「サイレンス」の名言まとめました

「サイレンス(秋吉理香子)」より名言をまとめていきます。

新潟本土よりフェリーで約2時間ほどにある雪之島。
その人口300人程度の小さな島で生まれ育った深雪はアイドルを目指すが、夢破れてアイドルのマネージャーとしての日々を過ごす。
恋人である俊亜貴とは付き合って6年になるが結婚する感じがなく、34才になる深雪は俊亜貴に両親に合って欲しいと提案する。
その提案を受け入れた俊亜貴と深雪は、雪之島に向かうのだが。
イヤミスを得意とする著者のサスペンス長編。

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生まれた場所と現在

どうして自分は、こんな辺鄙な島なんかに生まれてしまったのだろう。
東京で育っていれば、諦めなくてもいい夢だった。
東京にさえ、出られていれば。あのとき、両親が東京へ行くことを許してくれてさえいれば。

深雪の過去を振り返った言葉になります。
美しい少女であった深雪は、小さいときからアイドルを夢見てきた。
実際にオーディションで新潟代表になった経験も持つ。
ただ結局は両親の反対などにより夢破れ、このような言葉にいたる。
生まれた場所を責任にしているが、多くの人は美しい容姿でも無ければ、人を惹きつけるような感性も持たない。
確かに、生まれる場所や家庭環境は大きな差につながる。
しかし人は、何らかの不具合を持っている事実は覚えておきたい。

昔のライバル

かって戦った女同士、いつまでも競争心やジェラシーがあるのではと思われがちだが、それは違う。
挫折を知った女に、女は優しいのだ。

大学生になった深雪はアイドルになるためのレッスンやオーディションに励むが、結局は夢破れてアイドルのマネージャーをしている。
その当時のライバルとの女子会で深雪が思った言葉になります。
もちろん、この言葉には裏がある。
挫折を知らない、もしくは成功している女には厳しいということ。
笑顔の裏の内面が怖いです。

結婚の有無

一番重要なのは、結婚してくれるかどうか。
いくら深雪に一途でも、ずっと結婚してくれなかったら意味ないでしょうが。

俊亜貴を甘やかしているだけで、結婚を言い出せない深雪に対して、友だちの厳しい言葉になります。
深雪はまるで、実家の母親のように俊亜貴を甘やかしている。
将来の結婚を夢見て何も要求せず、ただつくしている。
普通の男なら6年も付き合えば当然のように結婚を意識する。
しかし広告代理店の様な華やかな世界で生きており、本質的に子供気質の俊亜貴は結婚する気がない。
何が正しいのかは難しい。
ただ結婚することがあっても、このような人とは幸せにはなれないでしょう。

不幸な憧れ

自分には都会への免疫がなかったから。憧れが強すぎたから。
コンプレックスが根深いから。だから平凡な幸せすら、指の間からすべり落ちてゆく。

都会、特に東京への憧れが強い深雪にとって、東京生まれ東京育ちの俊亜貴はどうしても別れたくない相手。
例え今が幸せと言えなくても、これからこのような人物と巡り合うとは限らない。
その恐れから、今の現状を受けている深雪がいる。
このような考えは病気に近い。相手には重くなるし、自分もおかしくなってしまう。
だた、それぐらいの理屈は本人にも分かっている。だからこそ問題が、さらに難しくなる。

田舎暮らし

ここの人たちは、毎年、来る日も来る日も、雪と格闘するのだ。
病院も銀行もコンビニもない島に雪で苦労しながら、なぜしがみついて暮らしていくのだろう。

東京ぐらしの俊亜貴の言葉になります。
私も中心部ではないが雪は殆ど降らず、また最寄り駅が地下鉄沿線で育ったため、本当の田舎暮らしは知りません。
またこの言葉はバカにしているわけでも、下に見ているわけでもないだろう。
ただただ不思議に感じているだけ。
若い時にきっかけがあって地元を出ていくのは、それほど難しくなくても、きっかけがなくある程度の年齢になると、動くという発想すらなくなる?
または生まれた場所というのは、それほど大切なものなのか?
本当のことは私には分かりません。

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結婚理由

自分は深雪のことなど愛してはいない。ただ、必要なだけだ。

深雪との結婚を決めた俊亜貴の言葉になります。
一見ひどく感じますが、必ずしもそうとは思えない。
例え愛してなくても、「必要だから、一緒にいてほしいから」という思いから相手のことも考えて協力していければ、上手くいきそうな気がする。
ただ外で女を作ったり、働かずに借金しているなら、それ以前の問題ですけどね。

都会の人、田舎の人

田舎の人との結婚は大変だよ。感覚が全然違うから。
別に田舎が良い悪いの問題じゃないんだ。ただ、違うんだ。
男と女だってさ、とにかく違うじゃん? そんな感じ。
根本的に、どこか分かり合えないところがあるわけ。

五島列島出身の母親を持つ俊亜貴の同僚の言葉になります。
親戚付き合いはもちろん、冠婚葬祭に対する考え方、お祭りに対する考え方など、田舎に限らず地方による違いは他の地方の人にとっては理解し難いものがある。
また都会に住んでいて人付き合いが少ない人にとっては、田舎の当たり前を当たり前と考えることは困難でしょう。
例え、理解出来ても煩わしさは消えない。
このお互いの常識のズレはどうすればいいのでしょうか?

プロに対して

お前は俊亜貴さんに、「プロだから何か考えて」って言ってたけど、それって逆だろ?
プロだからこそ、そういうことを頼んじゃいけないんだ。

同郷の仲間と集まった時、深雪が俊亜貴にアイデアを頼んだら、俊亜貴は怒って出ていってしまった。
それに対して、幼なじみである達也が深雪に諭した言葉になります。
プロだから簡単に出来るわけではない。
また生活に仕事を持ち込みたくないのは常識と言える。
芸術家に無料で似顔絵を頼んだり、掃除のプロに家の掃除を依頼するのと同じ。
もっとも酒の席での戯言を本気で捉えるのか、冗談として流すのかのどちらが正しいのかは難しいところですが。

初恋の人

久しぶりに会った深雪は、どことなく検のある顔立ちになっていた。
美しさは変わっていない。
けれども悩むことに馴れたようなうっすらした眉間のしわや、笑っても上がりきらない口角は、記憶の中の優美な雰囲気とはわずかに違っていた。

久々に深雪に会った、達也の言葉になります。
達也にとって深雪は初恋の人であり、現在でも思いが残っている。
その人が結婚の挨拶のため地元に戻ってきたのに、不幸感が見えるというのは悲しい。
「年を重ねたから...」だけでは納得出来ないですよね。

田舎のあせり

雪之島では、もはや観光は産業と呼べなくなりつつある。漁業も厳しい。
後継者不足だし、そもそも漁価が下落している。
主軸である漁業が先細りである以上、何か新しいことを始めなくてはならない。

雪之島の未来を考えている達也の言葉になります。
過疎化が進む地域なら同様の考えを持つ人は多いでしょう。
しかし残念ながら、そのほとんどは成功しない。理由は簡単です。
その地域の人がいくら頑張ろうとも、周りにとって努力は関係なく、また人を惹きつけるほどの個性が無いからです。
過疎化が進む田舎など日本全国にあります。
その中で個性を出すことは、並大抵なことではありません。
しかし、どの地域にも確実に個性はあります。
それは、そこに住んでいる人が「当たり前」と考えていること。
多くの場合、その「当たり前」は他の人にとって当たり前ではなく、まずそこから見直したらどうでしょうか?

悪いクセ

借金ってクセになるから。借りる奴は、悪いと思ってないんだよ。やっかいだろ?

借金が悪いわけではない。
例えば家のローンを組んだり、事業のためにお金を借りるのは必要なこと。
問題は自分のためだけにする借金です。
さらにやっかいなことは、このような人は人付き合いがいいこと。
言葉巧みに人に取り入り、まるで貸さないと相手が悪いように持っていく。
そして、当然返さない。
もし返す場合は、より大きな借金をするための実績作りといって間違いない。
近づかない、もしくは完全拒否しか方法はない。
一度貸してしまうとクセになりますので。

女たらし

こういう男が一番たちが悪い。
女にだらしなく金にもルーズで、けれど母性本能をくすぐることに天才的に長けている。
そしてほとぼりが冷めたら、また同じことを繰り返す。

達也が見ている俊亜貴についてになる。
このような人は小さい時から、このような人であり、当然自覚もある。
経験も多く、さらに磨きがかかるのが一般的。
男の目から見ると明らかなのに、異性の目で見ると別になるみたい。
これは、男が女性に騙されるのと一緒ですけどね。

深雪の心

このまま俊亜貴が破滅してしまえばいい、と深雪は思った。
仕事も信用も失ってしまえばいいのだ。
そうしたら、俊亜貴にはわたししかいなくなるのに。

ミスを犯した俊亜貴の状況に対して、深雪が考えたことになります。
本人に自覚は無くても、ここまでくれば病気です。
反対しても状況は更に悪くなりますし、許したとしたら不幸になるのは目にみえている。
他人ならともかく、家族や幼なじみがこうなってしまったらどうすればいいか私には分かりません。

田舎暮らし

羨ましい、素敵なところ、大好き、か。だけど、住みたいとは思わないでしょ?

観光客に対して、久々に帰ってきた島民の言葉になります。
確かに、たまに田舎に行き自然に触れるのは気持ちがいい。
しかし、あくまで「たまに」だから。
地元を褒められるのはうれしいが、厳しさを知らずに安易に言われるのは、ちょっとイラつくかもしれない。

故郷に思うこと

弥生にとっても、雪之島は大切な故郷だ。このまま廃れないでいてほしい。
誰かに住み続けてもらい、手入れしてもらい、豊かになってほしい。
けれども、自分はその誰かになるつもりはない。
弥生の中では、故郷を愛することと、そこに骨をうずめることは別なのだ。

島を出ていった弥生が考える、故郷に対する思いになります。
例え田舎で一生を終えることを嫌い、都会に出てきている人でも、決して生まれた場所を根っこから嫌いにはなれない。
自分が通っていた学校が廃校になっていれば、感傷にも浸るだろう。
過疎地域に住んでいる若者の悩みが伺える。

感想

いきなり始まる非日常の風景、そして回想のように続く普通の日常。
都会の感覚と田舎の風習のギャップなど、常に違和感を持って話が進んでいく。
基本的にはアラサー女性の深雪の結婚物語?であり、田舎の風習とのギャップが淡々と書かれているだけなのだが、中盤以降にいろいろと布石が出てくる。
決して痛快でもなく、気持ちのよい内容でもないが、ミステリーとして少し「ゾクッ」とする感じは心地好い。
評価は別れているが、個人的には一気に読んでしまうぐらい価値のある作品でした。

サイレンス

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最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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