「村上海賊の娘」の名言まとめました

「村上海賊の娘(和田竜)」より名言をまとめていきます。

時は戦国時代、瀬戸内の海を収める海賊の一族がいた。
その頂点に位置する、村上海軍の村上武吉には血気盛んな娘がいる。
その名は「景(きょう)」といい、男集にまじり海賊働きを繰り返す、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった。
毛利家、大坂本願寺、織田家の策謀渦巻くなか、村上水軍が勝敗の帰趨を握っていた。
一方、景は自分の欲望?のため難波にむかうことになり、大坂本願寺と織田家の争いに巻き込まれていく。
著者が4年の歳月をつぎ込んだ一大巨編。

村上海賊の娘(上巻)

簡単なこと

いいか、簡単な話だ。信長は天下を狙っておる。大坂本願寺は天下を狙うておらぬ。
ならば毛利家が山陰山陽の主であり続けるためには、大坂に味方するほかない。
ならば、味方多き今こそ、信長と一戦に及びが上策。

毛利家では、大坂本願寺と織田家のどちらと協力すればよいかで意見が分かれている。
その時に、毛利元就の次男であり重臣の吉川元春が語った言葉になります。
現代の私達は途中の経緯や結果を知っているため、「明らかに織田家」と考えてしまう。
しかし、現実はそんなに簡単ではない。当時の人も分かっている。
大坂本願寺に協力しても負ける可能性は高い。
しかし織田家の下につけば、毛利家自体が存続出来ないかもしれない。
どちらも困難なら、より未来のある方にかける。
これは単純なようだが、正しい選択の一つである。

馬鹿め

馬鹿め。こんな面白いこと、他の奴にやらせてたまるか。

海賊働きを弟に止められた時、景が語った言葉になります。
景にとって、いいか悪いかは問題ではない。面白いかどうかが大切なのだ。
見ている分には楽しいですが、身内だと大変ですね。

決まり文句

三島明神の鶴姫だってこうするぞ。

景が単身で乗り込む時に叫ぶ、決まり文句。
鶴姫とは夫とともに海で戦った姫であり、景の憧れの人になる。
その人と自分を重ね合わせて、自分を奮い立たせている。
いや女性は戦いに出ることを止められているので、周りの人に言い訳している?

男親

俺は男親ぞ。娘を甘やかす以外何ができる。

景のすることをなんでも許している、村上武吉の言葉になります。
まさに、そのとおりですね。ダメなのは分かっていても、そうなってしまう。
しかし子供に無関心な男親よりは、甘やかす男親の方がまし?

軍書

軍書をまるまる信じると、勝てる戦も勝てぬようになるぞ。

軍書を信じすぎている若者に対して語った言葉になります。
確かに、軍書には役に立つことが書いている。
その通りに行えば、勝ちやすいともいえる。しかし、勝ちやすい方法と勝つ方法は違う。
圧倒的に有利な態勢なら、正攻法だけで勝てる。
しかし駆け引きが必要な状態になると、正攻法だけでは相手に逆を取られて負ける。
戦いとはジャンケンのようなもの。
絶対的な強さではなく、相手よりも強い手を出すことが大切である。
この戦いの駆け引きは、軍書だけではカバー出来ない。

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不信心

浄土など、あればあったで儲けものだが、なけりゃないでそれまでのことさ。

浄土の存在を信じている子供に対して、景が思った言葉になります。
たしかに誰もが天国に行きたい。そして、地獄には行きたくない。
しかし、そのために現世をないがしろにするのは別問題。
個人的には、あくまで結果でありたい。

ワガママ

オレは全部を手に入れる女子じゃ。そう心得よ。

いろいろ問い詰められた後、景が語った言葉になります。
姫として甘やかされて育った景にとって、何かをあきらめるという発想はない。
したいことはしたいし、欲しいものは欲しい。出来る出来ないは別にして、単純明快。
ただし現実的には、自分に関係ないところでいてほしい。

ご先祖

ったく、どんだけ悪さしてきたんだよ、うちのご先祖は。

景の弟である景親は、姉を捜していた。
その時に村で確認しただけで、村人に逃げ回られたことに対して感じたこと。
たとえ優しく話されても、海賊は海賊。
何をされるか分からないと思うことは普通である。
けど、この心優しい弟はイヤだったみたいですね。

大坂

天下の要害なんてめったにあるもんじゃないんだから、素直に信長の奴に大坂を譲ってやりゃいいんだよ。
念仏なんぞ、どこでだってできるだろうが。

大坂本願寺の居城を一向宗が動かないことに対して、景が語った言葉になります。
平和な時代ならともかく、要所に宗教組織があることは普通に考えればおかしい。
もっと外れたところで、大人しくしている方が良い。
しかし当時の一向宗は、宗教という名を利用した暴力機関。
宗教に頼るしかない弱い人を利用している。だから「どけ」と言われて、どくはずがない。

正論

オレは狼藉者を討ち取ったのだ。非は向こうにある。
オレを斬るというのなら、織田家の方こそ悪い。

海での常識を破った織田家重臣を、景が討ち取った後に語った言葉になります。
まったくの正論です。実際に正しいとも考える。
しかし戦国時代に、正しいか正しくないかなど関係ない。
許せるか許せないかになる。まして相手は織田家。正論が通じればいいが。

防御

戦国期、合戦において防御の発想はほとんどない。
身命を投げ出して敵に臨むのが、勇敢で価値あるものとされた。

日本人らしい発想であることは理解する。しかし、まったくバカバカしい考え方だ。
これはそれぞれが考えたというより、過去より「刷り込まれた」と言う方が正しい。
工夫のなさを、気持ちで補おうとしてる。
こんなことだから、後年に機関銃に肉弾戦を仕掛けるようなバカな将校が現れる!

別れの言葉

名は知らぬが、敵の大将よ。我が雑賀党の前で種子島を使う愚を知れ。

敵の大将を照準に捉えた、雑賀党の鈴木孫一の言葉になります。
書くまでもなく、天下第一の鉄砲集団。カッコイイ言葉ですね。
単語を変えれば、いろいろなことに応用できそう。

悪魔の言葉

進まば往生極楽、退かば無間地獄。

一向宗が信者に対して語った言葉になります。
進んで戦えば死んでも極楽に行けて、退いたら地獄に落ちる。
普通に考えてこんなことはあり得ない。実際に、一向宗の趣旨とはまったく異なる。
しかし立場ある人が語れば、事実ではなくとも真実になる。
私は宗教自体は否定しない。むしろ、宗旨を持っているのは普通だと考える。
しかし必要以上の金銭を要求したり、犯罪や死などを強要するのは絶対に間違っている。

怒り

そんな奴らを騙くらかして、戦なんぞさせおって。

自分たちを信じてる信者を、あまりにも無慈悲に戦わせる一向宗に対して、景の怒りになる。
戦国時代では、戦うこと自体は悪ではない。実際に、景自身も戦い自体は否定していない。
しかし、ものには限度というものがある。
不条理な中においても、最低限のルールは守りたい。

感想

非常に面白い作品です。エンターテイメント的な内容といっていい。
景に関しても醜女とあるが、読み進めると「あくまで当時の」という注釈が付く。
現代風で言えば、長身でスラリとした体型。ハッキリとした顔立ちで、サバサバした性格。
一言で言えば、カッコイイ女性である。
性格的には評価が分かれるかもしれないが、子供っぽいところと正義感あふれる感じは、個人的には好ましい。
話の展開も良かったのだが、惜しむらくは後半の大坂本願寺と織田軍の戦いに、景がほとんど絡んでいないところだ。
戦い自体は非常に興味深く面白いが、やはり物足りなさを感じるところは仕方がない?
次回下巻では、大坂本願寺への物資輸送がメインとなるだろう。
史実に基づいているため、ある程度の結果は予想できるが、本作でどの様に扱われるか楽しみである。

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