「銀河英雄伝説3巻(田中芳樹)」(4/5)の名言・台詞をまとめていきます。
3巻 雌伏篇
第八章 帰還
「いよいよ、年寄りひとり孤立無援さ」(アレクサンドル・ビュコック)
「私がいますよ」(ヤン・ウェンリー)
「ローエングラム公は皇帝を殺すでしょうか」(フレデリカ・グリーンヒル)
「いや、殺さないと思うね」(ヤン)
「歴史上、簒奪者は数かぎりなくいる。王朝の創始者なんて、侵略者でなければ簒奪者だものね。だけど、すべての簒奪者がそのあと先君を殺したかというと、けっしてそうじゃない」
「貴族として優遇した例がいくらでもある。しかし、その場合、旧王朝が新王朝を倒して復古した例は絶無だ」(ヤン)
何百年かにひとり出現するかどうか、という英雄や偉人の権力を制限する不利益より、凡庸な人間に強大すぎる権力を持たせないようにする利益のほうがまさる。
それが民主主義の原則である。(ヤン)
「奇襲? 私は最初からそんなものする気はなかったよ。帝国軍が吾々を見つけてくれて、じつは安心しているんだが……」
「つまり、帝国軍の指揮官は、敵の援軍を、というのは吾々のことだけどね、発見して選択に迫られることになる。彼はさぞ迷うだろう」
「このままイゼルローン要塞を攻撃しつづけて、吾々の攻撃に背を向けるか。その逆に吾々と戦って、イゼルローンに後ろを見せるか」
「兵力を両方向に分散して二正面作戦をとるか、時差をつけて各個撃破するという賭に出るか。勝算なしと見て退去するか……」
「まあ、追いこまれたわけだ。これだけでも吾々が有利になったんだよ」
「私としては、ぜひ五番目の選択を彼にしてほしいね。そうすると、犠牲者が出ないし、第一、楽でいい」(ヤン)
「わが軍、有利」(カール・グスタフ・ケンプ、ラインハルトへの報告)
「そこ(ケンプの感情)まで卿が心配する必要はない。第一、ケンプが功績をたてているならともかく、そうとはかぎらないではないか」
「戦線をむやみに拡大するな。それ以外のことは卿らの善処にゆだねる」(ラインハルト・フォン・ローエングラム)
「ローエングラム公は、どういうおつもりかな。戦闘が膠着状態におちいっているなら、吾々の赴く理由は充分にある」
「ケンプが勝っていれば、吾々が赴く必要はない。彼が負けていれば、いまさら赴いても遅きに失する」(オスカー・フォン・ロイエンタール)
「いずれにせよ、吾々は宰相閣下のご命令をうけたのだ。最善をつくすとしよう」
「さしあたり、戦場へ着くそうそう、戦わねばならぬという状況であったとき、どうするかだ。後はよかろう」(ウォルフガング・ミッターマイヤー)
「ケンプはもうすこしやると思っていたが、どうやら敵を苦しめたというあたりが、彼の限界のようだな。目的はイゼルローンを無力化することにあるのだ」
「必ずしも攻略、占拠する必要はない。極端なことを言えば、要塞に要塞をぶつけて破壊してしまってもよかったのだ」(ラインハルト)
「ですが、ケンプはガイエスブルク要塞を拠点として、正面から堂々と敵に挑戦したそうです」(パウル・フォン・オーベルシュタイン)
「だから限界だと言っている」(ラインハルト)
「あのような男でも、何か役に立つかもしれません。武力だけで宇宙を手に入れるのは困難です。駒はより多くおそろえになったほうがよろしいかと存じます。たとえ汚れた駒でも……」(オーベルシュタイン)
「誤解するな、オーベルシュタイン。私は宇宙を盗みたいのではない。奪いたいのだ」(ラインハルト)
「これが権力をにぎるということか。おれの周囲には、おれを理解しようとしない奴ばかり残る。それとも、やはり、おれ自身の罪か……」(ラインハルト)
「吾々に、それほど時間はないんだ」(ヤン)
「これまでは時間が味方してくれたけど、これからはそうではないということですか? 閣下が敵の指揮官なら、とうにイゼルローンを陥していらっしゃったでしょうね」(フレデリカ)
「そうだね。私だったら、要塞に要塞をぶつけただろうね。どかんと一発、相撃ち。それでおしまいさ。何もかもなくなった後に、別の要塞を運んでくれば、それでいい」
「もし帝国軍がその策できたら、どうにも対策はなかったが、帝国軍の指揮官は発想の転換ができなかったみたいだ」(ヤン)
「もっとも、それですでにやられていたら、むろん対策はないんだが、これからその策で来る、ということであれば、ひとつだけ方法はあるけどね」(ヤン)
「イゼルローン要塞が外から陥ちることは、けっしてないように思えるのですけど……」(フレデリカ)
「さて、それはどうかな」(ヤン)
「(敵の援軍か、それとも罠か?)両方かもしれません」
「ヤン提督の援軍はたしかに近くに来ています。帝国軍はそれを知って、逆に罠に利用しようとしているんじゃないでしょうか」
「帝国軍の動きが不自然すぎます」(ユリアン・ミンツ)
「……なるほど、坊やがおれやポプランの弟子であるという以前に、ヤン提督の一番弟子であるということがよくわかった」(ワルター・フォン・シェーンコップ)
「そういうことであれば、話はむずかしくない。吾々は、彼らに封じこめられたふりをすればよいのです。そして彼らが反転したとき、突出してその後背を撃つ」
「救援軍との呼吸が合えば、理想的な挟撃戦が展開できるでしょう」
「ユリアンくんには、戦艦ヒューベリオンに同乗してもらおう。艦橋にな」(ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ)
「戦争を登山にたとえるなら……登るべき山をさだめるのが政治だ。どのようなルートを使って登るかをさだめ、準備をするのが戦略だ」
「そして、与えられたルートを効率よく登るのが戦術の仕事だ……」(ユースフ・トパロウル)
「敵が縦深陣をしいて、吾々をそのなかに引きずりこもうとしている可能性はないのか?」
「では、奴らの意図は時間かせぎだ。イゼルローンから艦隊が突出するのを待って、前後から挟撃する気だろう。こざかしい、その策にのるか」(ケンプ)
「退却するな! 退却してはならん。あと一歩だ。あと一歩で銀河系宇宙が吾々のものになるんだぞ!」(ケンプ)
「そうだ、あれがあった……まだ最後の手段がある。あれを使って、イゼルローン要塞を破壊するのだ。艦隊戦では負けたが、まだ完全に敗れたわけではないぞ」
「ガイエスブルク要塞だ。あのうすらでかい役たたずを、イゼルローン要塞にぶつけてしまうのだ。そうすれば、イゼルローン要塞とて、ひとたまりもない」(ケンプ)
「気づいたな……だが、遅かった」(ヤン)
「全員、退去せよ」
「おれはもう助からん。これを見ろ」(ケンプ)
「副司令官は不死身でいらっしゃいますな」(軍医)
「いい台詞だ。私の墓碑銘はそいつにしてもらおう。で、全治にはどのくらいだ」(ミュラー)
「ミュラーに詫びておいてくれ」(ケンプ、ミュラーへの伝言)
「大神オーディンも照覧あれ。ケンプ提督の復讐は必ずする。ヤン・ウェンリーの首を、この手につかんでやるぞ──いまはだめだ。おれには力がない。奴とは差がありすぎる……」
「だが、見ていろ、何年か将来を!」(ナイトハルト・ミュラー)
「わが軍は敗れたが、司令部は健在である。司令部は卿ら将兵の全員を、生きて故郷へ帰すことを約束する。誇りと秩序を守り、整然として帰途につこうではないか……」(ミュラー)
「ケンプが死んだか──卿は後方へ赴いてローエングラム公に復命するがいい。ケンプの復讐戦はおれたちにまかせろ」(ミッターマイヤー)
「最大戦速で前進をつづけろ」
「ミュラーを追ってきた敵の先頭集団に逆撃を加える。急襲して一撃、然る後に離脱する。それ以上の戦いは、この際、無意味だ」(ミッターマイヤー)
「そうか、ケンプは死んだか」
勝因のない勝利はあっても、敗因のない敗北はない。
敗れるべくしてケンプは敗れたのだ。同情の余地はない。(ロイエンタール)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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