。

全く予測出来ないのではなく、可能性が複数あるパターンが多いのではと考えている。
「90%以上の確率で何もないが、多少不安がある」場合、何が正解かは難しいところ。
安全を期して入院してもらっても、何も無ければ小言を言う人が少なからずいるだろう。
逆に帰ってもらって、万が一病状が悪化すれば問題視される。
自分に当てはめると、患者側を非難出来ない。むしろ普通の反応だ。
医師はそんな普通の反応を気にせずに、判断しないといけないのが難しい。

思考

医学とは、「行動しながら思考する」ことが求められる作業です。

実際の医療は患者がいるため、のんびり考えていては間に合わない。
「情報収集をすべてした後に意思決定」ではなく、「情報収集しながら意思決定」をしなくてはならない。
そして意思決定によって、情報収集の方針も変更することがあるだろう。
そこで大切なのが、「近道思考」と書かれている。
「近道思考」とは経験に基づく、「血肉化された」意思決定の方法。
少し違うかもしれないが、私は経験による「勘」のことと考えている。
人は「違和感」を感じることがある。
調べても問題は見つからないが、「何かおかしい?」と感じることがある。
そしてそれは正しいことが多い。
勘は問題視されることもあるが、絶対に必要な能力です。

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近道思考の問題

近道思考は、熟練した医師が使用すれば迅速で精度の高い、臨床判断上の強力な武器になります。
しかし一方で近道思考は、医師の感情の変化の影響を受けやすいという特徴があります。

先程少し書きました、「近道思考」の問題が書かれている。
感情はもちろん、体調の影響も受けるでしょう。
そして何より問題なのは、いつも同じ答えにたどり着く訳ではないこと。
スポーツで山を張るのとはわけが違う。医療の場合、間違いは即問題となる。
それでも思考のショートカットの重要性は変わらない。
後は、「どうすればいいのか?」を考えるだけです。

心と身体について

心(感情)は、身体によって作られる。

一般的な感覚では、「心によって身体の動きが決まる」と考えがちではないでしょうか?
緊張やストレスが身体の動きを制約する、みたいな感じ。
しかしここでは、「身体の反応(リアクション)が心(感情)を作る」と書いている。
身体の反応によって緊張やストレスが生まれる、という感じ。
しかし落ち着いて考えてみると、書いてることが正しいように感じる。
身体が思うように動かないからストレスを感じるのであって、身体が思うように動くのならストレス自体を感じない。
そこから、スポーツ選手が行うような、「ルーティーン」の重要性も本書内で書かれている。

身体知性

「身体知性」とは、合理的判断に資するための身体の役割。
身体知性の働き方
1)メタ認知
2)統合的身体理解
3)自他境界壁の低減化

「身体知性」について、何点かピックアップした。
もちろん、これだけでは何もわからないですよね。
しかし、ここで書くと膨大になるので省略する。

痛み

痛みとは、取り除かれるべき問題である前に、身体が発している重要なサインなのです。

本書内では肩こりをピックアップしている。
問題なのは肩が痛いことではなく、「なぜ痛くなったのか?」ということ。
姿勢なのか、生活や仕事環境なのかは分からない。
しかし、なにか原因があるのは間違いない。
そのサインのため、マッサージ等の局部的治療では根本的な解決は出来ない、ということ。
サインと考えれば、自分の身体を褒めたくなる?

名人

総てを忘れ去って、ことを行うのが名人上手といわれる人なのです。
何ごとによらず、心を捨て切ることができずにする技は、皆、駄目なのです。

考えながらしているようでは駄目ということ。
考えながら身体を動かしていると、ムダな力も入るし、スムーズでもない。
しかし初めから、そのようにするのは不可能。
忘れても出来るぐらいの練習の賜物。

心理の混乱

心理の混乱を心理的なアプローチのみで解決しようとすることには限界があり、感情の適切化のために身体的アプローチを用いることが大切です。

人はあせりやプレッシャーなどから自由になることは困難です。
そのためスポーツ選手等は、個別のルーティーンなどで気持ちを落ち着かせたりする。
スポーツ選手に限らずいろいろな人が、ランニングやヨガ、または武道などいろいろな身体的なアプローチをしている。
そのことの大切さを強調している。

行動の価値

歌や儀礼についての意味の解釈や分析は必ずしも必要ではなく、意味は分からなくても、それらを実践することのなかに未来を開く可能性が含まれているということです。

本書の中では、教会での賛美歌を取り上げている。
これと似ているのが、「なむみょうほうれんげきょう」で始まる念仏。
ハッキリ言って意味など分からない。
しかし言葉に出すことに意味がある、と聞いたことがある。
「分からないからしない」では無く、「分からなくてもする」ことが大切である。

二者択一

そもそも、判断力が高い人の身には「プランAとプランBのどちらを選ぶ?」というタイプの二者択一で悩むということ自体が起きません。

これだけでは分かりにくいですよね。
意味としては、選ばなければいけない状態の以前に、すでに判断しており、自然に選んでいるので悩むことはない、ということ。
人は難しい判断で、正解を選んだ人を評価する。
しかし本来は難しい選択であっても、簡単に正解を選んだ人を評価すべき。
娯楽なら良いが、トップなら正当に評価しなければならない。

人工知能(AI)1

AIは「人間のように狭量であったり、愚鈍であったり、何かに固執したり、トラウマを持ったりすることができるのか?」

人工知能は感情や精神的な感覚を持つことが出来るのか?
確かにプログラミングで、それっぽいことは今でも出来る。
しかしそれは作られたものであって、自然に生まれるものではない。
人工知能自体が感じたことによって、新しい感情が生まれる、ところまで発達することはあるのだろうか?

人工知能(AI)2

人工知能が扱うのが難しいこと、そこで取り残されてくるのが時間概念ではないかという気がしています。

ここで言っているのは、今の時刻や計測タイムのことではない。
人がそれぞれに持っている時間に対する感覚や、時間の経過による感情の変化などのこと。
それでも分かりにくいと思うので、例を考えてみる。
同じ一時間でも、集中している時と退屈な時では長さの感覚が違う。
同じ作業をしていても、それぞれが感じている時間は違う。
同じ一時間であっても、同じ一時間の感覚ではない。
次に感情の変化で考えてみる。
Aさんのことが好きになった。
そして、明日はもっと好きな感情が高まった。
しかし一週間後、勘違いに気づいた。
あくまで例えだが、時間の経過と共に感情は変わっていく。
怒りなどは時間経過とともに弱まることが多い。
このような感覚が、人工知能では難しいのではと主張している。

感想

取り敢えず最初の印象とし、非常に読むのに苦労した難しい本でした。
家庭レベルの実用書というより、学生の学術書といったほうが正しい感じ。
それでいて、バラエティに翔んだ非常に面白い本でした。
個別の感想として、西洋医学(現代医学)の医者の現実から始まり、主題となる医者の判断と感情の関係などは興味深い。
また身体的影響を考慮した武道の話や、内田樹氏との対談も非常に興味深い内容でした。
この対談で取り上げれられている合気道は、少ししてみたい?
特に最後の人工知能(AI)に関する内容は秀逸。
難しい箇所も多いが、興味深い内容なので、おすすめしたい一冊です。

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身体知性 医師が見つけた身体と感情の深いつながり (朝日選書)

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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