「ストーリーとしての競争戦略(楠木建)」の名言をまとめていきます。
ストーリーとしての競争戦略
第1章
「法則はないけれども、論理はある」(沼上幹)
新しい実践へのきっかけを提供できない論理は、少なくとも実務家にとっては価値がありません。
真実はただ、ビジネスは科学ではないというだけのことだ。(ハロルド・ジェニーン)
将来はしょせん不確実だけれども、われわれはこの道筋で進んでいこうという明確な意志、これが戦略ストーリーです。
戦略は常に未来にかかわっています。だから、戦略には数字よりも筋が求められるのです。
ストーリーという視点は、戦略をつくる仕事を面白くします。戦略をストーリーとして考え、組み立てるということは、そもそも創造的で、楽しい仕事です。
第2章
低価格に見合う低コストが実現されていなくては、顧客満足は維持できません。低コストの裏づけのない低価格はニセの顧客満足にすぎません。
目標の設定それ自体は戦略ではない。
競争がある中で、いかにして他社よりも優れた収益を達成し、それを持続させるか、その基本的な手立てを示すものが競争戦略です。
明確なポジショニングによる違いを構築するためには、「何をやるか」よりも、「何をやらないか」を決めることがずっと大切です。
第3章
ストーリーとしての競争戦略は、流れを持った動画です。しかし、いきなり複雑な動画を始めから終わりまでその細部までいちどきに構想できるというものでもありません。
思考の順番、つまり「終わりから考える」ことが大切です。
ニッチ企業が利益を獲得できる論理は無競争にしかありません。無競争状態を維持することが戦略のカギになります。
そのために何ができるかといえば、要するに「売れるだけ売らない」ということです。
ストーリーの長さの源泉である「好循環」と「繰り返し」はそれぞれ独立しているわけではありません。
この二つを相互に強化する関係をつくることによって、さらに長く、筋の良いストーリーをつくることができます。
優れた戦略家は、機会や脅威を受けてある特定のアクションをとるときに、それがストーリー全体の文脈でどのような意味を持つのか、それを取り巻く他の構成要素とどのように連動し、競争優位の構築や維持にとってどのようなインパクトを持っているのかを深く考えます。
「ベストプラクティスに学べ!」という思考様式には、そもそも「違い」をつくるはずの戦略を阻害し、同質的な競争へと企業をドライブしていくという面があります。
しかし、問題はそれ以上に深刻です。安易なベストプラクティスの導入が戦略ストーリーの基盤となる論理を殺し、その結果として戦略ストーリーの一貫性を破壊しかねないからです。
第4章
コンセプトは顧客に対する提供価値の本質を一言で凝縮的に表現した言葉です。
われわれは本当のところ誰に何を売っているのか、どのような顧客がなぜどういうふうに喜ぶのか、要するにわれわれは何のために事業をしているのか、こうしたイメージが鮮明に浮かび上がってくる言葉でなくてはなりません。
「すべてはコンセプトから」ということは、裏を返せば、「すべてはコンセプトのために」ということでもあります。
ターゲットを明確にするということは、同時にターゲットでない顧客をはっきりさせるということでもあります。
第5章
「普通の賢者」は文句のつけようがないストーリーを語るのですが、みんなが「正しい」と思う要素ばかりでストーリーが組み立てられているので、競争優位を獲得できても、遅かれ早かれ模倣される可能性があります。
戦略の玄人は賢者の盲点、すなわち部分合理性と全体合理性のギャップに持続的な競争優位の源泉を見出します。
賢者の盲点を衝くようなキラーパスを中核に据えて、一貫した戦略ストーリーを構築すれば、「君子危うきに近寄らず」とばかりに、競争相手はむしろ自分から離れてくれます。
第6章
自らのストーリーに対する論理的な確信を得るためには、構成要素のつながりの背後にある「なぜ」を突き詰めていくしかありません。
何をやるか、いつやるか、どのようにやるか、戦略はさまざまな問いに答えなければなりませんが、何よりも大切な問いは「なぜ」です。
第7章
みんなが食いつくようなコンセプトであれば、とうに誰かがものにしているでしょうし、まだ誰も気づいていないコンセプトであれば、往々にして突飛なだけで終わってしまいます。
だからこそユニークなコンセプトの創造は難しいのです。
戦略ストーリーが意図する強みは、個別の打ち手の中にはありません。打ち手をつなげていく因果論理の一貫性こそが競争優位の源泉なのです。
ストーリーは失敗を避けるためにあるのではありません。むしろ、きちんと失敗するためにあるようなものです。
大切なことは、失敗を避けることではなく、「早く」「小さく」「はっきり」失敗することです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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