「三国志(吉川英治)」の名言・台詞まとめました

「三国志(吉川英治)」より名言・台詞をまとめていきます。

 

三国志

1巻

「一剣の勇では、百人の賊を斬ることもむずかしい。百人の賊を斬っても、天下は救われはしないのだ」(劉備)

 

「風に耳、水にも眼、大事は路傍では語れません。けれど自分は何をつつもう、漢の中山靖王劉勝の後胤で、景帝の玄孫にあたるものです」
「なにをか好んで、沓を作り蓆を織って、黄荒の末季を心なしに見ておりましょうや」(劉備)

 

「まだ兵はおろか、兵器も金も一頭の馬すら持たないが。三名でも、ここで義盟を結べば、即座に一つの軍である」(関羽)
「ああ、こんな吉日はない。実に愉快だ。再び天にいう。われらここにあるの三名。同年同月同日に生まるるを希わず、願わくば同年同月同日に死なん」(張飛)

 

「黄巾の賊はなお討つに易し。廟堂の鼠臣はついにおうも難し──か」(関羽)

 

「皇室を重んじ、秩序をみだす賊子を討ち、民の安寧を護らんとは、われわれの初めからの鉄則である」
「官の士風や軍紀をつかさどる者に、面白からぬ人物があるからというて、官軍そのものが潰滅するのを、拱手傍観していてもよいものではない」(劉備)

 

 

「小人の小人ぶりに、いちいち腹を立てていたひには、とても大事はなせぬぞ。天下、小人で満ちいる時だ」(関羽)

 

「登れそうに見える所から登ったのでは、奇襲にならない。誰の眼にも、登れそうに見えない場所から登るのが、用兵の策というものであろう」(張飛)

 

「やはり世間はひろい。秀でた人物がいないではない。ただ、世の平静なる時は、いないように見えるだけだ」(関羽)

 

「大きな仕事を手軽にやってのけるのが、大事を成す秘訣ですよ」(曹操)

 

「アア我誤てり。──かりそめにも、将たる者は、死を軽んずべきではない」
「もしゆうべから暁の間に、自害していたら、この部下たちをどんなに悲しませたろう。戦にも、負けてみるがいい。敗れて初めて覚り得るものがある」(曹操)

 

2巻

「貂嬋。おまえに礼をほどこしたのではない。漢の天下を救ってくれる天人を拝したのだ。…貂嬋よ、世のために、おまえは生命をすててくれるか」(王允)

 

「いたします。もし、仕損じたら、わたしは、笑って白刃の中に死にます。世々ふたたび人間の身をうけては生れてきません」(貂嬋)

 

「なるほど、不届きな呂布です。──けれど大師。天下へ君臨なさる大望のためには、そうした小人の、少しの罪は、笑っておゆるしになる寛度もなければなりません」(李儒)

 

「貴様は我が張子房である」「ウーム、古の悪来にも劣らない男だ」
「これだこれだ。そちはまさに当世の樊噲だ。樊噲の化身を見るようだ」(曹操)

 

「通じる通じないは人さまざまで是非もない。わたしはただわしの真心に奉じるのみだ」(劉備)

 

 

「人生は百年に足らず、汚名は千載を待つも取返しはつきませんぞ。良禽は木を選んで棲むというのに」(満寵)

 

「身を屈して、分を守り、天の時を待つ。──蛟龍の淵にひそむは昇らんがためである」(劉備)

 

「いかに大事な品であろうと、この孫策は、一箇の小筐の中になど大志は寄せぬ。わが大望は天地に持つ」(孫策)

 

「権力をもってのぞんでもだめだし、財物を山と運んでも動くまい、人生意気に感ず」(周瑜)

 

「なに、帰って来るさ。彼は信義の士だ。そう見たからこそ、予は彼の生命を惜しんだので、もし信義なく、帰って来ないような人間だったら、再び見ないでも惜しいことはない」(孫策)

 

「一人の劉備を怖れて、将来の患いを除くために、四海の信望を失うなどは、下の下策というもので、私は絶対に賛成できません」(郭嘉)

 

3巻

「もうすこしだ! この山を越えると、梅の林がある。疾く参って梅林の木陰に憩い、思うさま梅の実をとれ。梅の実をたたき落して喰え」(曹操)

 

「もうよせ。そうこの身の美点ばかり聞かせると、予も袁紹になるおそれがある」(曹操)

 

「これは父の精、母の血液。どこも捨てる場所がない。あら、もったいなや」(夏候惇)

 

「君と、予とだ。今、天下の英雄たり得るものは大言ではないが、予と足下の二人しかあるまい」(曹操)

 

「義兵は勝ち、驕兵はかならず敗る。誰もが知る戦の原則です」(沮授)

 

 

「足下は、一を知って二を知りたまわず。敵を軽んずるのと、敵の虚を知るのとは、わけがちがう」(荀彧)

 

「予は戦うであろう! 議事は終わりとする。はや出陣の準備につけ!」(曹操)

 

「不信の末はかならず非業に終るし、信ならんとすれば、またこうなる。世に選ぶ道というものは難しい!」(韓嵩)

 

「主上を奉じて人望を従う大順こそ、あなたの運命をひらく大道でもあります。他人に先んじられぬうちに早く決行なさい」(荀彧)

 

「いまは劉皇叔の消息も知れぬが、一朝お行方の知れた時は、関羽は一日とて、曹操のもとに晏如と留まっておるものではござらん」
「千里万里もおろか、お暇も告げず、直ちに、故主のもとへ立ち帰り申すであろう」(関羽)

 

「決して、広言ではない証拠をいますぐお見せしましょう。軍中に戯言なしです」(関羽)

 

4巻

「いや待て。われこそ無情いが、やはり関羽は真の大丈夫である。来ること明白、去ることも明白。まことに天下の義士らしい進退だ。其方どもも、良い手本にせよ」(曹操)

 

「武人一歩を踏む。なんでまた一歩をかえしましょうや。舌をうごかすのさえ、一言金鉄の如しというではありませんか」(関羽)

 

「人生の快、ここに尽くる」(関羽、張飛)
「何でこれに尽きよう。これからである」(劉備)

 

「野に遺賢なしということばがありますが、いつの時代になろうが、かならず人の中には人がいるものです。ただ、それを見出す人のほうがいません」
「また、それを用うる組織が悪くて、有能もみな無能にしてしまうことが多い」(周瑜)

 

 

「袁紹の勢いが隆々としていたひと頃には、この曹操でさえ、如何にせんかと、惑ったものだ。いわんや他人をや」(曹操)

 

「他日、天下に理想を展べる日もあらんことを想えば、百難何かあらんです」(関羽)

 

「冒険には違いないが、千里の遠征も、制覇の大事も、そう二度三度くり返されません。すでに都を去ってここまできたものを千里征くも、二千里征くも大差はない」(郭嘉)

 

「臥竜か、鳳雛か。そのうちの一人を得給えば、おそらく、天下は掌にあろう」(司馬徽)

 

「たとい、玄徳が、この一事のため、亡ぶ日を招くとも、そんな不義なことは断じてできぬ」(劉備)

 

「管仲、楽毅、いま何処にありや!と。自分をおいてはない。不敏といえども、それに比するものは自分以外の誰がいよう」(孔明)

 

「彼のいうところは、彼らの中の真理であって、万民俗習の真理ではない。この地上の全面を占めるものは億兆の民衆で、隠士高士のごときは何人と数えられるほどしかおるまい」
「そういう少数の中だけでもてあそぶ真理なら、どんな理想でも唱えていられよう」(劉備)

 

「北に拠った曹操は、すなわち天の時を得たものであり、南の孫権は、地の利を占めているといえよう」
「将軍はよろしく人の和をもって、それに鼎足の象をとり、もって、天下三分の大気運を興すべきである」(孔明)

 

「わしが、孔明を得たことは、魚が水を得たようなものだ」(劉備)

 

5巻

「自分を慕うこと、あたかも子が親を慕うようなあの領民を、なんで捨てて行かれようぞ」
「国は人をもって本とすという。いま玄徳は国を亡ったが、その本はなお我にありといえる。民と共に死ぬるなら死ぬばかりである」(劉備)

 

「予は、荊州を得たことを、さして喜ばんが、いま足下を得たことを衷心からよろこぶ」(曹操)

 

「たとえ、天を翔け、地に入るとも、ご眷属の方々を探し当てぬうちは、やわか再び、君のご馬前にひざまずこうぞ」(趙雲)

 

「天この若君を捨てたまわず、われに青釭の剣を貸す!」(趙雲)

 

「思うに、趙雲のごとき股肱の臣は、またとこの世で得られるものではない。それをこの一小児のために、危うく戦死させるところであった」
「一子はまた生むも得られるが、良き国将はまたと得がたい」(劉備)

 

「優数常に勝たず。大船常に小船に優らず。要は士気だ。士気をもって彼の隙を破るのは、用兵の妙機にある」(周瑜)

 

「曹操の首を断つ前に、まずわが迷妄から、かくのごとく斬るっ!」(孫権)

 

「鳥獣すら殺手をのばせば、未然に感得して逃げるではありませんか。まして万物の霊長たるものが、至上の生命に対して、なんで無感覚におられましょうや」(孔明)

 

「呉国、建って以来、ここ三代。それしきのお役に立つ人もないとは、周都督のお眼がほそい。ここに、不肖ながら、黄蓋もおるつもりでござるに」(黄蓋)

 

「敵を謀るにはよろしく敵の智能の度を測るをもって先とす」(孔明)

 

「あわれや、主従の情。……どうしてこの者どもを討つに忍びよう」(関羽)

 

「人です。すべては人にあります。領地を拡大されるごとに、さらにそれを要としましょう」(孔明)

 

「要するに、兵の進路は流れる水です。水の行くところ、自然の兵路といえるでしょう」(馬良)

 

「勝ったのは、昨日のことで、今日はまだ勝っていない。明日のこともまだ勝っていない。いわんや全面的な勝敗はまだまだ先が知れん」
「およそ将たるものは、一勝一敗にいちいち喜憂したりするものではない」(張遼)

 

6巻

「だまれ、天子あるは知るが、天子を冒して、事ごとに、朝廷をかさに着、暴威をふるう賊あることも知る」(馬超)

 

「馬超の強さは、韓遂の戦略があればこそです。韓遂の作戦は、馬超の勇があってこそ、生きてきます」
ふたりを相疑わせて疎隔してしまえば、西涼勢とて、枯れ葉を掃くようなものじゃありませんか」(賈詡)

 

「兵馬を費うことを考えれば、そのくらいな労は、何ほどでもありますまい」(賈詡)

 

「容や貌をもって、人物を選りわけていたら、偽者ばかりつかんで、真人を逸しましょう」(楊修)

 

「火事場の中で、日頃の礼法をしていたら、寸歩もあるけますまい」
あなたのおことばは天理人倫にかなっていますが、世はいま乱国、いわば火事場です。晦きを攻め、弱きを併せ、乱るるは鎮め、逆は取って順に従わす、これ兵家の任です」(龐統)

 

「中庸。それは予の生活の信条でもある」(劉備)

 

「一国に二人の主なし。そんな婦人の仁にとらわれてはいけません」(孔明)

 

「民が峻厳を求めるとき、為政者が甘言をなすほど愚なる政治はない。仁政と思うは間違いである」(孔明)

 

「汝、わが年の老いたるを笑うといえども、手の中の刃は、いまだ年をとらぬ。わが利刃を試みてから広言を吐け」(黄忠)

 

「昔、哲人は時に順って動き、智者は機を見て発す。今、天われを助け、不思議の功を与え給う、受けざるは、これ天に逆らうものぞ」(黄忠)

 

「老将黄忠、ただ簡単に許しては駄目なのです。ああして言葉をもって励まして、初めて責任も一層強く感じ、相手の認識も新たにすると申すものです」(孔明)

 

「なぜかって、犬ころの子に、虎の娘を誰がやるかっ」(関羽)

 

7巻

「人間五十に達すれば、吉夢もなし、凶夢もなし。ただ清節と死所にたいして、いささか煩悩を余すのみ」(関羽)

 

「死をだに顧みぬ大丈夫が、医師の手に弄られるぐらいなことで愕きはせぬ。よいように療治してくれ」(関羽)

 

「大医は国を医し、仁医は人を医す。てまえには国を医するほどな神異もないので、せめて義人のお体でも癒してあげたいと、遥々これへ来たものです」
「金儲けに来たわけではありません」(華陀)

 

「今日、過って呉の計に墜ち、たとえ一命を失うとも、九泉の下、なお桃園の誓いあり、九天の上、なお関羽の霊はある。汝ら呉の逆賊どもを亡ぼさずにおくべきか」(関羽)

 

「予はただ周の文王たればよし」(曹操)

 

「いやいや、慾には飽くことを知らないのが人間だ。先に取ってはさほど過大とは思わないだろう」
「要するに、彼とは利を以て結ぶしかない。
だが後には、あんな礼物はな石瓦に過ぎんさ」(孫権)

 

「軍中つねに法あり。王法に親なしともいう。各部隊は層一層、軍律を厳に守られたい。もし肯かずんば、敵を破るまえに、内部の賊を斬らん」(陸遜)

 

「敵の奇変を見ず、ただ形を見れば、そう思うのはむりもない。蜀の玄徳ともある者が目に見えるだけの布陣を以て、身を呉の陣前にさらすわけはない」(陸遜)

 

「それは今、天下に孔明よりほか知るものはないだろう。幸いに、この戦陣に孔明はいない。これ天が我輩に成功を与えるものだ」(陸遜)

 

 

「すでに命せまるを覚ゆ。一々汝らに言を付嘱するを得ない。それみな一致して社稷を扶け、おのおの保愛せよ」(劉備)

 

「何の、彼ごとき者を生擒るのは嚢の中から物を取りだすも同じことではないか」(孔明)

 

「巣なき鳥、家なき人間が、どう生きてゆくか。いわんや、王風にそむいたところで、どれほどの力があろう。振舞えるかぎり振舞うてみよ」(孔明)

 

「しかし、戦いというものは、あくまで『人』そのものであって、『兵器』そのものが主ではない」(孔明)

 

8巻

「時代は移ってきた。国家の上将たり朝廷の重臣たる自分も、老いてはやはりあの若者たちにもかなわない。辱ずべきだ。よい死場所こそ欲しいものよ」(趙雲)

 

「心を以て心を読む。さして難しい理由はない。総じて、敵がわれを謀らんとするときは、わが計略は行いやすい。十中八、九はかならずかかるものだ」(孔明)

 

「駙馬の如きは、一羽の雁に過ぎない。姜維を得たのは、鳳凰を得たようなものだ。千兵は得易く、一将は得難し。いま雁を追っている暇はない」(孔明)

 

「我勝てり。併しついに、我孔明に及ばずであった」(司馬懿)

 

「生兵法。まさに汝のためにあることばだ。今は何をかいおう」(孔明)

 

「そもそも、智謀ばかりでは戦に勝てない。また、先頃の大戦では、蜀は魏よりも兵力は多かったが、負けてしまった。量るに、智でもなく数でもない」(孔明)

 

「かかるときは、むしろ『離』ということが大事ではないかと考えられます。ご執着から離れることです」(姜維)

 

「故に、呉の態勢は虚です。蜀の襲攻は実です。まずもって、実に全力をそそぎ、後、虚を始末すればよろしいでしょう」(司馬懿)

 

「口舌を以ていたずらに民を叱るな。むしろ良風を興して風に倣わせよ」(孔明)

 

「これは、よくよく考えると、孔明の計に乗るというよりは、毎度、自分の心に惑って、自ら計を作っては、その計に乗っているようなものだ」
「孔明に致されまいとするなら、まず自分の心に変化や惑いを生じないように努めるに限る」(司馬懿)

 

「──悠久。あくまで悠久。人命何ぞ仮すことの短き。理想何ぞ余りに多き」(孔明)

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 
 
 
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