「貘の耳たぶ」の名言まとめました

「貘の耳たぶ(芹沢央)」より名言をまとめていきます。

繭子は産後の気の迷いから、別の子と自分の子を取り替えてしまう。
郁絵は何も知らずに退院の日を迎える。それぞれが、それぞれの思いで子供を育てていく。
そしてある出来事をキッカケに、真実を周りが知るのだが。
血のつながりとは何かを考えさせられる作品です。

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夫の職業

国際線のパイロットである夫は、わたしの出産予定日が近づいても休みを取ろうとはしなかった。

特別な言葉ではないが、少し考えてみたかったのでピックアップした。
「国際線のパイロット」
夫がこの職業なら、夫婦ともに普段は誇らしく感じているでしょう。
もちろん、周りからも称賛されるだろう。しかし、自由が効かない職業でもある。
明確な日が決まっているならともかく、出産のように日時が正確には分からないものなら尚更である。
出産による不安は分かるが、そんなことは初めから分かっていること。
キツイ言い方になるが、それを希望するなら初めから相手選びの時に自由になる仕事をしている人を選ぶべき。

もったいない

もったいない、という言葉を耳にするたびに、自分の中の大切な部分が蝕まれていくような気がした。
もう何の価値もない過去や、これからもしかしたら使うかもしれないという架空の未来のために、現在が犠牲にされているのだと。

「もったいない」、日本人が好んで使う言葉です。
しかし、捨てることがもったいないのではない。
使わない物を購入することが、もったいないのである。
もちろん子供が何人もいる場合、使い回しは必要だろう。
しかし将来増える可能性があるだけなら、思い切って捨てるのも手だ。
時間の経過から、価値が大きく下がっているのだから。

母親

それでもこの子の母親は私しかいないんだし、頑張るしかないよね。

本当にお疲れ様です。父親も頑張れ、という感じですね。
結婚もしていない私が言っても説得力は無いですが。

チケット

受け入れられたのだ、と思った。
やっとわたしは、この街で暮らすチケットを手に入れたのだと。

都会に住んでいると、特定の人以外とは話さない。隣に住んでいる人を知らないことも多い。
しかし、赤ちゃんを連れている人は別。
多くの人が興味を持ち、実際に話しかけられることも多いでしょう。
それを、「受け入れられた」と感じている。
ただ、あくまで興味を持たれたのは赤ちゃんであって、本人は赤ちゃんの母親という認識しか持たれないのは少し残念だが。

正論

夫の言うことは、いつも正しい。
甘やかすわけでもなく、頭ごなしに叱るわけでもなく、きちんと向き合い、言葉で説明して解決していく。

書いているように正論である。非難する箇所は見つからない。
しかし、それこそが問題だということを言ってる本人は気づかない。
「正しいことは人を怒らせる」
なかなか相手に理解してもらえないのが残念です。

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近い将来

きっと、すぐなのだ。すぐ、この子は大きくなる。

嬉しさと寂しさが半々でしょうか?
適切な子離れが必要ですね。

事実と真実

あの子は、私の子だ、と噛みしめるように思った。
たとえ本当に血が繋がっていなかったとしても───血の繋がりなんて、何だというのだろう。

今まで育ててきた子が、自分が産んだ子でないと知った時の心の声。
事実としては親子ではない。しかし真実としては、親子以外の何物でもない。
血のつながりと気持ちのつながり。どちらがより重要かなんて私には分からない。

知ること、知らないこと

知ってしまえば、知らなかった頃には戻れなくなる。

本人はもちろん、周りの人に対しても同じこと。
本当の子供や孫ではないと知ってしまうと、今まで通りの気持ちを持てる人なんて、この世にはいないだろう。
出来ることは、「変えない」と決めることだけ。事実を知ることは、時に残酷である。

過去の事例

他の人たちがどうだったかなんて知らないけど、私は璃空を手放すなんて絶対に考えられない。

子供を本来の親の元へ交換することに対して考えたこと。
この時点で4歳です。しんどい時期を乗り越えて、今が一番可愛いときと言って間違いない。
それを違ったから交換、と言われても納得できませんよね。
ただ、このままで良いとは思えない自分もいるはず。理性と感情の整理がつくわけがない。

事務作業

所詮、この人にとっては仕事でしかないのだ。

調整を行っている弁護士に対して、母親が思ったことになります。
気持ちは分かる。私が同じ立場なら、同様の苛立ちを覚えるでしょう。
しかし相手は、仕事として作業を行っているに過ぎない。
特に示談的な話に、個人の感情を出してしまうとまとまらない。
自分の経験や立ち位置によって意見が分かれるのでしょう。

怒りの方向

私は誰にどんな感情を抱けばいいのかわからなくなる。

原因を知らなかった時の母親の言葉になります。
相手の母親が取り替えたことを知っていれば、別の感情が湧く。
しかしこの時点では、病院側のミスと考えていたため、不慮の事故に過ぎない。
自分も被害者だが、周りのすべても被害者と言える。
自分の感情に正直に怒れるなら良いが、理性を持ってしまったら迷路に迷い込んでしまう。

決まったレール

私は、既に取り返しのつかない選択をしてしまったのではないか。

子供の交換については未定だが、少しでも譲歩するような選択をしてしまった時の母親の言葉になります。
小さなことでも実績を作ってしまうと、逃れるのが困難になる。
詐欺師の話だが、お金をだまし取る時には最初は少額の実績を作り、次に大きく出させる。
実績を理由に話をされると、逃げる理由を塞がれてしまう。気をつけたいものです。

誰のため?

璃空が悲しむところなんて見たくないと思った。
つらい思いなんてさせたくないと思った。
けれど結局、私は璃空のためを思えていなかったんだろうか。

交換された時の子供についてになります。
親が言う、「子供のため」は自分のためとリンクしていることが多い。
子供は親のためにいるのでは無い、ということは覚えておきたい。

父親

いや、そもそも何で本当の親じゃなきゃいけないのかもわからないよな。

父親が母親に言った言葉になります。母親に比べると、すごい温度差を感じる。
男は子供に対しても感情より理性で考えることが多い。それがいいのか悪いのか。

母親の本音

この子を連れて、どこかへ逃げてしまいたい。

子供が交換されそうになった時の母親の言葉になります。
自分の将来も夫も親も、すべて捨ててでも子供を選びたい。母親の強さと儚さを感じます。

過去の行動

どうして私は、あのときレンズではなくこの目で、璃空を見つめなかったのだろう。
どうして、この手で抱きしめてあげなかったのだろう。

子供の行動に対して、写真を取ることを優先してしまった過去の自分に対してになります。
記録を取るのは良い。今時だからネットにアップするのも良い。
しかし、本当に大切なことは忘れないでほしい。

感想

心理描写的な場面が多かったため、非常に読むのが苦しい作品でした。
母親になること、そして母親であり続けることの大変さが分かります。
私は男目線で追ってしまうので、母親の強さ、弱さ、悲しさに圧倒される感じです。
その苦労の後に、別人だと分かる衝撃は言葉に出来るものではないでしょう。
数は少ないとはいえ、現実に起きていることだと考えると心が痛む。
後味が良いとは言えないが、良質の物語なのは間違いない。

貘の耳たぶ

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最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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