「半落ち(横山秀夫)」の名言・台詞をまとめていきます。
半落ち
志木和正の章
取り調べは一冊の本だ。被疑者はその本の主人公なのだ。彼らは実に様々なストーリーを持っている。しかし、本の中の主人公は本の中から出ることはできない。
こちらが本を開くことによって、初めて何かを語れるのだ。(志木和正)
後で忘れたことに気づき、深く傷つく。恐怖に戦く。自分はいつまで人間でいられるのか。(梶啓子)
(アルツハイマーの症状に気づいた後)
「俊哉(息子)のことを覚えているうちに死にたい……せめて母親のままで死にたい……」(啓子)
殺人という最大級の犯罪をあっさりと認めておきながら、「事件後」を語らないのはなぜか。
考えるまでもない。梶自身にとって、自白した内容以上の、より重要なストーリーが事件後に秘められているからだ。(志木)
三十年も事件をやっていれば、あらゆるタイプの犯罪者と出くわす。人間なんてものは、どれほど聖人を気取っていようが、所詮、ツラの皮一枚剥がせばケダモノなのだと思い知る。(志木)
「啓子が向こうに行きました。俊哉はもう寂しくないと思います」(梶聡一郎)
「これ以上、ご迷惑をお掛けしたくありません。あなたにも、県警にも、教え子たちにも……」(梶)
「そんな心配は無用です。私はただ、あなたの本当の気持ちを知りたいだけです」(志木)
「梶のためを思ってやれ。時には真実が二つあることもある」(岩村肇)
佐瀬銛男の章
相手が誰であろうと、たとえその背後に何が控えていようとも、「呼んだ」からには敗北は許されない。(佐瀬銛男)
「あんたは今、誰のために生きているんだ?」(佐瀬)
「発見は二の次です。ガサに入ることが重要だと考えます」
「剛直たる検察を見せつけます。それによって県警の隠蔽を瓦解させ、梶事件の実態解明を進めます」(佐瀬)
中尾洋平の章
「報道は自由だ。だが、君らのペンが人の生き死にを握っていることは忘れんでくれ」(岩村)
行数はいらない。六十……いや、五十行もあれば十分だ。特ダネは、行数が短ければ短いほど強烈な光を放つ。(中尾洋平)
植村学の章
「回復する名誉など私にはありません。妻をこの手で締め殺したんです」(梶)
「私は、息子を病気で亡くし、妻を手にかけてしまいました。それでもこうして生き恥を晒しているのは、こんな私でも、まだ必要としてくれている人がいると信じているからです」
「そのことを教えてくれた人がいたからです。だからあと一年……一年だけ……」(梶)
「あなたには守りたい人がいませんか。どうか、そっとしておいて下さい」(梶)
藤林圭吾の章
梶の行為が優しさだというのなら、優しさなどこの世になくていい。(藤林圭吾)
古賀誠司の章
受刑者には二通りある。
一方は、極悪な成育環境や本人の生来的な気質が災いし、来るべくしてここへ来る人間であり、もう片方は、何事もなければ、ここへ来るはずのなかった人間だ。
無論、双方は薄皮一枚の差でしかない。(古賀誠司)
「彼はいまだに半落ちのままだ。誰も何もわからずに、とうとう刑務所にまで来てしまった」(志木)
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