「さよなら妖精」の名言まとめました

「さよなら妖精(米澤穂信)」より名言をまとめていきます。

高校生男女4人と異国の少女における二ヶ月間の物語。
高校生の守屋と太刀洗万智は、下校途中に異国の少女と出会う。
マーヤと名乗る少女は、ユーゴスラヴィアから父親の都合で来日し、守屋の友人宅で滞在することになる。
お互いに交流を深める守屋達4人とマーヤだったが、別れが近づいた時、母国で戦争の足音が聞こえてくる。
後にジャーナリストになる、大刀洗万智の高校時代の物語。

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贅沢病

昔読んだ短いSFに、全てが満ち足りた世界が描かれていた。
その世界の住人はすることがないので自殺を好んでいた。贅沢病も病気は病気に違いない。

少し怖い話ですね。生きることに必死の時、人は死にたいとは思えない。
「死んだほうがマシ」と思っても、自殺は本当のギリギリにならないと選ばないだろう。
それなのに、現代では少しのことで死を選ぶ場合がある。
「そんなもの?」と割りきらないといけないのだろうか。

傘と本

ああ、いいよ、差し上げる。傘と本は貸したら帰ってこないものだから。

異国の少女に傘を渡した時に話した言葉になります。
良いのか悪いのか分からないが、完全な事実ですね。
これはどちらの問題なのか?
そして日本以外でも同じだろうか?

思考

本当にわからないわけじゃないんでしょう?
まだ、考えてないだけなんでしょう?

簡単に聞いてきた相手に返した言葉になります。
よく、「聞いたほうが速い」と言う人がいる。分かっている人に聞いたほうが速いのは事実。
そしてそんな人を、「要領の良い人」と呼ぶ。効率は良いし、正しいのかもしれない。
ただ個人的には、少し違うと考えている。それだと本当に必要な時、間違えそうだ。

武道

時には、間違った方法で勝つより正しい方法で負けたほうがいい、とまで考える。

弓道の試合後の会話になります。
悪いフォームで的に当たるより、正しいフォームで外したほうが価値が高いという考え方です。
これを外国人のマーヤは理解出来ないみたい。日本人には非常に分かりやすい考え方だ。
それを正しいと考えるかは別だが、誰もが理解は出来るだろう。
しかし合理主義の外国の方が理解できないのも分かる。
これは正否で考える問題では無いのだろう。

会話と本質

(他国での)その他愛ない会話こそが学校に値する。
どの国もなかなか見せてくれません。でもきょうは仮面のないところを見られました。

マーヤが他国について重要と考えることになります。
公の場所での会話は、しょせん上辺だけの話。
伝えたい事実ではあっても、知られてはいけない真実は話さない。
私的な会話の中にこそ、本心が隠されている。
二つ目は偶然、日本人の醜い場面に出逢った時の言葉になります。
偶然で無ければ絶対に見ることの無い状況。
そんな裏側を知ることが、相手側を理解することにつながる。

温度差

わたしたちには大変な事実なのに、やっぱり日本まではなかなか伝わりませんね。

ユーゴスラヴィヤの状況を日本人が理解していないことに対して、呟いたことになります。
別に怒っているわけではなく、後に「そんなもんです」と話している。
良い悪いではなく、それが世界的にも普通の感覚なのだろう。
もちろんそれは世界にとっての日本にも当てはまる。

心配とおせっかい

そうね。でも気にならないって言い方は当たってないわ。
マーヤが信念でそうしようということを、わたしが気にするのはおかしなことだというだけよ。
どうして? 家には帰るものです。わたしには、まだ家があるのです。

マーヤが危険な母国に帰るのを心配した守屋が、万智とマーヤにそれぞれ言われた言葉になります。
この手の心配をし、実際に相手を説得しよとする人はたくさんいる。
そして、それをしない人を怒りを持って非難することが多い。
もちろん本心から心配して、相手のために言っているのだろう。
しかしこれって、「自分目線」ですよね。
言われる本人が分かっていないとでも、思っているのでしょうか?
分かっていて、それでも決意したことを否定している事実に、気づいているのでしょうか?
もちろん万智のように、全てを受け入れるのが正しいのかは分からない。
ただ私が言われる立場なら、受け入れてもらいたい。

予測

だからわたしは、ユーゴスラヴィヤで戦争が起きるかもしれないことを、知っていました。
でもそれでも、起きると思いたくありませんでした。だから、起きないことにしていました。

マーヤの予測と願いのギャップになります。
人は都合よく考える、いや「都合よく考えたい」。
17歳の少女に、これを「現実逃避」というのは厳しすぎるだろう。
しかし残念ながら、悪い予測はよく当たる。

利益と記憶

人間は、殺されたお父さんのことは忘れても、奪われたお金のことは忘れません。
個々人の愛は集団の利益に凌駕されてしまう、わたしはそれを醜いと思うけれど、でもそれがどうしようもない真実だということを、降り注ぐ砲弾が幾度も証明し続ける。

マーヤが語ったことと、心の声になります。
最初は君主論などで有名なマキアヴェッリの言葉の引用です。
個人では良い人が、集団に入ると変わることがある。
これは別に不思議な事ではない。誰もが知っている真実になる。
認めたくは無いが、集団における個人は無力である。

母国

歴史はわたしたちを忘れるかもしれません。

マーヤが語った言葉になります。いろいろな意味が含まれているでしょう。
歴史に忘れられる、もしくは無かったことにされる。
自分を否定されているようで、哀しいことです。

否定

わかってないと思っていますね?
わたしは、あなたよりわかっているんですよ...

マーヤ帰国する時に、一緒に行こうとした守屋を止めた言葉になります。
マーヤは「守屋は観光に来る」と言い張っている。
もちろん守屋は、マーヤを危険から守ろうと考えている。
このギャップがこの会話を生んでいます。
日本で平和に育った高校生が一人、戦地に来たところでなにが出来るだろうか?
何かの小説なら驚くような展開もあるが、現実ではあり得ない。
せいぜい近くにいて見守るぐらいだ。そして、全体的には迷惑をかける。
残念ながら、気持ちと熱意だけではどうにもならない。

感想

日本と外国の感覚の違いが分かり、非常に興味深い内容だった。
最終的には戦争などもからみ重い内容になるが、基本的には高校生における異文化交流のイメージで進んでいく。
特にマーヤの感覚が面白く、そして可愛く描かれて好感が持てる。
また大刀洗万智がジャーナリストとして活躍するシリーズを読んでいたので、その点も興味深かった。
読んでいなかったら、好意的に捉えてたか微妙だったかも...
少し理屈っぽいところはありますが、万人におすすめ出来る作品です。

さよなら妖精 (創元推理文庫)
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最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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